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第十二章
12-9 ジーナとサーヤ
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ナズナからの連絡によると、やはり南西のくたびれた酒場がアジトのようだ。
アジトには6人居て、何やら逃げる準備をしている。
どこで捕まえるかだが、流石に街の酒場で乱痴気パーティーはいかんので、南門を出た所で待ち伏せをすることにした。
クラリッセさんにはフロートを使って先行し、道なりに探してもらうようにする。
待つこと10分…。
馬に乗った6人組が出てくる。
ナズナに念話を送ると、まさしくこいつらのようだ。
「みんな、殺しちゃいけないからね。」
「分かりました((((はい))))。」
道の真ん中で待つ。
「どきやがれ!」
馬に乗った奴らが全速力で駆けてくる。
その進路上に魔銃10%を撃ちこむ。
当然、馬はその衝撃波を食らい、立ち馬状態になって急停止した。
あ、3人ほど落馬したわ…。
「てめぇ、誰だ?」
「あんたの手下が俺の家でお縄についていると言えば分かるか?」
「は?お前、何言ってるんだ?こんなに早く動けるわけ…ぐぎゃ…」
え?会話してたんだけど…。
良く見ると、ナズナが影の中から出て来てそいつを気絶させたようだ。
ん?何か違うぞ…。
ここは、俺が「神妙に獏につけ!」とか「皆さん!懲らしめてあげなさい!」とか言うところじゃないのか?
その機会が無いまま、三下共が気絶しているのは何故だ?
「カズさん、消化不良のようですね。」
「あ、うん…。俺の格好いい所を見せようかと思ってたんだが…、
その前に、みんなやっつけちゃったのね…。」
「カズ様、このような弱っちい奴はとっとと片付けて、ジーナとサーヤを追いましょう!」
「そりゃ、そうだけど馬はどうする?」
「馬6頭に三下を乗せて、家に運ばせます。ニコル、馬の扱いは出来ますか?」
「大丈夫です。それとこの馬はもらっても良いんですよね?」
「こいつらの馬なら良いけど、馬屋のモノだったら返さないといけないね。」
「では、この件が終了したら、馬屋に確認しましょう。
オグリン、ナリタン…、家まで行くよ~。」
知らない馬でもオグリンとナリタンなのか…、アイナと思考回路が一緒なんだ…。
守衛さんに説明し、ニコルが街の中へ入って行くのを見届けてから、人気の無い所まで行き、フロートでノーオを目指す。
どれくらいのスピードで飛んでいるのかは分からないが、結構なスピードで飛んでいるようだ。
よく、皆このスピードについてきているよ。
顔を見ると、皆笑ってる…。恐ろしい…。
『カズさん、クラリッセから念話です。』
お、メリアさん、念話を使いこなし始めたね。
『内容は?』
『ノーオを抜けた街道の近くで、ジーナとサーヤが倒れているとの事。』
『分かった。場所は分かる?』
『大体の位置は分かりますので、向かいましょう。』
数分後に目的地に到着する。
クラリッセさんが湖の脇の街道で立っていた。
「クラリッセさん、すまない。」
「いえ。ジーナとサーヤは、あの繁みの中です。」
「ありがとう。クラリッセさんには申し訳ないが、サーシャとネーナが居ないと言うことは、向こうの影に隠れている可能性もある。もう一度先行してくれないか。」
「分かりました。では。」
クラリッセさんがフロートで飛び立つのを見送り、ナイトスコープを使い、一人で繁みの中に入っていく。
嫌な予感しかしなかった。
わざわざ繁みの中?そりゃ湖に沈めた方が手っ取り早いが、この辺りは浅瀬になっているからか…。
彼女たちは街道から10mも行かない場所に討ち捨てられていた。
馬からそのまま落とされたのか、手足が変な方向に曲がっている。
「ジーナさん、サーヤさん、聞こえるか?」
頭を振らないよう、そして二人を見る。
息は…取り敢えずしているが、この手についたねっとりしたものは…血か…。
身体をチェックする。背中を一突きか…。
ジーナさんが声をしぼり出す。
「ご主人様ですか…。」
「あぁ、そうだ。もうしゃべるな。今手当するから。」
「もう助かりませんので、手当は不要です。
それと…、すみません。バッグを取られてしまいました…。
あの中にはミシンが入っていましたのに…。」
「もういい。取り敢えず治癒かけるから。」
刺された部分、内臓、そして折れた手足を元通りになるよう、スーパーヒールをかける。
うぉ、大分マナが持って行かれた…。
同じくサーヤさんにもスーパーヒールをかける…。
いかん…、頭の中でアラートが鳴っている…。
取り敢えず、マナポーションを2本飲んでおく。
念話でベリルを呼び、ベリルがジーナさんを、俺がサーヤさんを抱きかかえて街道まで移動する。
「さて、この二人の命はとりとめたけど、回復にはまだかかるけど、どうしたものか…。」
「ニコルと合流して彼女をここに残しますか?」
「それも危険だな…。冒険者でもない二名を守るだけの強さは無いし…、あ、ナズナ、ここからレルネさんの郷までどれくらいかかる?」
「お館様、ここからですとフロートで10分もかかりません。」
「それじゃ、ナズナがテイムしたコカちゃんを二羽こちらに来てもらうことはできるか?」
「はい。それじゃ行ってきます。」
ナズナは北東に向かい飛んで行った。
「カズさん、そのコカちゃんとレルネの郷との関係はあるんですか?」
「あ、そうだったね。レルネさんの郷の近くにコカトリスが棲み始めてね、そのコカちゃんをテイムしたんだ。」
「へ?テイムって、魔獣を飼いならす魔法ですか?」
「魔法かと言われれば、俺の場合はそうだけど、ナズナはどうも魔法ではなく、本能でテイムしたらしいんだが…。」
ナズナのテイムができた理由が魔法なのかどうなのかは今イチ不明なんだよな…。
ただ、俺よりもナズナのほうに懐いているのを見ると、そう感じてしまう。
15分ほど経ち、北東の空から大きな羽音が聞こえる。
コカトリス2羽が街道に着地した。
「お館様、お待たせしました。」
「ナズナ、ありがとう。もう一つ申しわけないが、この二人を郷まで連れて行ってもらえるか。」
「はい。郷にはその旨伝えてきましたので、看護もしてもらえます。」
「それじゃ、コカちゃんとコカたん、二人を郷に運んでもらえるかい。」
「いえ、コカちゃんは合ってますが、こちらはコカッちです。」
うん…、区分けが付かない。
ナズナもアイナとニコルと同じ部類なんだろうな…。
「じゃあナズナ、郷まで運んだらオーネで合流しよう。」
「分かりました。コカちゃんたち、行くよ!」
鳥らしく甲高い鳴き声を上げ、二人を連れて行った。
背中に乗せると危ないんだろうな、咥えて飛んで行ったよ…。
「じゃ、クラリッセさんに合流しようか。」
「カズさん、何故魔獣と郷とが共存しているのか、もう少しお話しを聞かせてくださいませんか。」
「主殿、私も知りたいのですが…。」
かい摘みながら、レルネさんの郷で起きたことを説明した。
「…という訳だから、帰りにでも郷に寄ろう。」
「そうですね。実際見ないと分かりませんからね。」
ニコルも合流し、さて、ホールワーズ領のオーネに向けて出発だ。
街道から飛ぶこと1時間、時速何キロで飛んでいるのかは分からないが、それでも100㎞近く出ているんだろう。
クラリッセさんに追いつく。
「え、旦那様。もうここまで追いつかれたのですか?あの二人はどうなりましたか?」
「あぁ、二人はレルネさんの郷で一時預かってもらっているから大丈夫だ。
で、敵さんは?」
「あそこです。馬に乗ったやつが4人ですね。」
「そいつらが、ジーナさん達を刺したんだな。」
「おそらくは…。」
「そうか…。で、ここからオーネまではどれくらいかかる?」
「馬の速さですと、あと3時間くらいでしょうか。」
「そうか、馬だとここまでで7時間、オーネまで10時間か。」
馬の速さは最大80㎞だったか…、ヒトを乗せれば50~60㎞か?
そうするとノーオで馬を換え、10時間ノンストップで走るとすればシェルフールとオーネまでは500~600㎞というところか…。
皆で追っても良いが、あと2時間くらいで夜が明けるか…。
「よし、みんなでオーネの街に入ろう。
で、伯爵の館に近い場所で宿をとり、先ずは休もう。」
「旦那様、サーシャとネーナはいかがしますか?」
「影の中に入っているから、少しは安全だろう。
しかし、月夜で良かった。影が無いと隠れることができないからな。」
「あ、主殿、そんな事は無いはずです。
影、すなわち闇ですから。」
あ、ストンと落ちた。
だよな。影は闇。暗いところならどこでも隠れることができるということか。
アジトには6人居て、何やら逃げる準備をしている。
どこで捕まえるかだが、流石に街の酒場で乱痴気パーティーはいかんので、南門を出た所で待ち伏せをすることにした。
クラリッセさんにはフロートを使って先行し、道なりに探してもらうようにする。
待つこと10分…。
馬に乗った6人組が出てくる。
ナズナに念話を送ると、まさしくこいつらのようだ。
「みんな、殺しちゃいけないからね。」
「分かりました((((はい))))。」
道の真ん中で待つ。
「どきやがれ!」
馬に乗った奴らが全速力で駆けてくる。
その進路上に魔銃10%を撃ちこむ。
当然、馬はその衝撃波を食らい、立ち馬状態になって急停止した。
あ、3人ほど落馬したわ…。
「てめぇ、誰だ?」
「あんたの手下が俺の家でお縄についていると言えば分かるか?」
「は?お前、何言ってるんだ?こんなに早く動けるわけ…ぐぎゃ…」
え?会話してたんだけど…。
良く見ると、ナズナが影の中から出て来てそいつを気絶させたようだ。
ん?何か違うぞ…。
ここは、俺が「神妙に獏につけ!」とか「皆さん!懲らしめてあげなさい!」とか言うところじゃないのか?
その機会が無いまま、三下共が気絶しているのは何故だ?
「カズさん、消化不良のようですね。」
「あ、うん…。俺の格好いい所を見せようかと思ってたんだが…、
その前に、みんなやっつけちゃったのね…。」
「カズ様、このような弱っちい奴はとっとと片付けて、ジーナとサーヤを追いましょう!」
「そりゃ、そうだけど馬はどうする?」
「馬6頭に三下を乗せて、家に運ばせます。ニコル、馬の扱いは出来ますか?」
「大丈夫です。それとこの馬はもらっても良いんですよね?」
「こいつらの馬なら良いけど、馬屋のモノだったら返さないといけないね。」
「では、この件が終了したら、馬屋に確認しましょう。
オグリン、ナリタン…、家まで行くよ~。」
知らない馬でもオグリンとナリタンなのか…、アイナと思考回路が一緒なんだ…。
守衛さんに説明し、ニコルが街の中へ入って行くのを見届けてから、人気の無い所まで行き、フロートでノーオを目指す。
どれくらいのスピードで飛んでいるのかは分からないが、結構なスピードで飛んでいるようだ。
よく、皆このスピードについてきているよ。
顔を見ると、皆笑ってる…。恐ろしい…。
『カズさん、クラリッセから念話です。』
お、メリアさん、念話を使いこなし始めたね。
『内容は?』
『ノーオを抜けた街道の近くで、ジーナとサーヤが倒れているとの事。』
『分かった。場所は分かる?』
『大体の位置は分かりますので、向かいましょう。』
数分後に目的地に到着する。
クラリッセさんが湖の脇の街道で立っていた。
「クラリッセさん、すまない。」
「いえ。ジーナとサーヤは、あの繁みの中です。」
「ありがとう。クラリッセさんには申し訳ないが、サーシャとネーナが居ないと言うことは、向こうの影に隠れている可能性もある。もう一度先行してくれないか。」
「分かりました。では。」
クラリッセさんがフロートで飛び立つのを見送り、ナイトスコープを使い、一人で繁みの中に入っていく。
嫌な予感しかしなかった。
わざわざ繁みの中?そりゃ湖に沈めた方が手っ取り早いが、この辺りは浅瀬になっているからか…。
彼女たちは街道から10mも行かない場所に討ち捨てられていた。
馬からそのまま落とされたのか、手足が変な方向に曲がっている。
「ジーナさん、サーヤさん、聞こえるか?」
頭を振らないよう、そして二人を見る。
息は…取り敢えずしているが、この手についたねっとりしたものは…血か…。
身体をチェックする。背中を一突きか…。
ジーナさんが声をしぼり出す。
「ご主人様ですか…。」
「あぁ、そうだ。もうしゃべるな。今手当するから。」
「もう助かりませんので、手当は不要です。
それと…、すみません。バッグを取られてしまいました…。
あの中にはミシンが入っていましたのに…。」
「もういい。取り敢えず治癒かけるから。」
刺された部分、内臓、そして折れた手足を元通りになるよう、スーパーヒールをかける。
うぉ、大分マナが持って行かれた…。
同じくサーヤさんにもスーパーヒールをかける…。
いかん…、頭の中でアラートが鳴っている…。
取り敢えず、マナポーションを2本飲んでおく。
念話でベリルを呼び、ベリルがジーナさんを、俺がサーヤさんを抱きかかえて街道まで移動する。
「さて、この二人の命はとりとめたけど、回復にはまだかかるけど、どうしたものか…。」
「ニコルと合流して彼女をここに残しますか?」
「それも危険だな…。冒険者でもない二名を守るだけの強さは無いし…、あ、ナズナ、ここからレルネさんの郷までどれくらいかかる?」
「お館様、ここからですとフロートで10分もかかりません。」
「それじゃ、ナズナがテイムしたコカちゃんを二羽こちらに来てもらうことはできるか?」
「はい。それじゃ行ってきます。」
ナズナは北東に向かい飛んで行った。
「カズさん、そのコカちゃんとレルネの郷との関係はあるんですか?」
「あ、そうだったね。レルネさんの郷の近くにコカトリスが棲み始めてね、そのコカちゃんをテイムしたんだ。」
「へ?テイムって、魔獣を飼いならす魔法ですか?」
「魔法かと言われれば、俺の場合はそうだけど、ナズナはどうも魔法ではなく、本能でテイムしたらしいんだが…。」
ナズナのテイムができた理由が魔法なのかどうなのかは今イチ不明なんだよな…。
ただ、俺よりもナズナのほうに懐いているのを見ると、そう感じてしまう。
15分ほど経ち、北東の空から大きな羽音が聞こえる。
コカトリス2羽が街道に着地した。
「お館様、お待たせしました。」
「ナズナ、ありがとう。もう一つ申しわけないが、この二人を郷まで連れて行ってもらえるか。」
「はい。郷にはその旨伝えてきましたので、看護もしてもらえます。」
「それじゃ、コカちゃんとコカたん、二人を郷に運んでもらえるかい。」
「いえ、コカちゃんは合ってますが、こちらはコカッちです。」
うん…、区分けが付かない。
ナズナもアイナとニコルと同じ部類なんだろうな…。
「じゃあナズナ、郷まで運んだらオーネで合流しよう。」
「分かりました。コカちゃんたち、行くよ!」
鳥らしく甲高い鳴き声を上げ、二人を連れて行った。
背中に乗せると危ないんだろうな、咥えて飛んで行ったよ…。
「じゃ、クラリッセさんに合流しようか。」
「カズさん、何故魔獣と郷とが共存しているのか、もう少しお話しを聞かせてくださいませんか。」
「主殿、私も知りたいのですが…。」
かい摘みながら、レルネさんの郷で起きたことを説明した。
「…という訳だから、帰りにでも郷に寄ろう。」
「そうですね。実際見ないと分かりませんからね。」
ニコルも合流し、さて、ホールワーズ領のオーネに向けて出発だ。
街道から飛ぶこと1時間、時速何キロで飛んでいるのかは分からないが、それでも100㎞近く出ているんだろう。
クラリッセさんに追いつく。
「え、旦那様。もうここまで追いつかれたのですか?あの二人はどうなりましたか?」
「あぁ、二人はレルネさんの郷で一時預かってもらっているから大丈夫だ。
で、敵さんは?」
「あそこです。馬に乗ったやつが4人ですね。」
「そいつらが、ジーナさん達を刺したんだな。」
「おそらくは…。」
「そうか…。で、ここからオーネまではどれくらいかかる?」
「馬の速さですと、あと3時間くらいでしょうか。」
「そうか、馬だとここまでで7時間、オーネまで10時間か。」
馬の速さは最大80㎞だったか…、ヒトを乗せれば50~60㎞か?
そうするとノーオで馬を換え、10時間ノンストップで走るとすればシェルフールとオーネまでは500~600㎞というところか…。
皆で追っても良いが、あと2時間くらいで夜が明けるか…。
「よし、みんなでオーネの街に入ろう。
で、伯爵の館に近い場所で宿をとり、先ずは休もう。」
「旦那様、サーシャとネーナはいかがしますか?」
「影の中に入っているから、少しは安全だろう。
しかし、月夜で良かった。影が無いと隠れることができないからな。」
「あ、主殿、そんな事は無いはずです。
影、すなわち闇ですから。」
あ、ストンと落ちた。
だよな。影は闇。暗いところならどこでも隠れることができるということか。
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