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第四章
4-4 繋がると言う意味
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その日の夜、ディートリヒと今後の話をする。
「ディートリヒ、明日にならないと分からないと思うけど、髪の状態はどう?」
「はい。これが私の髪なのかと思うくらい気持ちが良いです。
それに手櫛をしても、髪がスルっと通っていきます。
カズ様、これは売り出すことはできませんか?」
「そうだなぁ…。これは向こうの世界から取り寄せたものだから、同じものを作るのは無理だ。
近いものなら作れるとは思うが、先ずは石鹸が必要となる。
でも石鹸は、王様の専売特許なんだろ?製法もみんな知らないって言ってるんだけど。」
石鹸の作り方は知っている。
でも、こちらの石鹸がどんなものなのかは知らない。
もし、石鹸を売ることになればこの国の王様に喧嘩を売ることにもなり兼ねない。
「確かに石鹸は高貴な方しか使用していないと聞いています。
それでしたら、一度ユーリ様かティエラ様に聞いてみるのも良いですね。」
「でも、大っぴらに話すととんでもないことになるから、時を見て慎重にいかないとな。」
「はい。それからカズ様にいただいた下着ですが、今日一日着けていましたが、まったく問題がありません。あれを売り出すことはできませんか?」
「できないことは無いけど、足りないものが多くあるんだよ。例えばディートリヒにあげたのは、“スポーツブラ”と言って、動くヒトが違和感のないように作られているんだけど、普通はああいったものではなく、ブラジャーとパンティーというものを着用しているんだ。」
そう言えば、一冊そういったカタログを持ってきたので、それをディートリヒに見せる。
ディートリヒは、それを少し見た後、
「カズ様はこういったものがお好きなのですか?」
ド直球で攻めてきました…。
「どちらかと言えば、スポーツブラよりもそちらの方が好きです…はい。」
「これは殿方との“夜の営み”のために必要なものなのでしょうか?」
「いや、そういう訳ではなく、それを着用していると女性としての魅力が内から溢れるみたいな感じになるのかな?」
うん…。良く分かりません。
俺はボクサーパンツを愛用しているけど、それが魅力的だとは思わない。あくまでも機能性を重視しているだけですので…。
でも、確かに勝負パンツといった言葉もあることから、やはり夜のためには必要なものなんだろう。
ディートリヒが黒の下着をつけた姿を想像しただけで、ゲフンゲフン…。
「カズ様、できればこれをこの世界で作っていただきたいのですが…。」
「多分できないことは無いと思うけど、素材があるのかを調べないといけないな。」
「では、素材という事でしたらダンジョンに行きましょう。そこで探しましょう!」
あれ?ディートリヒさん、完全にやる気モードに入りましたね。
これだけ真剣に考えているって事だから、少しやる気になってみますか?
「そうすると2人だけでダンジョンに入るには心もとないね。
冒険者に依頼するにしても、勘ぐられる可能性もあるし。」
「そうですね。ではカズ様、奴隷を購入しましょう。」
あれ?ディートリヒさん…、何となくデジャ・ヴュなんですが…。
「でも、俺はディートリヒと一緒に過ごしたいと思っているよ。」
「私も一緒です。でも、カズ様の安全を考えれば、数名欲しいところです。
ダンジョンでは罠が仕掛けられてい場所もありますから、特にそういったスキルを持ったヒトを購入するのが良いと思います。」
「そういったスキルになると、盗賊とかスカウトって言うんだっけ?」
「そうです。そのようなスキルと職業のヒトを是非購入してください。」
「でも、俺、男はイヤだよ。」
「当たり前です。私もイヤです。ですので、そういったスキルを持つ女性の奴隷を…。」
なんか押しが強い…。
「そうなると、ハーレム状態になるんですが…」
「ハーレム?それが何かは存じませんが、強い殿方に女性が集まるのは至極当然の事です。」
「俺、弱いんですが…。」
「カズ様はお強いです。攻撃の幅を広げるためにも是非奴隷の購入を検討してください。」
「あの…ディートリヒさん…、俺が弱いってのは精神が弱いって事で、もし女性が何人も来たら拒めなくなってしまいますよ…。」
「それでも構いません。カズ様は私の最愛なるヒトではありますが、私一人では勿体ないくらい素晴らしい方です。もし、カズ様の素晴らしさを理解していただける方がいらっしゃれば、その方と一緒にカズ様のお傍にいさせていただければと思います。
それに、カズ様にはこれから社会的にも奥様も必要ですので。」
うん…。よく分かりません。
普通の女性は独りの男性を独占したくなる…って、思う事自体が間違いだったんだよな。
この世界は奥様は何人もいらっしゃる方もみえる。
伯爵様は第2婦人までいらっしゃるくらいだもの…。
ただ、そういったヒトはごく限られた身分のヒトだけだと思う。
俺みたいなしがない“薬草おっさん”がなぁ…。と考えてしまう。
「カズ様、何か考え事ですか?」
「うん。俺みたいな“渡り人”がこれまでどういった生活をしていたのかを考えていたんだ。」
「カズ様…。」
ディートリヒが近づいてきてキスをし、抱きしめてくれる。
「カズ様は“渡り人”ではありますが、私にとってカズ様はカズ様です。
カズ様を“渡り人”だと思って好きになったのではありません。
信じ合える、お慕いするヒトがカズ様であり、その人が“渡り人”であっただけです。」
俺は思わずディートリヒを抱きしめ返していた。
そうなんだ。ディートリヒにとって俺は俺なんだ。
それは、俺がディートリヒをディートリヒとして見ていることと同じだ。
「ディートリヒ、ありがとな。
俺は弱い。それは自分でも分かってる。だからヒトと接していたいと思っているんだ。
だから、これからも俺を助けてくれ。」
俺は、ディートリヒにキスをした。
時が止まるようなキスだった。
キスが終わるとディートリヒは少し俯きながら
「でも、私はいつもカズ様の傍におります。」
「うん。俺の左にはいつもディートリヒが居る。そんな関係でいたい。」
俺はこの世界に来て、初めて信じるに値するヒトを見つけたのだと感じた。
これまでの世界でも信じるに値するヒトはいたと思うが、そういったヒトでも何時かは離れていく。
いつもそうだった…。信じては裏切られ、また誰かを信じては裏切られ…、その繰り返しだった。
悲しい哉、結婚して子供もできた俺ではあったが、自分自身に自信が無かったせいだろうか、ヒトを信じるということを恐れていたんだと思う。
でも、この世界でもう一度信じても良いと感じるヒトができた。
それだけで十分だ。
「ディートリヒ、ありがとう。
こんなおっさんを好きになってくれて。」
「カズ様はおっさんではありません。私にとってカズ様は素敵な方です。
そうでなければこんな事はいたしませんよ。」
ディートリヒは静かに服を脱ぎ、そして俺の服も脱がす。
衣擦れの音がし、その後お互いの体温を感じる距離まで近づく…。
心も繋がった瞬間だと感じた…。
「ディートリヒ、明日にならないと分からないと思うけど、髪の状態はどう?」
「はい。これが私の髪なのかと思うくらい気持ちが良いです。
それに手櫛をしても、髪がスルっと通っていきます。
カズ様、これは売り出すことはできませんか?」
「そうだなぁ…。これは向こうの世界から取り寄せたものだから、同じものを作るのは無理だ。
近いものなら作れるとは思うが、先ずは石鹸が必要となる。
でも石鹸は、王様の専売特許なんだろ?製法もみんな知らないって言ってるんだけど。」
石鹸の作り方は知っている。
でも、こちらの石鹸がどんなものなのかは知らない。
もし、石鹸を売ることになればこの国の王様に喧嘩を売ることにもなり兼ねない。
「確かに石鹸は高貴な方しか使用していないと聞いています。
それでしたら、一度ユーリ様かティエラ様に聞いてみるのも良いですね。」
「でも、大っぴらに話すととんでもないことになるから、時を見て慎重にいかないとな。」
「はい。それからカズ様にいただいた下着ですが、今日一日着けていましたが、まったく問題がありません。あれを売り出すことはできませんか?」
「できないことは無いけど、足りないものが多くあるんだよ。例えばディートリヒにあげたのは、“スポーツブラ”と言って、動くヒトが違和感のないように作られているんだけど、普通はああいったものではなく、ブラジャーとパンティーというものを着用しているんだ。」
そう言えば、一冊そういったカタログを持ってきたので、それをディートリヒに見せる。
ディートリヒは、それを少し見た後、
「カズ様はこういったものがお好きなのですか?」
ド直球で攻めてきました…。
「どちらかと言えば、スポーツブラよりもそちらの方が好きです…はい。」
「これは殿方との“夜の営み”のために必要なものなのでしょうか?」
「いや、そういう訳ではなく、それを着用していると女性としての魅力が内から溢れるみたいな感じになるのかな?」
うん…。良く分かりません。
俺はボクサーパンツを愛用しているけど、それが魅力的だとは思わない。あくまでも機能性を重視しているだけですので…。
でも、確かに勝負パンツといった言葉もあることから、やはり夜のためには必要なものなんだろう。
ディートリヒが黒の下着をつけた姿を想像しただけで、ゲフンゲフン…。
「カズ様、できればこれをこの世界で作っていただきたいのですが…。」
「多分できないことは無いと思うけど、素材があるのかを調べないといけないな。」
「では、素材という事でしたらダンジョンに行きましょう。そこで探しましょう!」
あれ?ディートリヒさん、完全にやる気モードに入りましたね。
これだけ真剣に考えているって事だから、少しやる気になってみますか?
「そうすると2人だけでダンジョンに入るには心もとないね。
冒険者に依頼するにしても、勘ぐられる可能性もあるし。」
「そうですね。ではカズ様、奴隷を購入しましょう。」
あれ?ディートリヒさん…、何となくデジャ・ヴュなんですが…。
「でも、俺はディートリヒと一緒に過ごしたいと思っているよ。」
「私も一緒です。でも、カズ様の安全を考えれば、数名欲しいところです。
ダンジョンでは罠が仕掛けられてい場所もありますから、特にそういったスキルを持ったヒトを購入するのが良いと思います。」
「そういったスキルになると、盗賊とかスカウトって言うんだっけ?」
「そうです。そのようなスキルと職業のヒトを是非購入してください。」
「でも、俺、男はイヤだよ。」
「当たり前です。私もイヤです。ですので、そういったスキルを持つ女性の奴隷を…。」
なんか押しが強い…。
「そうなると、ハーレム状態になるんですが…」
「ハーレム?それが何かは存じませんが、強い殿方に女性が集まるのは至極当然の事です。」
「俺、弱いんですが…。」
「カズ様はお強いです。攻撃の幅を広げるためにも是非奴隷の購入を検討してください。」
「あの…ディートリヒさん…、俺が弱いってのは精神が弱いって事で、もし女性が何人も来たら拒めなくなってしまいますよ…。」
「それでも構いません。カズ様は私の最愛なるヒトではありますが、私一人では勿体ないくらい素晴らしい方です。もし、カズ様の素晴らしさを理解していただける方がいらっしゃれば、その方と一緒にカズ様のお傍にいさせていただければと思います。
それに、カズ様にはこれから社会的にも奥様も必要ですので。」
うん…。よく分かりません。
普通の女性は独りの男性を独占したくなる…って、思う事自体が間違いだったんだよな。
この世界は奥様は何人もいらっしゃる方もみえる。
伯爵様は第2婦人までいらっしゃるくらいだもの…。
ただ、そういったヒトはごく限られた身分のヒトだけだと思う。
俺みたいなしがない“薬草おっさん”がなぁ…。と考えてしまう。
「カズ様、何か考え事ですか?」
「うん。俺みたいな“渡り人”がこれまでどういった生活をしていたのかを考えていたんだ。」
「カズ様…。」
ディートリヒが近づいてきてキスをし、抱きしめてくれる。
「カズ様は“渡り人”ではありますが、私にとってカズ様はカズ様です。
カズ様を“渡り人”だと思って好きになったのではありません。
信じ合える、お慕いするヒトがカズ様であり、その人が“渡り人”であっただけです。」
俺は思わずディートリヒを抱きしめ返していた。
そうなんだ。ディートリヒにとって俺は俺なんだ。
それは、俺がディートリヒをディートリヒとして見ていることと同じだ。
「ディートリヒ、ありがとな。
俺は弱い。それは自分でも分かってる。だからヒトと接していたいと思っているんだ。
だから、これからも俺を助けてくれ。」
俺は、ディートリヒにキスをした。
時が止まるようなキスだった。
キスが終わるとディートリヒは少し俯きながら
「でも、私はいつもカズ様の傍におります。」
「うん。俺の左にはいつもディートリヒが居る。そんな関係でいたい。」
俺はこの世界に来て、初めて信じるに値するヒトを見つけたのだと感じた。
これまでの世界でも信じるに値するヒトはいたと思うが、そういったヒトでも何時かは離れていく。
いつもそうだった…。信じては裏切られ、また誰かを信じては裏切られ…、その繰り返しだった。
悲しい哉、結婚して子供もできた俺ではあったが、自分自身に自信が無かったせいだろうか、ヒトを信じるということを恐れていたんだと思う。
でも、この世界でもう一度信じても良いと感じるヒトができた。
それだけで十分だ。
「ディートリヒ、ありがとう。
こんなおっさんを好きになってくれて。」
「カズ様はおっさんではありません。私にとってカズ様は素敵な方です。
そうでなければこんな事はいたしませんよ。」
ディートリヒは静かに服を脱ぎ、そして俺の服も脱がす。
衣擦れの音がし、その後お互いの体温を感じる距離まで近づく…。
心も繋がった瞬間だと感じた…。
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