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ああもう完敗だ。
知らず涙がこぼれてきた。
こんなゆるぎない愛情を向けられてこれ以上逃げられない。もう覚悟を決める時なんだ。
「怖い奴」
「当たり前よ。恭介さんの事だけよアタシがこんなに真剣になるの。日永なんてビビりだからどうしていいかわかんなくて、でもアナタを前にすると理性がぶっ飛んで頭おかしくなってるわよ。可愛い男の純情だと思って許してね」
「そういうもんなの?」
「そう、アタシだってそうよ。今すぐ食べちゃいたくて仕方ないの。わかってる? さっきからアタナ可愛くて仕方ない事ばかり言ってるって。アタシの事そんなに好きなのねってビンビン伝わってきてるわ」
「そうなんだろうね」
いろんな言い訳をしながら逃げていたのはこの人を好きになりすぎておかしくなってる自分に気がついたから。人を好きになって怖いと思ったのは初めての感情だから。
自分が自分じゃなくなるなんて、フィクションかと思ってた。
まさか自分よりはるかに逞しい男でドラァグクイーンに恋するなんて。
恭介はデイジーの胸元を掴むと思い切り引き寄せて顔を寄せた。
ぷっくりと赤く塗られた唇に自分のそれを押しつける。まるで禁断の果実のように甘い香りがするのは外国の口紅だからなんだって。
そんなことさえ知らなかったのに。
「お前どうすんの? 俺のことこんなに変えちゃって」
品行方正の優等生を演じきっていた分厚い殻を力技で叩き割ってきたデイジー。なんでもソツなくこなせるはずがこいつの前では無力だった。
仮面の下にこんな純粋な気持ちを隠し持っていたなんて自分でも知らなかったよ。
「言ったでしょ。愛してるって。一生責任取るわよ」
「……重いな」
「ふふ。一緒に背負いましょ♡」
仕掛けたのは自分のはずなのにいつの間にか形勢は逆転してデイジーがのしかかってくる。その重みさえ慣れてきている自分に笑ってしまう。
グダグダと先延ばしにしてても結局受け入れる気は満々なんだ。
ほんの少し最後にダダをこねたかっただけ。
薄いオーガンジーの天蓋の中で何度もキスを交わし合った。
互いにピュアなアイドルみたいな恰好をしているくせに、はしたない欲望に満ち溢れている行為に陶然とする。
互いの萌した欲望を押し付け合った。
「恭介さん、ありがとう。思っていることを教えてくれて。アナタにガマンをして欲しくはないの。もしどうしても嫌なことがあったらすぐに言ってほしいわ。アタシはアナタが笑ってくれたらそれでいいの」
「じゃあ他の誰ともこういうことしないで」
「するはずがないじゃない」
「約束だよ?」
「ああっ♡ もうさっきから反則よ~可愛いが過ぎるわ♡」
デイジーは首筋に顔を寄せると強く吸いついた。
ちゅ、ちゅ、と軽い音を立てながらあちこちに赤い印をつけまくる。
「好きよ。大好き」
「うん……俺も、」
「恭介さん愛してる♡」
ソファの上に押し倒されてデイジーからの愛撫を受けた。甘い声がもれて、それを止める術がない。
「デイジー……」
「そ、こ、ま、で、よッ!!!」
シャーっと激しい音と共に天蓋が開けられ目の前にジョセフィーヌが仁王立ちしていた。顔がマジで怒りに歪んでいる。
「あのね、バトルをしなさいとは言ったけど! そっちのバトルを許可した覚えはありませーん」
まくられたスカートにチラリと視線を送ると大きな舌打ちを向けてくる。
「なんなのよ。そういうのが怖い~とかビビリなことを抜かしてたくせに、さっさと流されてさ。言っとくけどデイジーなんて百戦錬磨だからね。手当たり次第ヤリまくりのデイジーなんだからね、簡単に流されるんじゃないわよ」
「ちょっと聞き捨てならないわね。誰がヤリまくりよ、アンタと一緒にしないでッ!」
「うっさいわよ。アタシはいいのよ、可愛い子がいたら食べちゃいたいじゃないの。アンタなんて恭介さんラブのくせしてつまみ食いしすぎなのよ」
「キーーーーッ! 言っていい事と悪い事があるわ。そんなの嘘だからね、恭介さんこんな奴の言う事聞いちゃダメ!」
「今更純情ぶって笑わせるわッ」
そのうち二人はつかみ合いの喧嘩になり始めて、ついにキャットファイトがはじまってしまった。
呆気にとられる恭介は「ヤリまくりは事実だろうなあ」と遠い目をする。じゃなきゃあのテクニックは身につかないだろう。
初めてだっていうのにあんなにでっかいブツをスルリと上手に入れてくるとか、かなり実践を積んでいるのはわかった。面白くないけど。……かなり不愉快だけど。
それも全部わかって好きになったんだから仕方がない。
「さ、帰るか」
すっかり冷めた気持ちで天蓋の中から出ていくと、ワクワクとした客たちの視線を一身に浴びた。伝説のドラァグクイーンが再来しているとうわさが広がっていたようだ。
「エリザベス様~」と信者たちが群がってくる。
「お美しい~~ぜひ今日も蔑んでくださいませ~~~」
え、ナニコレ。どういう結末?
キャットファイトをする二人を尻目にエリザベスは今日も多額の売り上げを立てることとなった。
知らず涙がこぼれてきた。
こんなゆるぎない愛情を向けられてこれ以上逃げられない。もう覚悟を決める時なんだ。
「怖い奴」
「当たり前よ。恭介さんの事だけよアタシがこんなに真剣になるの。日永なんてビビりだからどうしていいかわかんなくて、でもアナタを前にすると理性がぶっ飛んで頭おかしくなってるわよ。可愛い男の純情だと思って許してね」
「そういうもんなの?」
「そう、アタシだってそうよ。今すぐ食べちゃいたくて仕方ないの。わかってる? さっきからアタナ可愛くて仕方ない事ばかり言ってるって。アタシの事そんなに好きなのねってビンビン伝わってきてるわ」
「そうなんだろうね」
いろんな言い訳をしながら逃げていたのはこの人を好きになりすぎておかしくなってる自分に気がついたから。人を好きになって怖いと思ったのは初めての感情だから。
自分が自分じゃなくなるなんて、フィクションかと思ってた。
まさか自分よりはるかに逞しい男でドラァグクイーンに恋するなんて。
恭介はデイジーの胸元を掴むと思い切り引き寄せて顔を寄せた。
ぷっくりと赤く塗られた唇に自分のそれを押しつける。まるで禁断の果実のように甘い香りがするのは外国の口紅だからなんだって。
そんなことさえ知らなかったのに。
「お前どうすんの? 俺のことこんなに変えちゃって」
品行方正の優等生を演じきっていた分厚い殻を力技で叩き割ってきたデイジー。なんでもソツなくこなせるはずがこいつの前では無力だった。
仮面の下にこんな純粋な気持ちを隠し持っていたなんて自分でも知らなかったよ。
「言ったでしょ。愛してるって。一生責任取るわよ」
「……重いな」
「ふふ。一緒に背負いましょ♡」
仕掛けたのは自分のはずなのにいつの間にか形勢は逆転してデイジーがのしかかってくる。その重みさえ慣れてきている自分に笑ってしまう。
グダグダと先延ばしにしてても結局受け入れる気は満々なんだ。
ほんの少し最後にダダをこねたかっただけ。
薄いオーガンジーの天蓋の中で何度もキスを交わし合った。
互いにピュアなアイドルみたいな恰好をしているくせに、はしたない欲望に満ち溢れている行為に陶然とする。
互いの萌した欲望を押し付け合った。
「恭介さん、ありがとう。思っていることを教えてくれて。アナタにガマンをして欲しくはないの。もしどうしても嫌なことがあったらすぐに言ってほしいわ。アタシはアナタが笑ってくれたらそれでいいの」
「じゃあ他の誰ともこういうことしないで」
「するはずがないじゃない」
「約束だよ?」
「ああっ♡ もうさっきから反則よ~可愛いが過ぎるわ♡」
デイジーは首筋に顔を寄せると強く吸いついた。
ちゅ、ちゅ、と軽い音を立てながらあちこちに赤い印をつけまくる。
「好きよ。大好き」
「うん……俺も、」
「恭介さん愛してる♡」
ソファの上に押し倒されてデイジーからの愛撫を受けた。甘い声がもれて、それを止める術がない。
「デイジー……」
「そ、こ、ま、で、よッ!!!」
シャーっと激しい音と共に天蓋が開けられ目の前にジョセフィーヌが仁王立ちしていた。顔がマジで怒りに歪んでいる。
「あのね、バトルをしなさいとは言ったけど! そっちのバトルを許可した覚えはありませーん」
まくられたスカートにチラリと視線を送ると大きな舌打ちを向けてくる。
「なんなのよ。そういうのが怖い~とかビビリなことを抜かしてたくせに、さっさと流されてさ。言っとくけどデイジーなんて百戦錬磨だからね。手当たり次第ヤリまくりのデイジーなんだからね、簡単に流されるんじゃないわよ」
「ちょっと聞き捨てならないわね。誰がヤリまくりよ、アンタと一緒にしないでッ!」
「うっさいわよ。アタシはいいのよ、可愛い子がいたら食べちゃいたいじゃないの。アンタなんて恭介さんラブのくせしてつまみ食いしすぎなのよ」
「キーーーーッ! 言っていい事と悪い事があるわ。そんなの嘘だからね、恭介さんこんな奴の言う事聞いちゃダメ!」
「今更純情ぶって笑わせるわッ」
そのうち二人はつかみ合いの喧嘩になり始めて、ついにキャットファイトがはじまってしまった。
呆気にとられる恭介は「ヤリまくりは事実だろうなあ」と遠い目をする。じゃなきゃあのテクニックは身につかないだろう。
初めてだっていうのにあんなにでっかいブツをスルリと上手に入れてくるとか、かなり実践を積んでいるのはわかった。面白くないけど。……かなり不愉快だけど。
それも全部わかって好きになったんだから仕方がない。
「さ、帰るか」
すっかり冷めた気持ちで天蓋の中から出ていくと、ワクワクとした客たちの視線を一身に浴びた。伝説のドラァグクイーンが再来しているとうわさが広がっていたようだ。
「エリザベス様~」と信者たちが群がってくる。
「お美しい~~ぜひ今日も蔑んでくださいませ~~~」
え、ナニコレ。どういう結末?
キャットファイトをする二人を尻目にエリザベスは今日も多額の売り上げを立てることとなった。
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