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第三章
3‐34 Respect
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夜、ディートリヒにクリアーの魔法をどうイメージするのかを教えていたのだが、少し拗ねた表情をしている。
「ディートリヒ、どうした。何かあったか。」
「はい。今日、カズ様とユーリ様がお話しされていた内容について、少し思う所があり…。」
「ん?まさか“カップルの聖地”という話か?」
「いえ、そこではありません。
カズ様とユーリ様がお会いになると、難しそうな話も簡単に進んでいくのかが何故なのか分からないのです。
それにお二人の早い展開には誰もついていけず、皆何も言えない状況なのです。」
「そうか、ディートリヒも参加してもらった方が良かったね。」
「いえ、そういう事ではなく…。」
ディートリヒは顔を赤らめている。
「ディートリヒ、あのね、ヒトには向き不向きがあるって事は伝えたよね。
そして、魔法と同じでヒトには“波長”という“気”のようなものがあるんだ。
例えばだけど、ディートリヒはティエラ様といろいろな話ができるよね。
でも、俺はティエラ様とはできない。そこまでの域に達していないからね。
ディートリヒは1回お会いしただけで、あんなにも仲良く話すことができる、それは波長が合っているって事だと思う。」
「波長、ですか?」
「そう。ヒトが発しているモノ。ティエラ様と話していて、ディートリヒはどう感じている。」
「感じるも何も、普通におしゃべりしています。」
「それが波長が合うって事だよ。それをユーリ様にできるかい?」
「できません…。あ、そういう事なんですか。」
ようやくディートリヒが納得してくれたようだ。
馬が合うとか言うからね。
「それと、波長が合うだけではダメなんだ。」
「ほかにも必要な事があるんですか?」
「うん。それはね。相手を認め、尊敬するって事なんだよ。」
「認め、尊敬…ですか?」
「そう、波長が合うって時はお互い同じ考えを持って同じ方向に進んでいくんだけど、タマに少し違う考えを持つ時だってある。俺が育った世界では方向の事をベクトルといって、ベクトルが合えば問題はないんだが、最初少しでもベクトルが違ったままで進めると、時が経てばその方向性が大きく変わっていたって話もあるんだ。
だから、方向性を同じくする者であっても、しっかりと話をし修正していくといった事をしなくてはいけないんだ。
まぁ、そんな事をしている奴が少なかったせいか、これまでの世界では組織が崩壊し、何も考えないヒトが多くなっていったという事実もあるんだけどね。」
「認め合っていればベクトルは同じになるものでは無いのですか?」
「多分、ベクトルが全く同じとなることは無いと思う。
だからユーリ様はいつも俺の意見を聞いてくださるのではないかって思う。
実は、ユーリ様もご自身の意見をしっかりとお持ちなんだよ。
そのご意見を後押ししてもらえるのか、自分の考えている方向つまりベクトルを修正して、より良い方向に進めようとしているのかを見定めていらっしゃると思う。」
ディートリヒは黙って考えている。
「難しいことだと思うよ。
ディートリヒの場合は、君が俺を助けたという固定観念が入ってしまい、俺を助けることが俺の意見や考えを尊重するって事と同じになっているんだと思う。
でも、尊重するって言っても、俺の考えが変な方向に向かっても尊重したところで方向は変わらないんだ。
自分の意見を言う。言ってベクトルを修正する。
それができるヒトが信頼できるヒトであり、尊敬できるヒト、つまり波長が合うヒトだと思う。」
なんとなく理解してきたかな?
「んじゃ、尊敬ってどういったヒトに対して思うものなの?」
「え、それは、私より強く崇高な考えを持っているヒトです。」
「そうか、でも、弱い人でも尊敬するんじゃないかな?」
「え、それはどういう意味でしょうか?」
「例えば、ディートリヒの過去に決闘したとか、決闘を見たという記憶はあるかい?」
「はい。一度だけ決闘している風景を見たことがあります。」
「本来、決闘というものは、私利私欲や女性を取り合うといった目的ではなく、真の目的は自分の名誉を挽回するものだと思うんだ。
だから、決闘ってのは“恨みっこなし”で、相手にこれ以上手は出さないって事だと思うんだよ。」
「あ、そういう事なんですか。」
「いや、この世界の決闘がどんな意味を持っているのかは知らないから。
でも、メンツを保つって事も大切だって事だよ。
それに、俺は遠距離や中距離といったレンチで行けばディートリヒには引けを取らないと思うけど、いざ、接近されたら御終いだよ、接近戦にはからっきし弱いんだ。
そういった強い、弱いをすべてひっくるめた人物像を見て尊敬するか否かを決めるって事も必要なんだ。」
「では、先ほどから言う波長が合うという事とどう関係するんでしょうか。」
「そうだね。
人と見分ける方法みたいなものには2種類あるって事かな?
一つ目は、強い、弱いをひっくるめて尊敬するか否かを時間をかけて決める事。
二つ目は、第一印象で波長が合いすぐに決める事、かな。」
「第一印象で分かり始める人は少ないと思います。」
「そうだ。だからその人との関係は続けていかなくてはいけないんだ。
今だけでなく、これから先も良き理解者になってもらえるし、向こうからのお願いも聞き遂げる。信頼関係を構築していくことが必要なんだ。
でも、向こうがそう思っていなかったら別だよ。
こちらの見る目が無かったとして諦めること。
そうやって俺は生きてきたんだ。」
ディートリヒは何か考え事をしているようだったが、突然抱き着き俺をベッドに押し倒した。
なんか、上から押さえつけられている…。
「カズ様、私は今までカズ様を助けようと思うことだけで必死でした。
でも、私はユーリ様のように波長が合う人になりたいと思います。
そのためには、何が必要でしょうか…。」
ディートリヒは思い悩み始めた…。
「ディートリヒ、決してこれだけは間違わないでほしい。
俺は、ディートリヒをユーリ様のような方になってほしいとは思わない。
ディートリヒはディートリヒ。ユーリ様はユーリ様。
お互いできることも違う。だから、嫉妬とか羨望とかではなく、自分のできる事をお互いが進めていくことが大切だ。
俺は、ディートリヒを尊敬しているよ。ディートリヒはどうなの?」
「私はカズ様を尊敬しております。それにお慕いしております…。」
「うん。それでいいんだよ。俺も同じだ。
ディートリヒは自分を貫けばいいんだ。決して誰かになろうとしてはいけないよ。
『“Just the Way You Are.”素顔のままで』が一番なんだよ。」
「カズ様…、ありがとうございます。私は私、誰でもありません。カズ様のディートリヒです…。」
数刻後、俺の胸に顔を埋めるディートリヒを見つめる。
「ディートリヒ、起きてる?」
「…はい。カズ様。」
「言い忘れたことがあったよ。
カルムさんの店で君を見た時、俺はこの人と一緒に生きていくんだって感じた。
これが波長が合ったって事なんだよ。」
ディートリヒは、ビクッとしつつ、だんだんと鼻声になりながらも話す。
「実は、私もカズ様があの場所においでになり、声を聴いた瞬間、この人に付いていくんだ、と感じていました。」
「そうだよ。今言った事が例え出まかせだったとしても、神様を恨んでいようとも、それはそれでいい。ただ、この瞬間、お互いがそう思っているという事実が大切なんだ。」
「もう!私は嘘偽りは申しておりません。」
「いや、自尊理論だよ。」
「そんな難しい言葉は知りません。私は私です!えいっ!」
彼女は俺の上に乗り、キスをした。
…体力続くかな、そんな事を思いながら、ディートリヒを抱きしめていた。
「ディートリヒ、どうした。何かあったか。」
「はい。今日、カズ様とユーリ様がお話しされていた内容について、少し思う所があり…。」
「ん?まさか“カップルの聖地”という話か?」
「いえ、そこではありません。
カズ様とユーリ様がお会いになると、難しそうな話も簡単に進んでいくのかが何故なのか分からないのです。
それにお二人の早い展開には誰もついていけず、皆何も言えない状況なのです。」
「そうか、ディートリヒも参加してもらった方が良かったね。」
「いえ、そういう事ではなく…。」
ディートリヒは顔を赤らめている。
「ディートリヒ、あのね、ヒトには向き不向きがあるって事は伝えたよね。
そして、魔法と同じでヒトには“波長”という“気”のようなものがあるんだ。
例えばだけど、ディートリヒはティエラ様といろいろな話ができるよね。
でも、俺はティエラ様とはできない。そこまでの域に達していないからね。
ディートリヒは1回お会いしただけで、あんなにも仲良く話すことができる、それは波長が合っているって事だと思う。」
「波長、ですか?」
「そう。ヒトが発しているモノ。ティエラ様と話していて、ディートリヒはどう感じている。」
「感じるも何も、普通におしゃべりしています。」
「それが波長が合うって事だよ。それをユーリ様にできるかい?」
「できません…。あ、そういう事なんですか。」
ようやくディートリヒが納得してくれたようだ。
馬が合うとか言うからね。
「それと、波長が合うだけではダメなんだ。」
「ほかにも必要な事があるんですか?」
「うん。それはね。相手を認め、尊敬するって事なんだよ。」
「認め、尊敬…ですか?」
「そう、波長が合うって時はお互い同じ考えを持って同じ方向に進んでいくんだけど、タマに少し違う考えを持つ時だってある。俺が育った世界では方向の事をベクトルといって、ベクトルが合えば問題はないんだが、最初少しでもベクトルが違ったままで進めると、時が経てばその方向性が大きく変わっていたって話もあるんだ。
だから、方向性を同じくする者であっても、しっかりと話をし修正していくといった事をしなくてはいけないんだ。
まぁ、そんな事をしている奴が少なかったせいか、これまでの世界では組織が崩壊し、何も考えないヒトが多くなっていったという事実もあるんだけどね。」
「認め合っていればベクトルは同じになるものでは無いのですか?」
「多分、ベクトルが全く同じとなることは無いと思う。
だからユーリ様はいつも俺の意見を聞いてくださるのではないかって思う。
実は、ユーリ様もご自身の意見をしっかりとお持ちなんだよ。
そのご意見を後押ししてもらえるのか、自分の考えている方向つまりベクトルを修正して、より良い方向に進めようとしているのかを見定めていらっしゃると思う。」
ディートリヒは黙って考えている。
「難しいことだと思うよ。
ディートリヒの場合は、君が俺を助けたという固定観念が入ってしまい、俺を助けることが俺の意見や考えを尊重するって事と同じになっているんだと思う。
でも、尊重するって言っても、俺の考えが変な方向に向かっても尊重したところで方向は変わらないんだ。
自分の意見を言う。言ってベクトルを修正する。
それができるヒトが信頼できるヒトであり、尊敬できるヒト、つまり波長が合うヒトだと思う。」
なんとなく理解してきたかな?
「んじゃ、尊敬ってどういったヒトに対して思うものなの?」
「え、それは、私より強く崇高な考えを持っているヒトです。」
「そうか、でも、弱い人でも尊敬するんじゃないかな?」
「え、それはどういう意味でしょうか?」
「例えば、ディートリヒの過去に決闘したとか、決闘を見たという記憶はあるかい?」
「はい。一度だけ決闘している風景を見たことがあります。」
「本来、決闘というものは、私利私欲や女性を取り合うといった目的ではなく、真の目的は自分の名誉を挽回するものだと思うんだ。
だから、決闘ってのは“恨みっこなし”で、相手にこれ以上手は出さないって事だと思うんだよ。」
「あ、そういう事なんですか。」
「いや、この世界の決闘がどんな意味を持っているのかは知らないから。
でも、メンツを保つって事も大切だって事だよ。
それに、俺は遠距離や中距離といったレンチで行けばディートリヒには引けを取らないと思うけど、いざ、接近されたら御終いだよ、接近戦にはからっきし弱いんだ。
そういった強い、弱いをすべてひっくるめた人物像を見て尊敬するか否かを決めるって事も必要なんだ。」
「では、先ほどから言う波長が合うという事とどう関係するんでしょうか。」
「そうだね。
人と見分ける方法みたいなものには2種類あるって事かな?
一つ目は、強い、弱いをひっくるめて尊敬するか否かを時間をかけて決める事。
二つ目は、第一印象で波長が合いすぐに決める事、かな。」
「第一印象で分かり始める人は少ないと思います。」
「そうだ。だからその人との関係は続けていかなくてはいけないんだ。
今だけでなく、これから先も良き理解者になってもらえるし、向こうからのお願いも聞き遂げる。信頼関係を構築していくことが必要なんだ。
でも、向こうがそう思っていなかったら別だよ。
こちらの見る目が無かったとして諦めること。
そうやって俺は生きてきたんだ。」
ディートリヒは何か考え事をしているようだったが、突然抱き着き俺をベッドに押し倒した。
なんか、上から押さえつけられている…。
「カズ様、私は今までカズ様を助けようと思うことだけで必死でした。
でも、私はユーリ様のように波長が合う人になりたいと思います。
そのためには、何が必要でしょうか…。」
ディートリヒは思い悩み始めた…。
「ディートリヒ、決してこれだけは間違わないでほしい。
俺は、ディートリヒをユーリ様のような方になってほしいとは思わない。
ディートリヒはディートリヒ。ユーリ様はユーリ様。
お互いできることも違う。だから、嫉妬とか羨望とかではなく、自分のできる事をお互いが進めていくことが大切だ。
俺は、ディートリヒを尊敬しているよ。ディートリヒはどうなの?」
「私はカズ様を尊敬しております。それにお慕いしております…。」
「うん。それでいいんだよ。俺も同じだ。
ディートリヒは自分を貫けばいいんだ。決して誰かになろうとしてはいけないよ。
『“Just the Way You Are.”素顔のままで』が一番なんだよ。」
「カズ様…、ありがとうございます。私は私、誰でもありません。カズ様のディートリヒです…。」
数刻後、俺の胸に顔を埋めるディートリヒを見つめる。
「ディートリヒ、起きてる?」
「…はい。カズ様。」
「言い忘れたことがあったよ。
カルムさんの店で君を見た時、俺はこの人と一緒に生きていくんだって感じた。
これが波長が合ったって事なんだよ。」
ディートリヒは、ビクッとしつつ、だんだんと鼻声になりながらも話す。
「実は、私もカズ様があの場所においでになり、声を聴いた瞬間、この人に付いていくんだ、と感じていました。」
「そうだよ。今言った事が例え出まかせだったとしても、神様を恨んでいようとも、それはそれでいい。ただ、この瞬間、お互いがそう思っているという事実が大切なんだ。」
「もう!私は嘘偽りは申しておりません。」
「いや、自尊理論だよ。」
「そんな難しい言葉は知りません。私は私です!えいっ!」
彼女は俺の上に乗り、キスをした。
…体力続くかな、そんな事を思いながら、ディートリヒを抱きしめていた。
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