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第五章
5-25 終わりよければ…
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ボスをテイムした事で、このコロニーの警戒は解かれた。
が、テイムできていないコカトリスも居るので、巣ごとにテイムをしていく。
オスとメスの番であろう、先ほどのボスの警戒した鳴き声を聞き、もう一羽もやって来たのでテイムをかける。
巣は12個あった。
総勢24羽のコカトリスにテイムをかけたのだから、ディートリヒやナズナはさぞかしマナが枯渇して倒れているのではないかと心配し、彼女たちを探す。
・
・
・
なんか心配してた俺が馬鹿らしくなってきた…。
彼女たちは、既にコカトリスとモフモフしながら楽しんでいるよ。
まぁ、俺にはまだこれからベルタさんとの引き合わせがあるから仕方がない。
あとで、このボスをモフモフしよう…。
「ベルタさん、こっちに来てもらえるか。」
「は、はい。」
この場の現状を理解できないのだろう…。手と足が一緒に出ている…。
エルフさんもお茶目なところがあるんだと微笑む。
「えーと、テイムはできました。あとはベルタさんたちがこの周辺で作業することを了承してくれるか否かを聞きます。」
「はい。お願いします。」
「あ、それと恐怖心を持っていたら、相手にも伝わりますからね。」
動物を飼うときと同じだ。
こちらが恐怖心を持っていると相手にも伝わり、上手くいかなくなることもある。
俺はボスにベルタさんを紹介する。
と言っても言葉は多分通じていないから、先ずは俺の傍にいて、ベルタさんの匂いを認識してもらう。
そして匂いとともに味も覚えてもらう。
そう、手をなめてもらったり、顔をなめてもらったり。
鳥のような魔獣なので、唾液はそんなにないが、それでもびしょびしょになっている。
でも、その唾液の匂いが染みつけば、仲間だと認識してもらえるはずだ。
かくいう俺もすでにびしょびしょだが…。
互いを認識した後、ベルタさんに俺の真似をしてもらうことにした。
抱いている卵のうち育たない卵があるか、即ち無精卵を温めても生まれないものを敢えて温めても最後には腐ってしまうだけなんだ。
そのイメージをベルタさんに伝え、ボスに伝えると、一つの卵を嘴で横にどけるようなしぐさをした。
お!成功した。
俺は、その卵をやさしく触り、その後ボスの目の下を触り、アイテムボックスに収納した。
そして、巣の周りのゴミを掃除し始めた。
最初は戸惑っていたベルタさんであったが、魔獣と意思疎通ができたことを喜び、いろんな巣に行き試している。
すべての巣の親鳥はもう認識しているな。
それじゃ、次なる段階に入りますか。
「皆、大丈夫だから来ていいぞ~。」
俺は5人のエルフの狩人に来てもらい、同じようにレクチャーした。
最初はおっかなびっくりであったが、ベルタさんと同じようにしている。
俺はいつしかボスをモフモフしながら、その風景を見ていた。
「あの、ニノマエ殿。」
うぉ!いつの間にベルタさん来た?
「どうしました?」
「巣でかえらない卵をお願いしたら、18個あったんですが、持って帰れないんです…。」
あ、そうだった。このヒトたちアイテムボックス持っていなかったんだ。
仕方がない。俺は空いているアイテムボックスを2つ渡して、このコカトリスとの共存に使ってほしいことを伝えたら、腰抜かしていた。
いくら隠遁生活をしていてもアイテムボックスの存在と価値は知っていたようで、こんなすごいものを持っているのは余程の方であるとおだてられた。
ベルタさんはじめ5人も打ち解けた頃だろうと思い、そろそろ郷に帰ることにする。
しかし、狩人の一人が頑として帰る事を拒否している。
聞けば、コカトリスの瞳の可愛さに魅了され、もう郷には戻りたくないと駄々をこねているようだ。
うん…。まさしくペットショップの展示ケースの前で地団駄踏んでいる子供と一緒だ…。
どこまでも単純で、どこまでも純粋なヒト達だ。
これから先もずっとこの性格のまま生きていって欲しいよ。
さて、うちの2人はどうなった?
探すも居ない…、あれ?どこ行った?
「お館様~!」
何やら上空から声が聞こえるが…。
俺は空を見上げると、2羽のコカトリスが上空を飛んでいる。
目を凝らすと首の根元辺りで手を振っているナズナと、もう一羽には同じ位置でしがみ付いているディートリヒを見つけることができた。
2羽が悠然と台地に降り、二人が下りてきた。
「あ…、何やってんの…。」
「はい。お館様、乗せてくれると言ってくれたので、空を飛んでまいりました。」
「カズ様、こわがっだぁーーーーー」
この2人、俺以上にテイムができる。
ナズナに至っては会話もできるようだ…。
こいつら凄いな…。
「そろそろ帰るよ。」
「お館様、では、みんなを乗せて帰りましょう。ね、コカちゃん。」
キュー
俺、そこまでテイムできてないよ…。
ナズナに少しここに残ってもらってレクチャーさせようか…。そんな事まで考えていた。
でも、コカトリスに乗って帰れば、皆信じてもらえると思い、ナズナに頼んで5羽のコカトリスに2名ずつ乗せてもらい、帰ることにした。
郷は騒然としたよ…。
何せ、5羽のコカトリスが突然広場に降り立つもんだから、皆腰を抜かしてあたふたしていたが、ベルタさんが、コカトリスから降り立つと、皆一斉に拝み始めてた。
その後、ナズナが5羽を巣に帰ってもらうよう、一応5羽にはお礼という事でオークの肉を一塊1羽ずつに渡したら喜んでいた…、ように見えた。
後でナズナに聞くと、やはり喜んでいたとの事。そしてオーク肉はなかなかありつけないので、もう少しあったら皆に欲しいとまで言われた。
おい!ナズナさん!あんたテイマーとしてやっていけるよ!
そんな一幕があり、今全員が集会所に集まっている。
「…という事で、ここにおられるニノマエ殿とディートリヒ様、そしてテイマー師ナズナ様のおかげでコカトリスと仲良くなることができました。はい、皆拍手~」
ベルタさん、幼稚園の教室になってますよ…。それに、テイマー師って何だ?
テイマーは職業で職業に師を付けるなんて…。
まぁいいや…。深くは追及しないでおこう…。
「それと、これからの事ですが、この5人をコカトリス担当をいたします。」
お、先ほどの5名だ。
一人残念なヒトが居たけど、まぁいいよ。
「最後に、これから彼らが持ち帰ってくれる素材と食材です。」
コカトリスの卵19個、羽たくさん、魔獣の骨たくさん…。
「ニノマエ殿、卵は食材として利用できますが、その他は如何しましょうか。」
「そうですね。例えば、羽といっても種類がありますよね。
こういった綺麗な羽は工芸品に使えませんか?あと、ふわふわした羽は洗浄後、布団の中身として利用できますよ。そして骨はレルネさん、どうですか?」
「ふむ、一度消化されたものだからマナはないが、砕いて使うことはできるの。」
あ、カルシウムか。
石灰岩のようなものであれば、漆喰とかにも利用されているような…。今度相談しよう。
「あとは儂からじゃ。
エンぺ…、うほん、デカいサーペントの解体じゃが、肉が1トン、骨が600㎏、皮が200㎏、鱗が約2,000枚、牙が大小合わせて24本となっておる。
その中の鱗と骨を使って加工した髪留めがこれじゃ。
時間もなかったので5個しか作れんかったが上出来じゃぞ。ほれ見てみぃ。」
俺はその5個の髪留めを見る。
光に当たると青くなったり緑に見えたりする。それにところどころ赤みもある。アンモライトのようだ。
「これは綺麗ですね。それと確実に売れますよ。
あと、これは鑑定しでも大丈夫なようになっていますか?」
「ふふ、その点は問題ない。この郷でも鑑定阻害を持つ者もおるでの。」
俺は髪留めを鑑定してみる。
=====サーペントの髪留め:耐水性+1、魅力+1
「二重線は見えますが、大丈夫のようですね。それと何ですか、魅力+1という付加は?」
「知らぬ。作り手が思う通りに作ったもんじゃからの。」
「それじゃ、この5個を持って、街に戻りますか。」
「いや、加工師が俄然張り切り追っての…、明朝までにあと5個できるそうじゃ。」
あかん、完全に個人の世界に入っていく残念なヒトがたくさん出てくるわ…。
この先思いやられる…。
が、テイムできていないコカトリスも居るので、巣ごとにテイムをしていく。
オスとメスの番であろう、先ほどのボスの警戒した鳴き声を聞き、もう一羽もやって来たのでテイムをかける。
巣は12個あった。
総勢24羽のコカトリスにテイムをかけたのだから、ディートリヒやナズナはさぞかしマナが枯渇して倒れているのではないかと心配し、彼女たちを探す。
・
・
・
なんか心配してた俺が馬鹿らしくなってきた…。
彼女たちは、既にコカトリスとモフモフしながら楽しんでいるよ。
まぁ、俺にはまだこれからベルタさんとの引き合わせがあるから仕方がない。
あとで、このボスをモフモフしよう…。
「ベルタさん、こっちに来てもらえるか。」
「は、はい。」
この場の現状を理解できないのだろう…。手と足が一緒に出ている…。
エルフさんもお茶目なところがあるんだと微笑む。
「えーと、テイムはできました。あとはベルタさんたちがこの周辺で作業することを了承してくれるか否かを聞きます。」
「はい。お願いします。」
「あ、それと恐怖心を持っていたら、相手にも伝わりますからね。」
動物を飼うときと同じだ。
こちらが恐怖心を持っていると相手にも伝わり、上手くいかなくなることもある。
俺はボスにベルタさんを紹介する。
と言っても言葉は多分通じていないから、先ずは俺の傍にいて、ベルタさんの匂いを認識してもらう。
そして匂いとともに味も覚えてもらう。
そう、手をなめてもらったり、顔をなめてもらったり。
鳥のような魔獣なので、唾液はそんなにないが、それでもびしょびしょになっている。
でも、その唾液の匂いが染みつけば、仲間だと認識してもらえるはずだ。
かくいう俺もすでにびしょびしょだが…。
互いを認識した後、ベルタさんに俺の真似をしてもらうことにした。
抱いている卵のうち育たない卵があるか、即ち無精卵を温めても生まれないものを敢えて温めても最後には腐ってしまうだけなんだ。
そのイメージをベルタさんに伝え、ボスに伝えると、一つの卵を嘴で横にどけるようなしぐさをした。
お!成功した。
俺は、その卵をやさしく触り、その後ボスの目の下を触り、アイテムボックスに収納した。
そして、巣の周りのゴミを掃除し始めた。
最初は戸惑っていたベルタさんであったが、魔獣と意思疎通ができたことを喜び、いろんな巣に行き試している。
すべての巣の親鳥はもう認識しているな。
それじゃ、次なる段階に入りますか。
「皆、大丈夫だから来ていいぞ~。」
俺は5人のエルフの狩人に来てもらい、同じようにレクチャーした。
最初はおっかなびっくりであったが、ベルタさんと同じようにしている。
俺はいつしかボスをモフモフしながら、その風景を見ていた。
「あの、ニノマエ殿。」
うぉ!いつの間にベルタさん来た?
「どうしました?」
「巣でかえらない卵をお願いしたら、18個あったんですが、持って帰れないんです…。」
あ、そうだった。このヒトたちアイテムボックス持っていなかったんだ。
仕方がない。俺は空いているアイテムボックスを2つ渡して、このコカトリスとの共存に使ってほしいことを伝えたら、腰抜かしていた。
いくら隠遁生活をしていてもアイテムボックスの存在と価値は知っていたようで、こんなすごいものを持っているのは余程の方であるとおだてられた。
ベルタさんはじめ5人も打ち解けた頃だろうと思い、そろそろ郷に帰ることにする。
しかし、狩人の一人が頑として帰る事を拒否している。
聞けば、コカトリスの瞳の可愛さに魅了され、もう郷には戻りたくないと駄々をこねているようだ。
うん…。まさしくペットショップの展示ケースの前で地団駄踏んでいる子供と一緒だ…。
どこまでも単純で、どこまでも純粋なヒト達だ。
これから先もずっとこの性格のまま生きていって欲しいよ。
さて、うちの2人はどうなった?
探すも居ない…、あれ?どこ行った?
「お館様~!」
何やら上空から声が聞こえるが…。
俺は空を見上げると、2羽のコカトリスが上空を飛んでいる。
目を凝らすと首の根元辺りで手を振っているナズナと、もう一羽には同じ位置でしがみ付いているディートリヒを見つけることができた。
2羽が悠然と台地に降り、二人が下りてきた。
「あ…、何やってんの…。」
「はい。お館様、乗せてくれると言ってくれたので、空を飛んでまいりました。」
「カズ様、こわがっだぁーーーーー」
この2人、俺以上にテイムができる。
ナズナに至っては会話もできるようだ…。
こいつら凄いな…。
「そろそろ帰るよ。」
「お館様、では、みんなを乗せて帰りましょう。ね、コカちゃん。」
キュー
俺、そこまでテイムできてないよ…。
ナズナに少しここに残ってもらってレクチャーさせようか…。そんな事まで考えていた。
でも、コカトリスに乗って帰れば、皆信じてもらえると思い、ナズナに頼んで5羽のコカトリスに2名ずつ乗せてもらい、帰ることにした。
郷は騒然としたよ…。
何せ、5羽のコカトリスが突然広場に降り立つもんだから、皆腰を抜かしてあたふたしていたが、ベルタさんが、コカトリスから降り立つと、皆一斉に拝み始めてた。
その後、ナズナが5羽を巣に帰ってもらうよう、一応5羽にはお礼という事でオークの肉を一塊1羽ずつに渡したら喜んでいた…、ように見えた。
後でナズナに聞くと、やはり喜んでいたとの事。そしてオーク肉はなかなかありつけないので、もう少しあったら皆に欲しいとまで言われた。
おい!ナズナさん!あんたテイマーとしてやっていけるよ!
そんな一幕があり、今全員が集会所に集まっている。
「…という事で、ここにおられるニノマエ殿とディートリヒ様、そしてテイマー師ナズナ様のおかげでコカトリスと仲良くなることができました。はい、皆拍手~」
ベルタさん、幼稚園の教室になってますよ…。それに、テイマー師って何だ?
テイマーは職業で職業に師を付けるなんて…。
まぁいいや…。深くは追及しないでおこう…。
「それと、これからの事ですが、この5人をコカトリス担当をいたします。」
お、先ほどの5名だ。
一人残念なヒトが居たけど、まぁいいよ。
「最後に、これから彼らが持ち帰ってくれる素材と食材です。」
コカトリスの卵19個、羽たくさん、魔獣の骨たくさん…。
「ニノマエ殿、卵は食材として利用できますが、その他は如何しましょうか。」
「そうですね。例えば、羽といっても種類がありますよね。
こういった綺麗な羽は工芸品に使えませんか?あと、ふわふわした羽は洗浄後、布団の中身として利用できますよ。そして骨はレルネさん、どうですか?」
「ふむ、一度消化されたものだからマナはないが、砕いて使うことはできるの。」
あ、カルシウムか。
石灰岩のようなものであれば、漆喰とかにも利用されているような…。今度相談しよう。
「あとは儂からじゃ。
エンぺ…、うほん、デカいサーペントの解体じゃが、肉が1トン、骨が600㎏、皮が200㎏、鱗が約2,000枚、牙が大小合わせて24本となっておる。
その中の鱗と骨を使って加工した髪留めがこれじゃ。
時間もなかったので5個しか作れんかったが上出来じゃぞ。ほれ見てみぃ。」
俺はその5個の髪留めを見る。
光に当たると青くなったり緑に見えたりする。それにところどころ赤みもある。アンモライトのようだ。
「これは綺麗ですね。それと確実に売れますよ。
あと、これは鑑定しでも大丈夫なようになっていますか?」
「ふふ、その点は問題ない。この郷でも鑑定阻害を持つ者もおるでの。」
俺は髪留めを鑑定してみる。
=====サーペントの髪留め:耐水性+1、魅力+1
「二重線は見えますが、大丈夫のようですね。それと何ですか、魅力+1という付加は?」
「知らぬ。作り手が思う通りに作ったもんじゃからの。」
「それじゃ、この5個を持って、街に戻りますか。」
「いや、加工師が俄然張り切り追っての…、明朝までにあと5個できるそうじゃ。」
あかん、完全に個人の世界に入っていく残念なヒトがたくさん出てくるわ…。
この先思いやられる…。
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