地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

文字の大きさ
上 下
226 / 318
第九章

9-11 研修会 in ダンジョン③

しおりを挟む
「色街に知り合いが居てね。そこで入らせてもらったんだ。
 だから、俺の家にも風呂があるんだよ。」
「へ?((へ?))」

 3人がきょとんとしている。
驚きの連続なんだろうな…。

「風呂は正義なんだ!それに風呂好きに悪い奴はいないんだよ。」
「そうなんですね…。ホントにニノマエさんは規格外なんですね。」

 ディスられた?

「で、今日、ダンジョンに入って、もう死にたいなんて思わなくなったでしょ。」
「そうですね…。上には上が居るということを改めて痛感しました。」
「俺達よりも強い冒険者はたくさんいるよ。
その人たちは、自分たちの攻撃、守備パターンが既にできていて、そのパターンを魔物に当てるんじゃないかと思う。」
「冒険者と言っても奥が深いんですね。」
「そりゃ、戦い方はヒトそれぞれだからね。」
「ニノマエさん、質問がございます。」
「はい、エレメンツィアさん。どうぞ。」
「なぜ、皆さんは無詠唱で魔法が撃てるんですか?」
「うーん。それは魔法の体系が皆と違うって事かもしれないね。」
「体系といいますと?」
「みんなが使う魔法は、魔法陣の中に詠唱で紋様を入れてから撃つという事だと思うけど、それで合ってる?」
「はい。そんな感じです。」
「俺たちはマナを動かし、魔法を放つというイメージなんだ。
 なので、体内のマナを動かしているだけで詠唱が無い。」
「そんな魔法があるんですか?」
「この魔法だってそうだよ。」

 俺は指の先から炎を出す。チャッ〇マンだ。

「へ?」
「俺よりも、ディートリヒやベリルの方が凄いぞ。
 何せ剣にマナを乗せて飛ばすことができるんだからね。」
「ディートリヒさんもベリルさんも魔剣士ではないのですか?」
「私たちは剣士のスキルはありますが、魔剣士というスキルは持っていませんよ。」
「ディートリヒ、そうなのか?」
「はい。鑑定していただければ分かると思います。」

 うん。今度にしよう…。今鑑定すると何が出てくるのか怖い…。

「それと、この技は先天的に与えられたものではありません。ここに居るカズ様に教えていただき、出来た技です。」
「へ((へ))?」

3名が驚愕した…。

「普通、スキルや魔法は先天的にもらうものだと思っていましたが…。」
「でも、後天的に身に着けることができた。
 さっきの罠解除も即席でできるようになっていたよ。」
「へ((へ))?」

3名が驚愕した…、アゲイン。

「そうですか…、私たちも強くなる可能性もあるという事でしょうか。」
「有るとも言えるし、無いとも言えるね。要は自分次第だよ。」
「そうですか…。」
「あ、それと、今日の周回で君たちが奴隷となった金額は達成できたから、ダンジョンを出たら、奴隷を解消しよう。」
「へ((へ))?」

3名が驚愕した…、リターン。

「えと、金貨12枚ですよ…。」
「はい。それだけの素材は集まっております。それにオークの睾丸が2つ出ましたので、十分だと思います。」
「だそうだ。」
「ありがとうございます。」
「まぁ、ダンジョンを出て、奴隷を解消した後、君たちがどうしたいのか教えて欲しい。」
 
 途端に3人が真剣な顔になった。

「ニノマエさん、おそらくニノマエさんは分かっていると思いますが、私たちはハーフエルフです。」
「うん。」
「ハーフエルフは、エルフよりもマナが少なく、ヒトよりも体力がありません…。
 故に他種族から蔑まれています。
もし、私たちのような者を奴隷にすることで、ニノマエさんが不利になることは往々にして有り得ると思います。」
「で?」
「で、と言いますと?」
「俺がどうだとか言うんじゃなく、君たち自身がどうしたいのかだよ。」
「そうでしたね…。」
「んじゃ、一人一人今の考えを聞いておこうか。
 先ずはエレメンツィア、君はどうしたい?」
「はい…。
 私は、このまま冒険者として活動していきたいです。」
「じゃぁ、ミリーは?」
「私は、ハーフエルフでも雇ってもらえるようなところで静かに暮らしたいです。」
「最後にニコルは?」
「私は、治癒師としてはまだまだですので、経験を積みたいです。」

「そうか、んじゃ、今はそれで良いんじゃないか?」
「え、でも私たちはニノマエさんの奴隷ですよ。」
「でも、金額が支払えれば解消できるんでしょ。」
「それはそうですが…。」
「んじゃ、もう奴隷は解消じゃない?」
「あの…、ニノマエさんはそれで良いのですか?」
「え、何で?」
「私たちの命を助け、必要な支援もし、お金が支払われたら、それでおしまいって…。」
「良いよ。君たちには君たちの生き方があるし、考え方もあるんじゃない?
 それで良いと思う。」
「ニノマエさんには私たちは魅力的な存在にならなかったという事ですね…。」
「はい。その通りですわ。」

 おい、ディートリヒ、何ふんすかしている?

「先だっても言いました通り、カズ様は私たちだけで十分なのですよ。
 そこに入ってくるためには、それ相応の覚悟が必要なのです。
 今のあなたたちには覚悟というものがありません。
 優柔不断は命取りになります。
 冒険者を続けるなら、それなりの覚悟を持つ事、それ以外であっても覚悟を持つ。
 さらに、カズ様に愛してもらえるヒトとなる場合は、もっと覚悟が必要です!」
 
 ごめん…、ディーさんが何を言っているのか分からない…。
それなりに覚悟を持てばいいんだけど、そこに何で俺が入って来るんだ?

「ディートリヒ、言ってることが分からないんだが…。」
「はい。私にも分かりません!」
「は?おま…、まぁいいや。
 とにかく、フラフラしていたらダメって事だよ。
 冒険者を続けるなら良いパーティーを見つけることだ。2人じゃ危ないからな。
 それと、ミリーさん。君が働きたいという事であれば、その職が俺が用意するよ。
 ただし、厳しいロリババァが居るけどね。
 まぁ、ゆっくり考えなよ。
 俺たちは風呂に入って来るから。」

 3人で風呂に入り、身体を休める。

「なぁ、ベリル?あの3人はどう動くんだろうね?」
「少なくとも3人一緒の道を歩むことはないでしょうね。
 既にミリーさんは自身の攻撃魔法の力を見極められました。
 ミリーさんをみているとスピネルを見ているようです。
 彼女は攻撃というよりも生産系の魔法の使い方が上手いと思います。」
「そうか…。んじゃ、後の二人は?」
「マナの使い方次第でしょう。
 ただ、自分たちがハーフエルフという中途半端な存在だと考えているうちは伸びませんね。」
「なんか難しいんだな…。」
「先ほど、彼女たちが言ってましたが、エルフよりもマナが少ない、ヒトよりも体力がないのではなく、エルフよりも体力があり、ヒトよりもマナが多いと考えることができるかどうかです。」
「そうか…、ベリルもそんな考え方ができるようになったんだな…。
 なんか嬉しいね。」
「では、ご褒美に今晩は2人で…。」
「外に3人いるよ。」
「音遮断をお願いします!」
「テントがゴソゴソ動くよ。」
「動かないようにします!」
「ふふ。良いよ。3人で愛し合おう。」
「やった!(やった!)」

 その晩は、ディートリヒとベリルとで、静かにゆっくりと愛し合いました…。

 朝チュンです…。
スズメは鳴いていませんが、朝チュンです。
彼女たちは満足そうに俺の胸で寝ている。

 ディートリヒにキスをし、次にベリルにキスをして2人を起こす。

「カズ様、最高でした。」
「主殿、官能的でした。」
「お、おぅ。ありがとね。」

 テントを畳み、朝食を食べる。
3人はいろいろと悩んだのだろう…。目の下にくまが出来ている。

「皆、一晩悩んだんだね。これからの生き方を決めるんだ。とても必要なことだと思うよ。」

「いえ…、ニノマエさん…、その…、あの…、」

 何故か3人がモゾモゾしている。トイレはテントの中にあったはずだけど?

「どうかした?」
「いえ…、昨晩ですが…、その…、みなさんの声が聞こえてきまして…。
 そんなに良いものかを想像しておりましたら、その…、寝られなくなってしまい…。」

「ごめん。ディートリヒ、ベリル…、音遮断魔法かけるの忘れてた…。」
「ええーーー(ええーー)!」

 二人の声がダンジョン内に響き渡った…。
しおりを挟む
いつも読んでいただき、ありがとうございます。完結しましたが、次回作なども検討中です。ご感想をお待ちしております。
感想 4

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

おねしょ合宿の秘密

カルラ アンジェリ
大衆娯楽
おねしょが治らない10人の中高生の少女10人の治療合宿を通じての友情を描く

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

処理中です...