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「彰仁さんだ。俺の彰仁さん」
「そうだよ」
「ヤバイ。心臓どうにかなりそう」
遊里はたまらないといったように強く抱きしめた。
首筋に鼻をつけて深く息を吸う。シャワーを浴び損ねているからやめてくれと思ったけれど、抱きしめる腕の力にたまらなくなった。
そういう遊里の胸の中も一日中働いてきた後の匂いがするから彰仁も吸い込んだ。
「汗臭いでしょ」
「お互い様だよ」
「ん、でも彰仁さんの匂いにほっとする」
肩先を吸われて息が漏れた。
濡れた舌が這って顎に届く。そのまま甘噛みされると喉が震えた。
「あー、久しぶりの彰仁さんの声は腰に来るわ」
そう言って押しつけられた遊里のものはガチガチに固くなっている。当然彰仁だって同じ状態だ。こんなにくっついてて欲情しない方がおかしい。
過去の彰仁のように頭で考えた恋もどきでは起こらなかったことだ。
好きだから触れたいし、触れたらもっと欲しくなって興奮する。興奮の先にセックスがあって最高潮に達した証に放出があって。
それを閉じ込めていた昏い気持ちはもう彰仁の元にはない。
「なあ、その前にお腹すかない?」
「ん?」
「ごはん、たくさんもらってきたのがあるから。一緒に食べよう?」
突然の申し出に遊里は不可思議な顔を見せた。
「もらってきたって?」
「そう。今日兄の婚約者に会って。実家に行ったんだ」
遊里に話さなきゃいけないことがたくさんある。このまま流されてしまいたいけど、ぐっとこらえて言葉を繋ぐ。
「たくさんあって。ホントに色々あって、遊里に聞いて欲しい」
出会っていた過去の事も思い出したって。あんな小さい頃から彰仁を好きだという純情を愛おしく思ってるって。
それから家族とのわだかまりも消えたって伝えたい。
遊里は数度呼吸を整えると「うん」と耳たぶを噛んだ。
「聞くよ彰仁さんの話。でもその前にもう一回だけ」
「……っ、ん」
しゃべるたびに動く喉仏をくすぐっていた唇が戻ってきて、重なった。
開いた口の間に滑り込んできた舌が絡まって強く吸いつく。上あごを擦られるとガクガクと足が震えた。
これ以上は我慢が出来なくなると腕を突っぱねると、ようやく離れて濡れた口元をぬぐった。
「辞め時がわかんないね」
呆けた顔をしていたのだろう。もう一度軽いキスが落ちてきて「無防備だなあ」と笑う。
「話したいって言うくせに誘うような顔をしないで」
「……お前が。えげつないキスなんてするから!」
「おっ、褒め言葉いただきました」
あやうく先を求めるところだったじゃないか。
遊里のキスは危険すぎる。
触れているだけで欲情スイッチがはいる自分もどうかと思うけど、とにかく何もかも歩く成人指定だ。
「いいから。ごはんあっためるから先にシャワーしてくる?」
「じゃあお言葉に甘えて」
頭のてっぺんに小さなキスを落として遊里はバスルームへと姿を消した。いなくなるのを確認して床に座り込む。
ほとんど腰が抜けかけていた。
急激な遊里接種は危険すぎる。
一気に巡った血がグルグルと体中を搔き乱しているようだ。触れたら弾けてしまいそうな熱情を持て余すようにキッチンへと足を向けた。
とにかく気をそらさなきゃ。
冷蔵庫の冷気が少しだけ興奮を冷ましてくれるようだ。このまま頭を突っ込んでいたい。
保存容器をレンジに入れて温めながら食器を出しているとまもなく遊里が裸のままバスルームから出てきた。
今の状態で目の毒すぎる。
「早く服着て!」
「ん~でも、彰仁さんがいるから着たくない」
「ばか。風邪ひいたらどうすんだよ」
「そしたら休むから看病してくれる?」
「そういう事じゃないから」
呆れた風を装いながらクローゼットに服を取りに行く。そばにいたら夢中でしゃぶりついてしまいそうだ。
だけどその後を追うように遊里もついてきた。
「いいよ服なんて」
「だーめ。おれが困る」
「なんで?」
「そんなのどこ見ていいかわかんなくなるからだろ」
すぐ後ろに遊里の気配がして振り向けない。
「どこでも見ればいいじゃん」
「そういうわけにいかないの」
「なんで? 俺は彰仁さんの全部見たい」
ぎゅうっと背中に抱きつかれた。
ボディソープの甘い匂いがする。
「全然収まんないんだけどどうしよ?」
「当たってるから……」
「一回出したいなー」
「だって、」
冷蔵庫の冷気でも冷めない欲望がチカチカと瞬くように光っている。
収まらないのは彰仁も一緒だ。
今すぐ抱き合って繋がりたい。
「彰仁さんのも結構いい感じに」
「ひゃっ、どこ、触って」
「いい子にしてたかなあ」
前に伸ばされた大きなてのひらがチノパン越しにたかぶりを撫でた。キュっと包むように撫で上げられると甘い息が漏れてしまう。
「ダメ? ごはんもちゃんと食べるし、すぐ終わるから」
「ダメ、じゃないけど、シャワーしてないから」
「いいよそのまんまで、つか生の彰仁さん抱きたい」
「……一回だけだからな」
ん、と小さな返事が返ってくる間にも一気に服を下ろされ後ろから腰を押しつけられた。準備もできてないはずなのにひくひくと欲しがって自らこぼした体液で濡れてしまう。
「あー健気だなあ。俺の事待ってたの?」
「あ、」
遊里の先端からとろけた透明な雫が彰仁の蕾を潤した。ぬるぬると塗りたくられると期待に膨らんだ性器が爆ぜようとする。
「すぐイキそうだね」
「あ、や、触んな」
「なんで。こっちも一緒にしてあげるから」
彰仁をしごき上げながらたっぷりと濡らした高ぶりが尻の間を割ってもぐりこんだ。圧倒的な熱量に息が止まりそうになる。
「久しぶりだけどちゃんと飲み込んでくれる」
「あ、ああっ、や、あ」
「うん。気持ちよくなってる?」
「なってる、う、っ、気持ちいい」
「わかるよ。吸いついてきてすごい」
「そうだよ」
「ヤバイ。心臓どうにかなりそう」
遊里はたまらないといったように強く抱きしめた。
首筋に鼻をつけて深く息を吸う。シャワーを浴び損ねているからやめてくれと思ったけれど、抱きしめる腕の力にたまらなくなった。
そういう遊里の胸の中も一日中働いてきた後の匂いがするから彰仁も吸い込んだ。
「汗臭いでしょ」
「お互い様だよ」
「ん、でも彰仁さんの匂いにほっとする」
肩先を吸われて息が漏れた。
濡れた舌が這って顎に届く。そのまま甘噛みされると喉が震えた。
「あー、久しぶりの彰仁さんの声は腰に来るわ」
そう言って押しつけられた遊里のものはガチガチに固くなっている。当然彰仁だって同じ状態だ。こんなにくっついてて欲情しない方がおかしい。
過去の彰仁のように頭で考えた恋もどきでは起こらなかったことだ。
好きだから触れたいし、触れたらもっと欲しくなって興奮する。興奮の先にセックスがあって最高潮に達した証に放出があって。
それを閉じ込めていた昏い気持ちはもう彰仁の元にはない。
「なあ、その前にお腹すかない?」
「ん?」
「ごはん、たくさんもらってきたのがあるから。一緒に食べよう?」
突然の申し出に遊里は不可思議な顔を見せた。
「もらってきたって?」
「そう。今日兄の婚約者に会って。実家に行ったんだ」
遊里に話さなきゃいけないことがたくさんある。このまま流されてしまいたいけど、ぐっとこらえて言葉を繋ぐ。
「たくさんあって。ホントに色々あって、遊里に聞いて欲しい」
出会っていた過去の事も思い出したって。あんな小さい頃から彰仁を好きだという純情を愛おしく思ってるって。
それから家族とのわだかまりも消えたって伝えたい。
遊里は数度呼吸を整えると「うん」と耳たぶを噛んだ。
「聞くよ彰仁さんの話。でもその前にもう一回だけ」
「……っ、ん」
しゃべるたびに動く喉仏をくすぐっていた唇が戻ってきて、重なった。
開いた口の間に滑り込んできた舌が絡まって強く吸いつく。上あごを擦られるとガクガクと足が震えた。
これ以上は我慢が出来なくなると腕を突っぱねると、ようやく離れて濡れた口元をぬぐった。
「辞め時がわかんないね」
呆けた顔をしていたのだろう。もう一度軽いキスが落ちてきて「無防備だなあ」と笑う。
「話したいって言うくせに誘うような顔をしないで」
「……お前が。えげつないキスなんてするから!」
「おっ、褒め言葉いただきました」
あやうく先を求めるところだったじゃないか。
遊里のキスは危険すぎる。
触れているだけで欲情スイッチがはいる自分もどうかと思うけど、とにかく何もかも歩く成人指定だ。
「いいから。ごはんあっためるから先にシャワーしてくる?」
「じゃあお言葉に甘えて」
頭のてっぺんに小さなキスを落として遊里はバスルームへと姿を消した。いなくなるのを確認して床に座り込む。
ほとんど腰が抜けかけていた。
急激な遊里接種は危険すぎる。
一気に巡った血がグルグルと体中を搔き乱しているようだ。触れたら弾けてしまいそうな熱情を持て余すようにキッチンへと足を向けた。
とにかく気をそらさなきゃ。
冷蔵庫の冷気が少しだけ興奮を冷ましてくれるようだ。このまま頭を突っ込んでいたい。
保存容器をレンジに入れて温めながら食器を出しているとまもなく遊里が裸のままバスルームから出てきた。
今の状態で目の毒すぎる。
「早く服着て!」
「ん~でも、彰仁さんがいるから着たくない」
「ばか。風邪ひいたらどうすんだよ」
「そしたら休むから看病してくれる?」
「そういう事じゃないから」
呆れた風を装いながらクローゼットに服を取りに行く。そばにいたら夢中でしゃぶりついてしまいそうだ。
だけどその後を追うように遊里もついてきた。
「いいよ服なんて」
「だーめ。おれが困る」
「なんで?」
「そんなのどこ見ていいかわかんなくなるからだろ」
すぐ後ろに遊里の気配がして振り向けない。
「どこでも見ればいいじゃん」
「そういうわけにいかないの」
「なんで? 俺は彰仁さんの全部見たい」
ぎゅうっと背中に抱きつかれた。
ボディソープの甘い匂いがする。
「全然収まんないんだけどどうしよ?」
「当たってるから……」
「一回出したいなー」
「だって、」
冷蔵庫の冷気でも冷めない欲望がチカチカと瞬くように光っている。
収まらないのは彰仁も一緒だ。
今すぐ抱き合って繋がりたい。
「彰仁さんのも結構いい感じに」
「ひゃっ、どこ、触って」
「いい子にしてたかなあ」
前に伸ばされた大きなてのひらがチノパン越しにたかぶりを撫でた。キュっと包むように撫で上げられると甘い息が漏れてしまう。
「ダメ? ごはんもちゃんと食べるし、すぐ終わるから」
「ダメ、じゃないけど、シャワーしてないから」
「いいよそのまんまで、つか生の彰仁さん抱きたい」
「……一回だけだからな」
ん、と小さな返事が返ってくる間にも一気に服を下ろされ後ろから腰を押しつけられた。準備もできてないはずなのにひくひくと欲しがって自らこぼした体液で濡れてしまう。
「あー健気だなあ。俺の事待ってたの?」
「あ、」
遊里の先端からとろけた透明な雫が彰仁の蕾を潤した。ぬるぬると塗りたくられると期待に膨らんだ性器が爆ぜようとする。
「すぐイキそうだね」
「あ、や、触んな」
「なんで。こっちも一緒にしてあげるから」
彰仁をしごき上げながらたっぷりと濡らした高ぶりが尻の間を割ってもぐりこんだ。圧倒的な熱量に息が止まりそうになる。
「久しぶりだけどちゃんと飲み込んでくれる」
「あ、ああっ、や、あ」
「うん。気持ちよくなってる?」
「なってる、う、っ、気持ちいい」
「わかるよ。吸いついてきてすごい」
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