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第十一章

11-6 準備を進めましょう

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「という訳で、石鹸としゃんぷりんの販売が明後日となりました。」
「はーい!(((はい)))」
「店は、レイケシアさんがメインで、販売員としてサーシャさん、ネーナさん。裏の事務所にクラリッセさんが詰めてください。
 レルネさん、スピネルさん、ミリーさんは石鹸とシャンプリンの製造を。
残りの皆さんで店の準備をしましょう。」

 バジリスクの香草焼きを皆にサーブする。

「では、いただきます。」
「いただきます((((((いただきます)))))」

うん。柔らかくてとても美味しい。
食感がたまらない。

「社長、この肉は何というお肉なのでしょうか。」

トニュフさんだ。

「これはね、バジリスクって魔物の肉だよ。」
「へ?バジリスクですか?」
「ねぇ、バジリスクって、とっても高いお肉じゃなかった?」

コソコソと話をしているのはエルリカさんだ。

「コホン。そうですね。バジリスクは流通量が少ないので、一流の食事処でしか出さないお肉ですよ。
 そうですね…、この一品だけで大銀貨1枚くらいしますね。」
「え、そんな高価なモノを食べさせていただいても良いのですか?」

あらら、お針子さんズは恐縮し始めたよ…。

「みんな、大丈夫だよ。
 今日、ダンジョンに行って、たくさん獲って来たから十分に食べて。」
「因みにどれくらい獲ってこられたんですか?」
「ディートリヒ、どれくらいあった?」
「そうですね…、ざっと100㎏ほどでしょうか。」
「100キロ!?」
「あ、でも、みんなで食べるから、多分4,5回分だよ。だから沢山食べてね。」

皆、目の色が変わりガツガツ行き始めた。
うん、それで良いんだよ。いっぱい食べていっぱい笑顔になる。
美味しいモノを食べている時は皆笑顔だからね。

「あ、みんなの部屋だけど、不具合は無いかい?」
「社長、よろしいでしょうか。」
「エルリカさん、どうした?」
「あの…、私たちのような者まで部屋をいただいても良いのですか?」
「勿論良いに決まっているよ。一人部屋はダメかな?」
「いえ…、今まで全員で寝ていたので、少し寂しくなってしまって…。」
「あ!思い出した。」

皆がびっくりしている。

「ディートリヒ、皆の部屋のベッドってシングルだっけ?」
「シングルよりも大きく、ダブルよりは小さいくらいですね。」

良し!勘が当たった。
サイズが思い出せなかったから、取り敢えず『大は小を兼ねる』としてセミダブル買ってきたんだ。

「今晩、寝る前にみんなにもう一つプレゼントを渡すね。」
「社長~、もうお腹いっぱいですよ~。」
「いや、食べ物じゃないから…。んじゃ、夕ご飯が終わったらみんなに渡すね。」




「…で、これがアネッテさんの分ね。」
「ありがとうございます。」

皆にマットレスと羽毛布団を渡した。

「のう、イチよ…。」
「なんですか?」
「これほどまで厚遇すると、皆、イチの事を好きになるのじゃが…。」
「いや、もうお腹いっぱいですので…。」

という訳で本日はアイナさんでした…。

アイナは結構古参だが、いつの間に愛してくれたんだろう…。
そんな事を聞くと、実はと言って、マルゴーさんの店を訪れた日、一目惚れだったらしい。
でも照れてしまうから、冗談交じりに言ってたんだと。

まぁ、ロリはボールだけど、アイナは別か…。『痘痕も靨(あばたもえくぼ)』なのだろうか…。
ゆっくりとアイナと最初の夜を過ごしていった。





朝チュンです…。

コーヒーの良い香りで目覚めた。
横にはアイナが嬉しそうな顔をして、涎を垂らしながら寝ている。
可愛いやつだ。

「アイナ、おはよう。」
「はーい。もう少し待っててくださいね。あと2日で仕上げますよ~。」

何を2日で仕上げるんだ?

「アイナ、あと2日で何を仕上げるつもりなんだ?」
「ふぇ…、あ、社長~、おはようございます。」

照れてるよ…。

「で、あと2日で何を仕上げるんだ?」
「あ、私そんな事言ってました?」
「あぁ、涎たらしながら言ってたぞ。」
「はい…、お好み焼きを焼く鉄板を改良して、一枚ずつネタを入れることができる窪みを作れば、もっと簡単にお好み焼きを焼けるんだろうと思って…。」
「お!良い着眼点だ。
 では、アイナにとっておきのモノを作ってもらおうかな。」
「何を作るんですか?」
「鉄板に、これくらいのへこみを均等に入れて欲しいんだ。」
「それを何に使うんですか?」
「新しい食べ物を作るんだよ!」
「え!作ります!すぐ作ります!さっさと作ります!」
「ただな…、食材が一つ足りないんだ…。」
「それは何ですか?」
「オクトーだ。」
「げ、あのクネクネしている奴ですか?」
「って事は市場に行けば買えるのか?」
「そう言えば、ナズナさんが探していたものですね。
もしかすると、あるかもしれませんね。」
「アイナ、ありがと!chu」

ベッドから飛び起き、服を着た後、皆にオクト―を探しに市場に行く事を告げた。
最初、俺の慌てた雰囲気に、皆は何事かと構えたらしいが、メリアさんが静めてくれたらしい。

市場に行くと…、ありましたよ!タコ、もといオクトー。
でも青い…。店のヒトに聞けば、熱を加えれば赤くなるって言った。
数は少なかったが、3匹いたから全部買った。

悦び勇んで家に戻り、アイナの工房に行く。
アイナはへこみの大きさを測っていたので、具体的な球体を示し、その半分が埋まるようにへこみを付けてもらうようにした。

「で、この鉄板、いつできる?」
「窪みをつけるだけなので、1時間もあればできますよ~。」
「よし!昼食はタコパだ!」
「何ですか?その“タコパ”とは?」
「ふふ、聞いて驚け!見て腰抜かせ!これから作るものは“たこ焼き”だ!
 その“たこ焼き”を昼食時にみんなに振る舞う!」
「ほう、“タコ焼きパーティー”を略して、“タコパ”ですか…。社長にしては、まぁまぁのネーミングセンスですね。」

ディスられている…。こいつ、俺を何だと思ってるんだ?
まぁ、そんな事を言ってくれるのはアイナだけだし、そもそもアイナのリングには内緒に知能上昇が入っているからな…。

「という訳で、アイナ、鉄板を2枚頼む。」
「はいな~。」

裏の倉庫の前に土魔法で二枚の鉄板が置けるだけの竈を作っておく。
あとは、竈の下に火をくべれば良いようにしておく。
2階に上がり、オクトーやネギもどき、しょうがなどを細かく刻み、相当量のタネを作った。

「カズさん、店の準備が大方できましたので一度確認をお願いしたいので…すが、何をお作りになっているんですか?」
「お、メリアさん良いところに来た。
 このバケツに入っているタネ…、小麦粉と水をかき回して欲しいんだけど。」
「それは構いませんが、結構な量がありますよ。」
「それじゃ、ディートリヒ、ナズナ、ベリルを呼ぶか。」

4人でタネを作ってもらっている間、もう一度アイナのところに行き、“粉つぎ”を2台作ってもらう。

 準備完了!
店の準備をしていたヒトたちを外に呼んで、そこら辺に出しておいたテーブルとイスに座ってもらう。

「みんな、お疲れ様。
 店の準備も終わり、明日の開店を迎えることができました。
 みなさんのご協力に感謝します!
 ついては、ささやかではありますが、昼食をここでみんなで食べましょう!」

作ってくれるヒトは…、お、ヤットさんとラットさんが腕まくりしている。

「それじゃ、最初は俺が手本を見せるから、ヤットさんとラットさん覚えてくださいね。」
「おうさ!(おうよ!)」

タコ焼きの作り方をお披露目する。
作り手はおっさんズだ。ねじり鉢巻きをして的屋のあんちゃん、ってな感じで進めていく。
ネーナさん、相変わらずメモ取りしている。
材料はシンプルだから、誰にでも作れる…と思うのは大間違いなんだよ。
たこ焼きほど奥の深い料理は無い!と俺は思っている…。

「…という訳で、この目打ちを使ってクルクルと回しながら、表面はこんがり、内部はホクホクという状態に作っていくんだ。分かった?」
「こりゃ、おもしれーな。」
「失敗も経験です。何度も作っていれば上達するよ。
 さて、みなさ…、ってもう並んでますね。それじゃ、一人6個ずつね。」

目打ちで三個のたこ焼きを刺して皿に入れる。それをもう一度繰り返し6個に。
タコ焼きの上にマヨネーゼとソースをかけ、フォークで食べてもらう。

最初は…、あ、メリアさんだとヤバいから、アイナで人体実験。

「このたこ焼きの鉄板を作ってくれたのはアイナだから、最初はアイナに。」
「うひゃ、社長~愛してます~。それではアイナ。いっとう最初に“たこ焼き”をいかせてもらいまーす!」

ふふ。今後の展開は分かっているんだよ。アイナ…。
さっき俺をディスった罰を受けろ!

「あっつーーーーーーーーーーーーーーー!」

ふ…。当然だよ。

「となるので、ハフハフしながら食べてください。分かりましたかぁ~。」
「はい((((はい))))」」

水をがぶ飲みしているアイナを尻目にどんどん“たこ焼き”を焼き、皆がハフハフしながら楽しいタコパが続いていく…。
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