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せっかく自炊でもするかとスーパーに寄ったのにそんな気分じゃなくなってしまった。買ったお惣菜をそのまま食べようとして手を止める。日永ならきっと綺麗にお皿に乗せるだろうから。見習って盛り付けると少しだけ気分が上がった。
日永は学がないと卑下するけど、それ以上にたくさんの経験をして知識を身につけている。そっちの方がすごいといつも思う。
食べ終わってタブレットに手を伸ばすとメールのチェックをする。特に問題もなさそうだ。そのままなんとなくネットの海をさまよっているうちに男性同士のアレコレを調べていた。
準備が必要だとか、すさまじい快楽が待っているだとか、今まで知らなかったことばかりが流れてきて酔ってしまいそうだ。
キッチンカウンターの上に転がっているサツマイモを見る。やっぱあのサイズを、女性ではない場所に入れるってことで……。
日永にどの程度の経験があるのかは知らないけど、入った人はいるんだ。だったら自分も大丈夫、と思うにはまだ自信がない。そもそもそういう事を考えてなかった人生だ。
経験談を読みながら思わず大人のおもちゃを検索していた。
こういうお助けグッズがあるなら頼ってみようかとクリックしかけて我に返る。何をやってるんだ。こんな、恥ずかしい事できるはずがない。
モヤモヤしていたら日永からLineが届いた。今はデイジーか。休憩中だけど顔が見たいとメッセージ。
彼氏になった日永は前より甘く恭介に触れてくるようになった。
通話ボタンを押すとすぐに繋がった。
「恭介さん♡」
出るなりデイジーの顔がアップで映る。なかなかの迫力だ。
「お疲れ様」
少し離れて答えると「いやん♡」と首を振った。
「もっと近づいて頂戴。お顔を見せて」
「デイジーは近すぎかな」
「アタシのことも見たかったでしょ? 今日のメイクはいつもと違うのわかる?」
よく見たところでわからない。
バッサバサと音がしそうなまつ毛が画面に触れて画像が乱れた。
「だから近すぎるってば」
「ちゅーしよ?」
真っ赤な口紅が「う」の形を作って全画面に映る。
よくこんな恥ずかしいことが出来るよな、と思いながらもデイジーの周りに誰もいないのを確かめてから少しだけ画面に近づいた。
ちゅ! っと大きな音が聞こえる。
目を開けるとデイジーの画面に口紅の跡がべったりと付いていてよく見えなくなった。
「やだあ~」と悲鳴が聞こえてくる。
「画面を越えられる気がしたけどやっぱり無理だったあ。これ落ちるかしら……もおっ」
「バカだなあ……ちゃんと拭いて。落ちそう?」
「わかんない。ティッシュでとりあえず……やだっ、余計に広がっちゃったじゃない」
「メガネ拭きで落ちない?」
「わかんない……メガネ拭きなんてないわよ~泣いちゃいそう」
あははっと声を立てて笑ってしまう。
ほんとに可愛いなあ、この人。自分よりはるかにでかいのにぎゅってしたくなる。
「会いに行けばよかったかなあ」
今日が出勤だってわかっていたんだから。こうやって話していると会いたくなる。多分キスだって画面越しじゃなくて本物としてるはず。
思わずもれた呟きにデイジーは黙ったままだ。
「デイジー?」
「今すぐ画面を突き破って会いに行きたいわ」
「ははっ、それができたらすごいな」
「恭介さんがアタシに会いたいって言ってくれたのよ? いますぐ叶えたいじゃないの」
デイジーならやってのけそうだ。
画面から飛び出してくる姿を想像したらやっぱりちょっと怖かったのでそれば遠慮しよう。
「今日はまだ遅くまで?」
「そうねえ、今日はすいてるし、明日も仕事だからそろそろお暇かしらとは思っているけど。えっ、会いに来る?」
「行かないけど」
「も~~その気にさせて~~~この小悪魔ちゃんめ~~~」
プリプリと怒って見せているけど、画面はまだデイジーの唇の形に赤く染まっているのでよく見えない。
「それ、早く綺麗にしときな」
「そうね。そうするわ」
「じゃあ、また」
切ろうとして、一瞬迷う。
まさか自分までこんな甘い言葉を吐くなんて思ってもいなかったけど。
「次は直接しよう」
言ってから恥ずかしくなって「じゃ」と急いで切った。
ぽかんとしたデイジーの顔が最後にチラリと見えた。驚かせることが出来たならいいや。いつもこっちが赤面してばかりだから。
通話を切った瞬間から次々にスタンプが送られてくる。
大好きと愛してると逢いたいととにかく愛のメッセージだらけだ。
「すぐに逢いに行くわ」
だから恭介もがんばらなきゃなんだ。
自分のお尻なんてそうそう触ることもないけれど、ココで愛し合うためにやれることをしたい。
恭介はさっきまで開いていたページに戻ると、『初めての××に必要なもの』という特集を読み始めた。
見れば見るほど引くような物体が画面上に出てくる。『あなたにオススメはこちら!』なんていうものは使い道さえよくわからない。
これを一人でやれっていうのはかなりハードルが高い。でもこんな姿を日永に知られるのも恥ずかしい。もっとスマートに手慣れた感じで、いや慣れてないけど、オロオロしない程度にはわかっていたい。
ジョセフィーヌに聞くのが一番だけど……でもやっぱりセックスは二人で作るものだから。こうなったら一か八か実践あるのみ。日永と付き合うってことはこうやってひとつひとつ積み上げていくものなんだ、きっと。
恭介はわからないままに必要と思われるものをカゴに入れていった。
日永は学がないと卑下するけど、それ以上にたくさんの経験をして知識を身につけている。そっちの方がすごいといつも思う。
食べ終わってタブレットに手を伸ばすとメールのチェックをする。特に問題もなさそうだ。そのままなんとなくネットの海をさまよっているうちに男性同士のアレコレを調べていた。
準備が必要だとか、すさまじい快楽が待っているだとか、今まで知らなかったことばかりが流れてきて酔ってしまいそうだ。
キッチンカウンターの上に転がっているサツマイモを見る。やっぱあのサイズを、女性ではない場所に入れるってことで……。
日永にどの程度の経験があるのかは知らないけど、入った人はいるんだ。だったら自分も大丈夫、と思うにはまだ自信がない。そもそもそういう事を考えてなかった人生だ。
経験談を読みながら思わず大人のおもちゃを検索していた。
こういうお助けグッズがあるなら頼ってみようかとクリックしかけて我に返る。何をやってるんだ。こんな、恥ずかしい事できるはずがない。
モヤモヤしていたら日永からLineが届いた。今はデイジーか。休憩中だけど顔が見たいとメッセージ。
彼氏になった日永は前より甘く恭介に触れてくるようになった。
通話ボタンを押すとすぐに繋がった。
「恭介さん♡」
出るなりデイジーの顔がアップで映る。なかなかの迫力だ。
「お疲れ様」
少し離れて答えると「いやん♡」と首を振った。
「もっと近づいて頂戴。お顔を見せて」
「デイジーは近すぎかな」
「アタシのことも見たかったでしょ? 今日のメイクはいつもと違うのわかる?」
よく見たところでわからない。
バッサバサと音がしそうなまつ毛が画面に触れて画像が乱れた。
「だから近すぎるってば」
「ちゅーしよ?」
真っ赤な口紅が「う」の形を作って全画面に映る。
よくこんな恥ずかしいことが出来るよな、と思いながらもデイジーの周りに誰もいないのを確かめてから少しだけ画面に近づいた。
ちゅ! っと大きな音が聞こえる。
目を開けるとデイジーの画面に口紅の跡がべったりと付いていてよく見えなくなった。
「やだあ~」と悲鳴が聞こえてくる。
「画面を越えられる気がしたけどやっぱり無理だったあ。これ落ちるかしら……もおっ」
「バカだなあ……ちゃんと拭いて。落ちそう?」
「わかんない。ティッシュでとりあえず……やだっ、余計に広がっちゃったじゃない」
「メガネ拭きで落ちない?」
「わかんない……メガネ拭きなんてないわよ~泣いちゃいそう」
あははっと声を立てて笑ってしまう。
ほんとに可愛いなあ、この人。自分よりはるかにでかいのにぎゅってしたくなる。
「会いに行けばよかったかなあ」
今日が出勤だってわかっていたんだから。こうやって話していると会いたくなる。多分キスだって画面越しじゃなくて本物としてるはず。
思わずもれた呟きにデイジーは黙ったままだ。
「デイジー?」
「今すぐ画面を突き破って会いに行きたいわ」
「ははっ、それができたらすごいな」
「恭介さんがアタシに会いたいって言ってくれたのよ? いますぐ叶えたいじゃないの」
デイジーならやってのけそうだ。
画面から飛び出してくる姿を想像したらやっぱりちょっと怖かったのでそれば遠慮しよう。
「今日はまだ遅くまで?」
「そうねえ、今日はすいてるし、明日も仕事だからそろそろお暇かしらとは思っているけど。えっ、会いに来る?」
「行かないけど」
「も~~その気にさせて~~~この小悪魔ちゃんめ~~~」
プリプリと怒って見せているけど、画面はまだデイジーの唇の形に赤く染まっているのでよく見えない。
「それ、早く綺麗にしときな」
「そうね。そうするわ」
「じゃあ、また」
切ろうとして、一瞬迷う。
まさか自分までこんな甘い言葉を吐くなんて思ってもいなかったけど。
「次は直接しよう」
言ってから恥ずかしくなって「じゃ」と急いで切った。
ぽかんとしたデイジーの顔が最後にチラリと見えた。驚かせることが出来たならいいや。いつもこっちが赤面してばかりだから。
通話を切った瞬間から次々にスタンプが送られてくる。
大好きと愛してると逢いたいととにかく愛のメッセージだらけだ。
「すぐに逢いに行くわ」
だから恭介もがんばらなきゃなんだ。
自分のお尻なんてそうそう触ることもないけれど、ココで愛し合うためにやれることをしたい。
恭介はさっきまで開いていたページに戻ると、『初めての××に必要なもの』という特集を読み始めた。
見れば見るほど引くような物体が画面上に出てくる。『あなたにオススメはこちら!』なんていうものは使い道さえよくわからない。
これを一人でやれっていうのはかなりハードルが高い。でもこんな姿を日永に知られるのも恥ずかしい。もっとスマートに手慣れた感じで、いや慣れてないけど、オロオロしない程度にはわかっていたい。
ジョセフィーヌに聞くのが一番だけど……でもやっぱりセックスは二人で作るものだから。こうなったら一か八か実践あるのみ。日永と付き合うってことはこうやってひとつひとつ積み上げていくものなんだ、きっと。
恭介はわからないままに必要と思われるものをカゴに入れていった。
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