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第八章
8-25 ノーオよ!私は帰って来た!
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「ディートリヒ、ザックさんの奥様方にもお土産渡しておいた方がいいよな。」
「はい。できればマナ向上や魔力向上のような付与が付いたものがあると良いでしょう。」
「てことはアクセサリーだね。んじゃ、3点セットで。あ、ザックさんにもリングを渡そうか。」
「では、同じデザインのものを…、これは如何でしょうか?」
「うん。分かった。じゃネックレスとマナ向上、イアリングに魔力向上、リングは精神安定と魔力向上を付与しておこう。」
その場で、付与していく。
付与も慣れてきた。
最初はイメージするのが難しかったが、マナの移動をイメージするようになってからは、各段に早くなった。
「社長~。街の中が大変な状況になっていますよ~。」
アイナの呑気な声がする。
通りを見ると、前方にステージのようなものがある…。
「ありゃ、何だ?」
目を凝らすと、ステージの前で手を振っているザックさんと、その隣は誰だろう…、身なりの良いヒトが立っている。
俺たちは馬車を降り、ザックさんが居るステージに近寄っていく。
「兄貴、お帰りをお待ちしておりました。」
「ザックさん、ただいまです。
ですが、一体この賑わいは何ですか?」
「そりゃ、兄貴がこの街に白金貨を投資してくれたんで、工場を建てる式典です。」
「はい?何でそんな大それたことを?」
「兄貴、工場を建てるということは雇用が生まれるという事ですぜ。
糸を紡ぐヒト、織子さんも雇うことになりますし、そのヒト達の世話をするヒトも必要です。
家事しかできなかった女性を雇えば、家庭も裕福になりますからね。
あ、紹介してませんでした。
こちらは、このノーオを収める行政官さまです。」
「お初にお目にかかります。私、ノーオを管理させていただいております、シュラスと申します。」
「ニノマエです。」
「本来であれば、協定締結式なども執り行いところですが、ザックさんからニノマエ様は、仰々しいのはお好きでないという事でしたので、スピーチのみにさせていただきました。」
「は?スピーチですか?そんなの俺は無理ですよ。」
そうなんだ…、人前で話すことほど大嫌いなものはない。
保育園の時、地元のお祭りでステージで歌わされたんだが、上がってしまい、一番しか歌えなかった…。
過去の黒い歴史だよ…。
「一言で結構です。この街を興してくださる立役者ですからね。」
「……。仕方ありませんね。ほんと一言ですよ。」
ステージでは司会者が何やら話している。
「続きまして、今回、このノーオに工場を3つ建設していただくニノマエ様からお言葉を頂戴いたします。」
風魔法で声を通るようにしているのか…。
やる事が大げさすぎる…。
俺はしぶしぶステージに上がり、礼をする。
「ご紹介のありましたニノマエと申します。
あまり人前で話をするのが得意ではないので、お許しください。」
<あんちゃん、あたいを娶ってくれないかね~>
ヤジられた。でも、少し和んだ。
「残念ながら、おっさんなのでそんな元気ないですよ。
それよりも、皆さんいっぱい働いてもらい、お金をいっぱい稼いでください。
そして、この街を笑顔にしてください。
そのために、工場を建てます。変えていくのは女性の皆さんからです。」
<なんだい、女のあたいたちが仕事をするのかい?>
「そうですよ。男性が作るよりも女性が作るものの方が美しいのです。
みなさんの感性を是非役立ててください。」
<よっしゃ、わかったよ~>
<あんた、いい男だね~>
<今晩どうだい~>
「はは、皆さんにはもっと若い男性の方がお似合いですよ。
では、みなさん、よろしくお願いしますね!」
挨拶なのか、問答なのかは分からないが、和んだ雰囲気で終わった。
ステージを降りる時、やじられた方を見ると…、あ、遊郭のあの女性だ。
俺にサムズアップしているよ。
俺もサムズアップを返した。
なんか、こういう心配りは嬉しくなるね。
式典は続いているが、俺はザックさんと工場建設地に行く。
整地は土魔法師が余りいないせいか、さほど進んでいない。
「兄貴、この広さを整地するにはどれくらいかかりますかね。」
「土魔法師の技量にもよるけど…。
そうだ、アイナ、スピネルこっちに来て。」
彼女たちを呼び、どのあたりまで整地できるのか聞いてみる。
スピネルは流石マナが多い。建設地の5分の2なら整地はできるようだ。
アイナはまだ駆け出しなので、出来ない。
それじゃ、残りは俺がやろう。
「んじゃ、スピネル、あそこからここまで整地してもらえるか?」
「主様、分かりました。 えい!」
地面がモコモコを動き始め、大きな岩が取り出され粉砕される。その粉砕された石を混ぜ、地面を固くならしていく。
うん。出来栄えも完璧だ。
「ザックさん、こんな感じで整地すればいいかい?」
「へ?あ…、ああ。問題ないです。」
「それじゃ、残りは俺がっと。ほい!」
残りの地面が揺れ、同じように整地されていく。
スピネルも俺もマナは大丈夫だ。
「ベリル、ここ一面にブレスか、ファイヤーボムで地面を焼くことはできるか?」
「主殿、ブレスよりもボムの方が効果が広くなりますね。
この広さだと5発でいけますね。」
「分かった。じゃナズナ。すまないが、こことあそこに直線状に土のバレットを打ち込んで欲しい。」
「お館様、分かりました。裂け目を入れるような感じでよいですか?」
「うん。それでお願い。次にディートリヒ、ボムは熱が広がるから、ヒトの居ない方へ熱が逃げるよう剣撃で熱を拡散させてほしい。もしベリルもマナの問題がなければ剣撃で熱を飛ばして。」
「カズ様、分かりました。」
「それじゃ、みんな連携してやってみよう。
ナズナ、やってくれ!
うし、次ベリル。うん、いい感じだ。
ディートリヒ、OK大丈夫だ。
んじゃ、最後に、“ウル〇ラ水流”!」
熱を持っている整地に水をかけた。
ジュ―という水蒸気とともに、地面が固まっていく。
最初にヒビも入れてあるので、さほど割れることもなく固まった。
「ザックさん、こんなもんでいいかな?」
「へ…?あ、兄貴…。今のは?」
「……。『万国びっ〇りショー』です。」
・
・
・
ザックさんの館に戻り、お茶をする。
「さすが兄貴です。一気に整地をしてもらえるなんて…。
それに、兄貴の奥様は、どれほどお強いか拝見させていただきました。
完全に無敵じゃないですか。」
「そんな事ないんだよね。実はな…。」
ビーイの街での一件を話す。
下着は必ず私利私欲に走る貴族が難癖をつけてくる。
先ずは店、そして工場。手っ取り早く技術を盗むためにヒトの引き抜きもある、工場を燃やすような嫌がらせも受ける可能性もあることを説明した。
「兄貴、そりゃ、仕方のない事です。
他人が持っているモノを欲しがったりする欲求は上に行けば行くほど強くなりますからね。
まぁ、そういった奴らを撃退するためにも、あいつらに頑張ってもらわないとね。」
サックさんは外を見る。
ベリルがイカツイ漢たちを指導している。
前はへとへとで死にそうな顔をしていたが、何故か恍惚な表情をしている…。
いや…、まさかな…、変な方向に目覚めなければいいんだが…。
「という事で、皆さんにお土産です。はい!」
俺はお茶をいただきながら奥様ズにアクセサリーを渡す。
「おっと、言い忘れましたが、指輪はザックさんからつけてあげてくださいね。」
ふふ、男性から指輪を贈られる意味は先刻承知しているからね。
「兄貴~、ありがとうございます。」
「ザックさん、早くつけてあげなよ。
これで、ザックさんの家族もこれまで以上に仲良くなれるからさ。」
「ニノマエ様、ありがとうございます。
しかし、この“あくサソリ”というものは凄いですね。マナが増えていく感じがします。」
「はい。因みに“あくサソリ”ではなく、“アクセサリー”ですが、マナ増加と魔力向上という付与がかかっていますからね。」
「そんな高価なものは…、と言いますか、もしかして鑑定以外にも?」
「はい。俺がかけることができます。」
「それでしたら、是非主人に“浮気防止”の付与をお願いします。
先日、遊郭で働く女性にちょっかいかけているって話を聞きましたので。」
「あ…。」
そう言えば下着も渡していたな…。
それに、俺が妻を娶ることも言わなきゃ…。
「すみません…、俺、そんな事言えるヒトではないので…。」
「ニノマエ様、それは一体どういう事で。」
「カズ様が、とうとう妻を娶られることになりました!」
何故、ディートリヒがふんすかする?
「えーーー(((え!?)))。」
ザックさんの家族全員が驚愕した…。
「はい。できればマナ向上や魔力向上のような付与が付いたものがあると良いでしょう。」
「てことはアクセサリーだね。んじゃ、3点セットで。あ、ザックさんにもリングを渡そうか。」
「では、同じデザインのものを…、これは如何でしょうか?」
「うん。分かった。じゃネックレスとマナ向上、イアリングに魔力向上、リングは精神安定と魔力向上を付与しておこう。」
その場で、付与していく。
付与も慣れてきた。
最初はイメージするのが難しかったが、マナの移動をイメージするようになってからは、各段に早くなった。
「社長~。街の中が大変な状況になっていますよ~。」
アイナの呑気な声がする。
通りを見ると、前方にステージのようなものがある…。
「ありゃ、何だ?」
目を凝らすと、ステージの前で手を振っているザックさんと、その隣は誰だろう…、身なりの良いヒトが立っている。
俺たちは馬車を降り、ザックさんが居るステージに近寄っていく。
「兄貴、お帰りをお待ちしておりました。」
「ザックさん、ただいまです。
ですが、一体この賑わいは何ですか?」
「そりゃ、兄貴がこの街に白金貨を投資してくれたんで、工場を建てる式典です。」
「はい?何でそんな大それたことを?」
「兄貴、工場を建てるということは雇用が生まれるという事ですぜ。
糸を紡ぐヒト、織子さんも雇うことになりますし、そのヒト達の世話をするヒトも必要です。
家事しかできなかった女性を雇えば、家庭も裕福になりますからね。
あ、紹介してませんでした。
こちらは、このノーオを収める行政官さまです。」
「お初にお目にかかります。私、ノーオを管理させていただいております、シュラスと申します。」
「ニノマエです。」
「本来であれば、協定締結式なども執り行いところですが、ザックさんからニノマエ様は、仰々しいのはお好きでないという事でしたので、スピーチのみにさせていただきました。」
「は?スピーチですか?そんなの俺は無理ですよ。」
そうなんだ…、人前で話すことほど大嫌いなものはない。
保育園の時、地元のお祭りでステージで歌わされたんだが、上がってしまい、一番しか歌えなかった…。
過去の黒い歴史だよ…。
「一言で結構です。この街を興してくださる立役者ですからね。」
「……。仕方ありませんね。ほんと一言ですよ。」
ステージでは司会者が何やら話している。
「続きまして、今回、このノーオに工場を3つ建設していただくニノマエ様からお言葉を頂戴いたします。」
風魔法で声を通るようにしているのか…。
やる事が大げさすぎる…。
俺はしぶしぶステージに上がり、礼をする。
「ご紹介のありましたニノマエと申します。
あまり人前で話をするのが得意ではないので、お許しください。」
<あんちゃん、あたいを娶ってくれないかね~>
ヤジられた。でも、少し和んだ。
「残念ながら、おっさんなのでそんな元気ないですよ。
それよりも、皆さんいっぱい働いてもらい、お金をいっぱい稼いでください。
そして、この街を笑顔にしてください。
そのために、工場を建てます。変えていくのは女性の皆さんからです。」
<なんだい、女のあたいたちが仕事をするのかい?>
「そうですよ。男性が作るよりも女性が作るものの方が美しいのです。
みなさんの感性を是非役立ててください。」
<よっしゃ、わかったよ~>
<あんた、いい男だね~>
<今晩どうだい~>
「はは、皆さんにはもっと若い男性の方がお似合いですよ。
では、みなさん、よろしくお願いしますね!」
挨拶なのか、問答なのかは分からないが、和んだ雰囲気で終わった。
ステージを降りる時、やじられた方を見ると…、あ、遊郭のあの女性だ。
俺にサムズアップしているよ。
俺もサムズアップを返した。
なんか、こういう心配りは嬉しくなるね。
式典は続いているが、俺はザックさんと工場建設地に行く。
整地は土魔法師が余りいないせいか、さほど進んでいない。
「兄貴、この広さを整地するにはどれくらいかかりますかね。」
「土魔法師の技量にもよるけど…。
そうだ、アイナ、スピネルこっちに来て。」
彼女たちを呼び、どのあたりまで整地できるのか聞いてみる。
スピネルは流石マナが多い。建設地の5分の2なら整地はできるようだ。
アイナはまだ駆け出しなので、出来ない。
それじゃ、残りは俺がやろう。
「んじゃ、スピネル、あそこからここまで整地してもらえるか?」
「主様、分かりました。 えい!」
地面がモコモコを動き始め、大きな岩が取り出され粉砕される。その粉砕された石を混ぜ、地面を固くならしていく。
うん。出来栄えも完璧だ。
「ザックさん、こんな感じで整地すればいいかい?」
「へ?あ…、ああ。問題ないです。」
「それじゃ、残りは俺がっと。ほい!」
残りの地面が揺れ、同じように整地されていく。
スピネルも俺もマナは大丈夫だ。
「ベリル、ここ一面にブレスか、ファイヤーボムで地面を焼くことはできるか?」
「主殿、ブレスよりもボムの方が効果が広くなりますね。
この広さだと5発でいけますね。」
「分かった。じゃナズナ。すまないが、こことあそこに直線状に土のバレットを打ち込んで欲しい。」
「お館様、分かりました。裂け目を入れるような感じでよいですか?」
「うん。それでお願い。次にディートリヒ、ボムは熱が広がるから、ヒトの居ない方へ熱が逃げるよう剣撃で熱を拡散させてほしい。もしベリルもマナの問題がなければ剣撃で熱を飛ばして。」
「カズ様、分かりました。」
「それじゃ、みんな連携してやってみよう。
ナズナ、やってくれ!
うし、次ベリル。うん、いい感じだ。
ディートリヒ、OK大丈夫だ。
んじゃ、最後に、“ウル〇ラ水流”!」
熱を持っている整地に水をかけた。
ジュ―という水蒸気とともに、地面が固まっていく。
最初にヒビも入れてあるので、さほど割れることもなく固まった。
「ザックさん、こんなもんでいいかな?」
「へ…?あ、兄貴…。今のは?」
「……。『万国びっ〇りショー』です。」
・
・
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ザックさんの館に戻り、お茶をする。
「さすが兄貴です。一気に整地をしてもらえるなんて…。
それに、兄貴の奥様は、どれほどお強いか拝見させていただきました。
完全に無敵じゃないですか。」
「そんな事ないんだよね。実はな…。」
ビーイの街での一件を話す。
下着は必ず私利私欲に走る貴族が難癖をつけてくる。
先ずは店、そして工場。手っ取り早く技術を盗むためにヒトの引き抜きもある、工場を燃やすような嫌がらせも受ける可能性もあることを説明した。
「兄貴、そりゃ、仕方のない事です。
他人が持っているモノを欲しがったりする欲求は上に行けば行くほど強くなりますからね。
まぁ、そういった奴らを撃退するためにも、あいつらに頑張ってもらわないとね。」
サックさんは外を見る。
ベリルがイカツイ漢たちを指導している。
前はへとへとで死にそうな顔をしていたが、何故か恍惚な表情をしている…。
いや…、まさかな…、変な方向に目覚めなければいいんだが…。
「という事で、皆さんにお土産です。はい!」
俺はお茶をいただきながら奥様ズにアクセサリーを渡す。
「おっと、言い忘れましたが、指輪はザックさんからつけてあげてくださいね。」
ふふ、男性から指輪を贈られる意味は先刻承知しているからね。
「兄貴~、ありがとうございます。」
「ザックさん、早くつけてあげなよ。
これで、ザックさんの家族もこれまで以上に仲良くなれるからさ。」
「ニノマエ様、ありがとうございます。
しかし、この“あくサソリ”というものは凄いですね。マナが増えていく感じがします。」
「はい。因みに“あくサソリ”ではなく、“アクセサリー”ですが、マナ増加と魔力向上という付与がかかっていますからね。」
「そんな高価なものは…、と言いますか、もしかして鑑定以外にも?」
「はい。俺がかけることができます。」
「それでしたら、是非主人に“浮気防止”の付与をお願いします。
先日、遊郭で働く女性にちょっかいかけているって話を聞きましたので。」
「あ…。」
そう言えば下着も渡していたな…。
それに、俺が妻を娶ることも言わなきゃ…。
「すみません…、俺、そんな事言えるヒトではないので…。」
「ニノマエ様、それは一体どういう事で。」
「カズ様が、とうとう妻を娶られることになりました!」
何故、ディートリヒがふんすかする?
「えーーー(((え!?)))。」
ザックさんの家族全員が驚愕した…。
0
いつも読んでいただき、ありがとうございます。完結しましたが、次回作なども検討中です。ご感想をお待ちしております。
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