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第九章
9-20 ハンバーガーとパスタ
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取り敢えずの説明会を終え、屋敷の応接室に入っていく。
ニコルは初めてなので、少しキョドっているが、あとの2人は堂に行っている。
「ニノマエ様、これが代金となっております。」
「お、ありがとうございました。」
俺はバスチャンさんから謝礼をいただき、そのままニコルに渡す。
「ニノマエ氏よ。すまんがもう一台あの馬車を欲しいのだが…。」
「しかし、伯爵様、あれは高いですよ。」
「それはそうだが、儂の馬車もあの静かさが欲しい。」
「あの振動の無さは素晴らしいですわ。」
「ほんと、そのとおりですね。私達の馬車をお貸ししただけの事はありましたね。」
「ふふ、そうですね。こういった先見の明がないヒトはどんどん遅れていくのですわ。ね!あなた。」
「だから、すまなかったって言っておろうに…。だから儂の馬車にもあれが欲しいんじゃが…。」
「あなたはまだです。本当にあの機能に満足できた段階で、お金を貯めて改修して差し上げます。
今はあのガタガタする馬車で我慢していなさい。」
伯爵さん、肩身が狭いね。
この世界では女性が強いというのが良く分かるよ。
「で、ビーイの街ではどうだったのか?」
「はい。すべて首尾よく行きました。」
「メリアドール様も攻略したのか?」
「え、あ、ハイ…。」
「どうした?何か言えぬことでもあるのか?」
「では、少しだけお話しします…。」
俺はこれまでの事を話す。
ノーオの街での工場建設から始まり、メリアドールさんの娘さんと息子さんと決闘してけちょんけちょんにしてしまった事、そして、石鹸、シャンプー類、下着の製造の特許取得、さらに重曹の取り出し方などすべて話し、王宮の見張り番としてメリアドールさんが俺の監視をすることを伝えていく…。
伯爵とティエラさんは呆けているが、ユーリさんはうんうんと頷いている。
「さすが、メリアドール様ですね。真の策略家ですわね。」
「でも、ニノマエ氏よ、そちはそれで良いのか?
これから、王宮の刺客となるヒトがくるのだぞ。」
「ニノマエ様はホント規格外ですわね。」
三者三様だ。でも、皆反対はしていない。
むしろ、王宮の息がかかるのが安全であるとの考えの方が強いのだろう。
「もう一点、馬車の改良が問題でしょう。
これをこのシェルフールで行うとなると、伯爵家に迷惑がかかります。
故に火山帯の街に拠点を作り、そこで馬車を改良したいのです。」
「おそらく、王宮はノーとは言えませんね。
そうであれば、即座に行動を移された方がよろしいかと存じます。
あなた、確かあそこはコール男爵が居ましたね。」
「あぁ、だが、スタンピード後の配置換えで、遠くに行く予定だと聞いておる。」
「では、その屋敷や何から何まですべてニノマエ様に譲れば良いのでは?」
「まぁ、王宮が管理している土地と建物だからな。もし、それでニノマエ氏が良ければ…だが。」
「一度見てみないと分かりませんね。」
「しかし、あそこは何もないぞ。鉱山も鉄はほぼ取りつくしたと聞いておるし、火山帯にはドラゴンも棲んでいるときいておるし…。」
「お!ドラゴンですか。一度見てみたいですね。」
「数千年は生きていると聞いておるが、信ぴょう性はないがの。」
そんな話をしながら昼食となる。
今回は、ハンバーガーを作っていく。
相変わらず、料理人のおっちゃんは、俺にレシピを教えてくれと煩いが、もう少ししたら柔らかいパンもできるようになるから、と宥めその場を取り繕っておく。
「で、ニノマエ氏よ、これはどうやって食べるものか?」
まぁ、そうなるね。
「では、ディートリヒ達が見本を見せますので、真似てお召し上がりください。」
彼女たちは上品にパンの中身を取っていく。
そしてケチャップを付けてパクっといく。
「まぁ、美味しそう。」
ティエラ様が同じようにパクっと食べる。
「うん!これはお肉がジューシーでパンとあいますね。」
ユーリ様も一口いく。
「サンドウィッチよりも味が濃いですね。これは売れますね。」
最後に伯爵が大きな口を開けてガブっと行く。
あ、やっぱり…、ケチャップが飛んだ…。
伯爵って、お子様だな…。よくこんな素晴らしい奥様が…、
と考えたが、俺も一緒だ…。
『人の振り見て我が振り直せ』だと痛感した…。
やはり、女性が世界を回しているんだな…。
「で、ニノマエ様、この“重曹”なるものも特許をお取りになるのですか?」
「一応製法がこの世界でもあると思いますので、それは取りません。」
「こんな良いものなのにですか?これは売れますよ。」
「かもしれませんね。しかし、今あるものに特許はとれませんよ。」
「確かにそうですね。」
「ただ、重曹が石鹸の成分をなること、パンをふっくらと焼き上げる成分になることは新技術なので特許を取りに行きます。それと、下着ですね。」
「そうそう。あの下着ですが、いつ頃販売をされるのですか?」
「ようやく布を縫う機械ができましたし、あと数日でノーオの街から工場を任せるヒトが遊びに来ますので、そのヒトが帰ってから、という事になりますね。
早ければ来月か…、そんなところです。」
「あの下着は素晴らしいです。機能的でもありますし、胸を綺麗に見せることができますからね。」
「でも、最初は高いですよ!今、王都でメリアドール様とスティナ様が吹聴してくださってますので、見栄ばかり張っている貴族が最初に買いに来るでしょうからね。
そいつらには膨大な金で買わせますから、その後の方が良いかと思います。」
「のう…、ニノマエ氏よ。そちは何を企んでおるのだ?」
「これはメリアドール様との約束ですよ。
真面目に領地経営をされておられる方には何も問題はございません。」
「ニノマエ様も、だんだんとメリアドール様のような策士になられてきましたね。」
ユーリ様がくっくと笑う。
そんな話をして、伯爵邸で無事馬車の引き渡しを終えることができた。
ザックさんがこの街まで来るのに、あと一週間くらいか…。
丁度7日くらいある。
馬車は7日後にもう一台できる。それをザックさんに渡せばいいだろう。
後は、山岳地帯の街の視察か…。
明日から少しずつ道を直していくか、それともダンジョンに入って、素材を採ってくるか…。
あ、ダンジョンを踏破するとどうなるんだろう…、それも聞きたい。
ナズナも明日帰ってくる。
家に戻ると、ヤットさんとラットさんが2つの道具を持ってくる。
「旦那、朝旦那が欲しいって言ってた道具ってこんな感じでいいんですかい?」
「お、ミンチとパスタマシーンだ。ありがとう。これで夕食が簡単にできるようになるね。」
「へへ。お安い御用ですぜ。それじゃ、ミシンを組み立てた後、武器を作ってみやす。」
「よろしくね。」
パスタマシーンが手に入ったので、今晩はパスタにしよう。
ミンチを作り、トマトソースで煮込む…、そうミートソースパスタだ!
ディートリヒ、ベリルとニコルとで、先ずは小麦粉を練る。
そして練った塊を向こう側に入れ、ハンドルを回す。
おぉ!にゅるにゅると出てきた。生パスタだ。
「カズ様、こののにょろにょろは何ですか?」
「これはな、“パスタ”とか“スパゲッティ”と言って、うどんに似た食べ物だ。この世界には無いのか?」
「先日のお好み焼きもそうでしたが、小麦粉を使う料理と言えばパンくらいしか無いように思います。」
「あ、多分、国や地域に寄っていろんな形があるから、分からないのかもしれないね。」
俺は、パスタを湯に通し皆に食べさせてみる。
「これは、もちもちしていて美味しいですね。」
「いろんなソースと和えて食べるんだ。そうするといろんな味が楽しむことができるんだよ。」
「では、これを入れるのはどうですか?」
ベリルはソースを持ってくる。
「いや、流石にそれを入れると“パスタ”ではなく“焼きそば”になってしまう…。」
「そうですか。美味しいと思うのですが。」
「うん。美味しいよ。でもそれは次の機会にみんなで食べようか。」
「はい!是非お願いします。」
ミンチ肉を炒めた中にトマトを煮込んだ汁を入れる。
そこに調味料を加え、味を調える。
「うん!こんなものかな。」
「ニノ様、味見をさせていただいても…。」
「うん。いいよ。」
少しスプーンにすくってニコルに食べてもらう。
「何ですか?このまろやかでコクもあって、お肉の味がしっかりとソースにしみこんでいます。」
なんだ?この食レポは?
「そうか、んじゃ、これを夕ご飯にするね。」
「いえ、多分これだけでは足りませんね。すぐになくなってしまうと思います。」
「え?3㎏はあるよ。」
「はい。私が1㎏、ディートリヒ様が1㎏、ベリル様が1㎏で他のヒトには回らないのです…。」
「ごめん…。パスタ1㎏ってどんだけ食うんだ…。」
ニコルは初めてなので、少しキョドっているが、あとの2人は堂に行っている。
「ニノマエ様、これが代金となっております。」
「お、ありがとうございました。」
俺はバスチャンさんから謝礼をいただき、そのままニコルに渡す。
「ニノマエ氏よ。すまんがもう一台あの馬車を欲しいのだが…。」
「しかし、伯爵様、あれは高いですよ。」
「それはそうだが、儂の馬車もあの静かさが欲しい。」
「あの振動の無さは素晴らしいですわ。」
「ほんと、そのとおりですね。私達の馬車をお貸ししただけの事はありましたね。」
「ふふ、そうですね。こういった先見の明がないヒトはどんどん遅れていくのですわ。ね!あなた。」
「だから、すまなかったって言っておろうに…。だから儂の馬車にもあれが欲しいんじゃが…。」
「あなたはまだです。本当にあの機能に満足できた段階で、お金を貯めて改修して差し上げます。
今はあのガタガタする馬車で我慢していなさい。」
伯爵さん、肩身が狭いね。
この世界では女性が強いというのが良く分かるよ。
「で、ビーイの街ではどうだったのか?」
「はい。すべて首尾よく行きました。」
「メリアドール様も攻略したのか?」
「え、あ、ハイ…。」
「どうした?何か言えぬことでもあるのか?」
「では、少しだけお話しします…。」
俺はこれまでの事を話す。
ノーオの街での工場建設から始まり、メリアドールさんの娘さんと息子さんと決闘してけちょんけちょんにしてしまった事、そして、石鹸、シャンプー類、下着の製造の特許取得、さらに重曹の取り出し方などすべて話し、王宮の見張り番としてメリアドールさんが俺の監視をすることを伝えていく…。
伯爵とティエラさんは呆けているが、ユーリさんはうんうんと頷いている。
「さすが、メリアドール様ですね。真の策略家ですわね。」
「でも、ニノマエ氏よ、そちはそれで良いのか?
これから、王宮の刺客となるヒトがくるのだぞ。」
「ニノマエ様はホント規格外ですわね。」
三者三様だ。でも、皆反対はしていない。
むしろ、王宮の息がかかるのが安全であるとの考えの方が強いのだろう。
「もう一点、馬車の改良が問題でしょう。
これをこのシェルフールで行うとなると、伯爵家に迷惑がかかります。
故に火山帯の街に拠点を作り、そこで馬車を改良したいのです。」
「おそらく、王宮はノーとは言えませんね。
そうであれば、即座に行動を移された方がよろしいかと存じます。
あなた、確かあそこはコール男爵が居ましたね。」
「あぁ、だが、スタンピード後の配置換えで、遠くに行く予定だと聞いておる。」
「では、その屋敷や何から何まですべてニノマエ様に譲れば良いのでは?」
「まぁ、王宮が管理している土地と建物だからな。もし、それでニノマエ氏が良ければ…だが。」
「一度見てみないと分かりませんね。」
「しかし、あそこは何もないぞ。鉱山も鉄はほぼ取りつくしたと聞いておるし、火山帯にはドラゴンも棲んでいるときいておるし…。」
「お!ドラゴンですか。一度見てみたいですね。」
「数千年は生きていると聞いておるが、信ぴょう性はないがの。」
そんな話をしながら昼食となる。
今回は、ハンバーガーを作っていく。
相変わらず、料理人のおっちゃんは、俺にレシピを教えてくれと煩いが、もう少ししたら柔らかいパンもできるようになるから、と宥めその場を取り繕っておく。
「で、ニノマエ氏よ、これはどうやって食べるものか?」
まぁ、そうなるね。
「では、ディートリヒ達が見本を見せますので、真似てお召し上がりください。」
彼女たちは上品にパンの中身を取っていく。
そしてケチャップを付けてパクっといく。
「まぁ、美味しそう。」
ティエラ様が同じようにパクっと食べる。
「うん!これはお肉がジューシーでパンとあいますね。」
ユーリ様も一口いく。
「サンドウィッチよりも味が濃いですね。これは売れますね。」
最後に伯爵が大きな口を開けてガブっと行く。
あ、やっぱり…、ケチャップが飛んだ…。
伯爵って、お子様だな…。よくこんな素晴らしい奥様が…、
と考えたが、俺も一緒だ…。
『人の振り見て我が振り直せ』だと痛感した…。
やはり、女性が世界を回しているんだな…。
「で、ニノマエ様、この“重曹”なるものも特許をお取りになるのですか?」
「一応製法がこの世界でもあると思いますので、それは取りません。」
「こんな良いものなのにですか?これは売れますよ。」
「かもしれませんね。しかし、今あるものに特許はとれませんよ。」
「確かにそうですね。」
「ただ、重曹が石鹸の成分をなること、パンをふっくらと焼き上げる成分になることは新技術なので特許を取りに行きます。それと、下着ですね。」
「そうそう。あの下着ですが、いつ頃販売をされるのですか?」
「ようやく布を縫う機械ができましたし、あと数日でノーオの街から工場を任せるヒトが遊びに来ますので、そのヒトが帰ってから、という事になりますね。
早ければ来月か…、そんなところです。」
「あの下着は素晴らしいです。機能的でもありますし、胸を綺麗に見せることができますからね。」
「でも、最初は高いですよ!今、王都でメリアドール様とスティナ様が吹聴してくださってますので、見栄ばかり張っている貴族が最初に買いに来るでしょうからね。
そいつらには膨大な金で買わせますから、その後の方が良いかと思います。」
「のう…、ニノマエ氏よ。そちは何を企んでおるのだ?」
「これはメリアドール様との約束ですよ。
真面目に領地経営をされておられる方には何も問題はございません。」
「ニノマエ様も、だんだんとメリアドール様のような策士になられてきましたね。」
ユーリ様がくっくと笑う。
そんな話をして、伯爵邸で無事馬車の引き渡しを終えることができた。
ザックさんがこの街まで来るのに、あと一週間くらいか…。
丁度7日くらいある。
馬車は7日後にもう一台できる。それをザックさんに渡せばいいだろう。
後は、山岳地帯の街の視察か…。
明日から少しずつ道を直していくか、それともダンジョンに入って、素材を採ってくるか…。
あ、ダンジョンを踏破するとどうなるんだろう…、それも聞きたい。
ナズナも明日帰ってくる。
家に戻ると、ヤットさんとラットさんが2つの道具を持ってくる。
「旦那、朝旦那が欲しいって言ってた道具ってこんな感じでいいんですかい?」
「お、ミンチとパスタマシーンだ。ありがとう。これで夕食が簡単にできるようになるね。」
「へへ。お安い御用ですぜ。それじゃ、ミシンを組み立てた後、武器を作ってみやす。」
「よろしくね。」
パスタマシーンが手に入ったので、今晩はパスタにしよう。
ミンチを作り、トマトソースで煮込む…、そうミートソースパスタだ!
ディートリヒ、ベリルとニコルとで、先ずは小麦粉を練る。
そして練った塊を向こう側に入れ、ハンドルを回す。
おぉ!にゅるにゅると出てきた。生パスタだ。
「カズ様、こののにょろにょろは何ですか?」
「これはな、“パスタ”とか“スパゲッティ”と言って、うどんに似た食べ物だ。この世界には無いのか?」
「先日のお好み焼きもそうでしたが、小麦粉を使う料理と言えばパンくらいしか無いように思います。」
「あ、多分、国や地域に寄っていろんな形があるから、分からないのかもしれないね。」
俺は、パスタを湯に通し皆に食べさせてみる。
「これは、もちもちしていて美味しいですね。」
「いろんなソースと和えて食べるんだ。そうするといろんな味が楽しむことができるんだよ。」
「では、これを入れるのはどうですか?」
ベリルはソースを持ってくる。
「いや、流石にそれを入れると“パスタ”ではなく“焼きそば”になってしまう…。」
「そうですか。美味しいと思うのですが。」
「うん。美味しいよ。でもそれは次の機会にみんなで食べようか。」
「はい!是非お願いします。」
ミンチ肉を炒めた中にトマトを煮込んだ汁を入れる。
そこに調味料を加え、味を調える。
「うん!こんなものかな。」
「ニノ様、味見をさせていただいても…。」
「うん。いいよ。」
少しスプーンにすくってニコルに食べてもらう。
「何ですか?このまろやかでコクもあって、お肉の味がしっかりとソースにしみこんでいます。」
なんだ?この食レポは?
「そうか、んじゃ、これを夕ご飯にするね。」
「いえ、多分これだけでは足りませんね。すぐになくなってしまうと思います。」
「え?3㎏はあるよ。」
「はい。私が1㎏、ディートリヒ様が1㎏、ベリル様が1㎏で他のヒトには回らないのです…。」
「ごめん…。パスタ1㎏ってどんだけ食うんだ…。」
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