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第三章
3-21 治療代は高いですよ~
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ユーリ様が素晴らしい商才をお持ちであることが分かった。
ただ、伯爵様たちと会話をしている最中、第二婦人であるティエラ様の調子はあまりよ良くないように見える。
「伯爵様、少しよろしいでしょうか。」
「ん、なんだ?」
「ティエラ様のご容態が少し悪いように思うのですが…。」
「そんな事はないぞ。今日はまだ良い方だと思うが。どうだ、ティエラ?」
「はい。今日は少しだけ調子が良いですね。」
ティエラ様は青白い顔でほほ笑む。
やはり、何か具合が悪いんだろう…。
言ってはいけないとは思いつつ、伯爵に相談してみる。
「自分とディートリヒには少しだけではありますが医療に関する知識がございます。
僭越ながらティエラ様を診察させていただくことは可能でしょうか?
しかし、どこぞの誰とも分からない者で、男性が女性を診断することがお嫌という事もありますし、伯爵様の奥様ですので、伯爵様がダメだという事であれば何もいたしません。」
「そうか。儂は主…ニノマエ氏については、どこぞの誰であろうと信じるに値する者であると思うぞ。
それにティエラはマティルダを産んでからなかなか良くならなくての。
儂としては良い事だと思うが、ティエラはどうだ?」
「はい。あなたが診ても良いと仰るのであれば、診ていただきたいです。」
お淑やかな方です。それにしっかりと亭主を立てる。大和撫子さんでしょうか。
「ここではいかんから、客室を使ってもらえ。バスチャン、お二人を案内せよ。」
執事のバスチャンさん、すみません。いろいろとご迷惑ばかりかけてしまって。
バスチャンさんに謝りながら客室に案内される間、ティエラさんの産後の事、これまでの日常生活などを聞く。
彼女は6年前に嫁ぎ、その後マティルダ様を産んだ後、肥立ちが悪かったせいもあるのか、3年前に寝込んでしまったようだ。首都から来た薬師や有名な医者にも診てもらったが、女性特有のものだろうとして栄養剤などを処方してもらうだけにとどまっているとの事。
この世界ではどうかは知らないが、女性特有の病気もあるはずだし、病気もこれまでの世界と何ら変わらないと思う。風邪も引くからウィルスも居るんだろう。
マティルダ様を産んでからの肥立ちが悪いってことは、出産後に何かがあった可能性もある。
そう言えば、この世界の出産は自然分娩なんだろうな…。
そうすると、産んだ後の処理とかは…。
いろいろな事を考えるが、先ずは俺から聞くのではなく、女性同士で話をした方が話しやすいのでは、と考え、ディートリヒに相談する。
「ディートリヒ、医者の真似事のような事をさせてすまないが、ティエラ様から聞き出してほしい内容があるんだが…。」
「何でしょうか。」
「それは…、その…、女性特有の事なんだが…。」
「あ、お月の事ですね。分かりました。それ以外は何かございますか?」
「え、うん。いろいろとあるんだけど、良いかな?」
「どうぞ。」
俺は俺が聞いても恥ずかしい内容を伝えていく。
しかし、ディートリヒは真剣に聞いている。
「すまないな。こんな恥ずかしいことを聞いてもらうことになって…。」
「いえ、カズ様はティエラ様を真剣に治療なさろうとしています。
私もカズ様の治癒魔法で治療していただき、女性としての悦びまでいただくことができました。
それを恥ずかしいとは全く思っておりません。寧ろ誇りに思っています。」
ありゃ?何か信者になってる…。
「んじゃ、先ず俺は外に居るから、ティエラ様から話を聞いてね。」
俺は、客室を出ようとし、扉の前でティエラ様とばったり鉢合わせになる。
おそらく俺の顔は真っ赤であっただろう…。
「先ずは、ディートリヒに症状などをお話しください。」
そう伝えて、廊下に出る。
廊下の窓から外の景色を見る…。裏庭があり、その奥には樹木が茂っている。
お!リンゴのような木があるな、なんて思っていると、客室の扉が開きディートリヒが終わった事を伝える。
内容を聞くに、やはりマティルダ様を産んでから徐々に悪くなってきたようだ。
月のものの時には痛みが激しく、量も多い、貧血もあり食欲は無い。
性欲は無く、夜の営みについても、ただマグロなんだと…。
って、おい! ディーさんや、今更遅いが何処まで聞いてるんだ!
夜の営みについてなんて、聞かなくてもいいんだよ…。
俺は真っ赤になりながらも、ディートリヒに聞いてみる。
「その、ディーさんや…、何故、夜の営みまで聞いたのかな?」
「はい。大切な事ですので。」
「え?何で?」
「貴族の妻となればお子をなし、血族を増やし派閥を作るのが常です。しかし、ティエラ様はまだお一人しか産んでおりません。お身体の調子が悪ければ、伯爵様からのご寵愛も少なくなり、今以上にお身体の調子が悪くなります。さらに悪くなることもありますので。」
ごめんなさい。俺が間違っていました。
女性の事を何にも知りませんし、貴族の事も何も知りませんでした…。
「うん。ありがとう。多分悪いところは女性特有の器官だと思うから、そこにヒールをかけよう。」
「はい。よろしくお願いします。」
多分、部分的なスーパーヒールであれば、ぶっ倒れることはないだろう。
俺は、客室の中に入り、ティエラ様とお話しする。
「ティエラ様、今ディートリヒから聞きました。
ディートリヒが言うには女性特有のご病気である可能性があるという事です。
一つお約束をお願いいたします。
これから治癒魔法をかけますが、自分の魔法は不知の魔法らしいので、決して口外なさらないでください。」
「それは旦那様に対しても、ですか?」
「はい。おそらくは治癒魔法をかけて身体の中は完治はしていても、体力は徐々にしか上がっていきません。その間は、良く食べ、良く寝て、よく運動されるのが良いかと思います。
なので、伯爵様には、良く食べ、良く寝て、よく運動するように言われたとだけお伝えいただければ、と思います。」
「分かりましたわ。旦那様にも内密にいたします。」
「では、治癒魔法をかけますのでベッドに寝ていただけますが?」
俺はバスチャンさんを呼んで、治療した後、数時間は動かしてはいけないこと、その間はディートリヒがティエラ様を診ていること、できれば隣の部屋を使わせてもらい、俺をそこに待機させてほしい事を伝えると、即座に了承し対応してくれた。
準備が整った。
ティエラ様が仰向きに寝ている腹部と下腹部を中心に子宮が正常になり、お子さんが産めるようになることを念じた。
「スーパーヒール!」
ティエラ様の周りに光の粒が集まり、腹部を中心に吸い込まれていった。
おおう…、一気にマナが持ってかれる感がするが、アナウンスが無いって事はまだマナは大丈夫だったようだ。
「治癒魔法をかけました。これから数時間はこの場でお休みください。ディートリヒを待機させますが、隣に自分が控えていますので何かあれば仰ってください。」
「ありがとうございました。」
「では、自分は隣に控えておりますので。」
俺は、隣の部屋に行き、ソファにもたれかかった。
結構マナが持って行かれるって事は、大分悪かったのか…。
・
・
あ、寝てしまったようだ…。
幸いなことにディートリヒからの呼び出しはない。
少し経ちディートリヒが入って来た。
回復も良く、もう大丈夫だそうだ。
俺は隣のティエラ様の様子を確認し、バスチャンに伯爵を呼びに行かせる。
程なくし、伯爵が客室に来られ、ティエラ様のお顔を見て満足したようだ。
「ニノマエ氏よ。感謝する。」
「自分は何もしておりませんよ。ただ、良く食べ、良く寝、よく運動されるようお伝えしただけです。」
「あなた、それとよく話すようにとの事です。」
ん?話すようにって?ディーさん何か助言したのかな?
「病は独りで抱えるものではなく、必ず家族と話をして改善していくようにとの事です。」
あ、そういう事か。
独りで抱えてもダメ。家族全員の理解のもとで病気を治していくってやつだ。
ディートリヒ、凄いね。
「それと、定期的にディートリヒさんに容態を診に来ていただくことにしたいのですが、あなた、よろしいでしょうか?」
「おう。ニノマエ氏が良ければ問題ないぞ。」
「ありがとうございます。では、ディートリヒさん、定期的にお話しに来てくださいね。その時夜のことも…ゴニョゴニョ…。」
おい、ディーさんや。病み上がりのヒトに何話してたんだ!?
ただ、伯爵様たちと会話をしている最中、第二婦人であるティエラ様の調子はあまりよ良くないように見える。
「伯爵様、少しよろしいでしょうか。」
「ん、なんだ?」
「ティエラ様のご容態が少し悪いように思うのですが…。」
「そんな事はないぞ。今日はまだ良い方だと思うが。どうだ、ティエラ?」
「はい。今日は少しだけ調子が良いですね。」
ティエラ様は青白い顔でほほ笑む。
やはり、何か具合が悪いんだろう…。
言ってはいけないとは思いつつ、伯爵に相談してみる。
「自分とディートリヒには少しだけではありますが医療に関する知識がございます。
僭越ながらティエラ様を診察させていただくことは可能でしょうか?
しかし、どこぞの誰とも分からない者で、男性が女性を診断することがお嫌という事もありますし、伯爵様の奥様ですので、伯爵様がダメだという事であれば何もいたしません。」
「そうか。儂は主…ニノマエ氏については、どこぞの誰であろうと信じるに値する者であると思うぞ。
それにティエラはマティルダを産んでからなかなか良くならなくての。
儂としては良い事だと思うが、ティエラはどうだ?」
「はい。あなたが診ても良いと仰るのであれば、診ていただきたいです。」
お淑やかな方です。それにしっかりと亭主を立てる。大和撫子さんでしょうか。
「ここではいかんから、客室を使ってもらえ。バスチャン、お二人を案内せよ。」
執事のバスチャンさん、すみません。いろいろとご迷惑ばかりかけてしまって。
バスチャンさんに謝りながら客室に案内される間、ティエラさんの産後の事、これまでの日常生活などを聞く。
彼女は6年前に嫁ぎ、その後マティルダ様を産んだ後、肥立ちが悪かったせいもあるのか、3年前に寝込んでしまったようだ。首都から来た薬師や有名な医者にも診てもらったが、女性特有のものだろうとして栄養剤などを処方してもらうだけにとどまっているとの事。
この世界ではどうかは知らないが、女性特有の病気もあるはずだし、病気もこれまでの世界と何ら変わらないと思う。風邪も引くからウィルスも居るんだろう。
マティルダ様を産んでからの肥立ちが悪いってことは、出産後に何かがあった可能性もある。
そう言えば、この世界の出産は自然分娩なんだろうな…。
そうすると、産んだ後の処理とかは…。
いろいろな事を考えるが、先ずは俺から聞くのではなく、女性同士で話をした方が話しやすいのでは、と考え、ディートリヒに相談する。
「ディートリヒ、医者の真似事のような事をさせてすまないが、ティエラ様から聞き出してほしい内容があるんだが…。」
「何でしょうか。」
「それは…、その…、女性特有の事なんだが…。」
「あ、お月の事ですね。分かりました。それ以外は何かございますか?」
「え、うん。いろいろとあるんだけど、良いかな?」
「どうぞ。」
俺は俺が聞いても恥ずかしい内容を伝えていく。
しかし、ディートリヒは真剣に聞いている。
「すまないな。こんな恥ずかしいことを聞いてもらうことになって…。」
「いえ、カズ様はティエラ様を真剣に治療なさろうとしています。
私もカズ様の治癒魔法で治療していただき、女性としての悦びまでいただくことができました。
それを恥ずかしいとは全く思っておりません。寧ろ誇りに思っています。」
ありゃ?何か信者になってる…。
「んじゃ、先ず俺は外に居るから、ティエラ様から話を聞いてね。」
俺は、客室を出ようとし、扉の前でティエラ様とばったり鉢合わせになる。
おそらく俺の顔は真っ赤であっただろう…。
「先ずは、ディートリヒに症状などをお話しください。」
そう伝えて、廊下に出る。
廊下の窓から外の景色を見る…。裏庭があり、その奥には樹木が茂っている。
お!リンゴのような木があるな、なんて思っていると、客室の扉が開きディートリヒが終わった事を伝える。
内容を聞くに、やはりマティルダ様を産んでから徐々に悪くなってきたようだ。
月のものの時には痛みが激しく、量も多い、貧血もあり食欲は無い。
性欲は無く、夜の営みについても、ただマグロなんだと…。
って、おい! ディーさんや、今更遅いが何処まで聞いてるんだ!
夜の営みについてなんて、聞かなくてもいいんだよ…。
俺は真っ赤になりながらも、ディートリヒに聞いてみる。
「その、ディーさんや…、何故、夜の営みまで聞いたのかな?」
「はい。大切な事ですので。」
「え?何で?」
「貴族の妻となればお子をなし、血族を増やし派閥を作るのが常です。しかし、ティエラ様はまだお一人しか産んでおりません。お身体の調子が悪ければ、伯爵様からのご寵愛も少なくなり、今以上にお身体の調子が悪くなります。さらに悪くなることもありますので。」
ごめんなさい。俺が間違っていました。
女性の事を何にも知りませんし、貴族の事も何も知りませんでした…。
「うん。ありがとう。多分悪いところは女性特有の器官だと思うから、そこにヒールをかけよう。」
「はい。よろしくお願いします。」
多分、部分的なスーパーヒールであれば、ぶっ倒れることはないだろう。
俺は、客室の中に入り、ティエラ様とお話しする。
「ティエラ様、今ディートリヒから聞きました。
ディートリヒが言うには女性特有のご病気である可能性があるという事です。
一つお約束をお願いいたします。
これから治癒魔法をかけますが、自分の魔法は不知の魔法らしいので、決して口外なさらないでください。」
「それは旦那様に対しても、ですか?」
「はい。おそらくは治癒魔法をかけて身体の中は完治はしていても、体力は徐々にしか上がっていきません。その間は、良く食べ、良く寝て、よく運動されるのが良いかと思います。
なので、伯爵様には、良く食べ、良く寝て、よく運動するように言われたとだけお伝えいただければ、と思います。」
「分かりましたわ。旦那様にも内密にいたします。」
「では、治癒魔法をかけますのでベッドに寝ていただけますが?」
俺はバスチャンさんを呼んで、治療した後、数時間は動かしてはいけないこと、その間はディートリヒがティエラ様を診ていること、できれば隣の部屋を使わせてもらい、俺をそこに待機させてほしい事を伝えると、即座に了承し対応してくれた。
準備が整った。
ティエラ様が仰向きに寝ている腹部と下腹部を中心に子宮が正常になり、お子さんが産めるようになることを念じた。
「スーパーヒール!」
ティエラ様の周りに光の粒が集まり、腹部を中心に吸い込まれていった。
おおう…、一気にマナが持ってかれる感がするが、アナウンスが無いって事はまだマナは大丈夫だったようだ。
「治癒魔法をかけました。これから数時間はこの場でお休みください。ディートリヒを待機させますが、隣に自分が控えていますので何かあれば仰ってください。」
「ありがとうございました。」
「では、自分は隣に控えておりますので。」
俺は、隣の部屋に行き、ソファにもたれかかった。
結構マナが持って行かれるって事は、大分悪かったのか…。
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あ、寝てしまったようだ…。
幸いなことにディートリヒからの呼び出しはない。
少し経ちディートリヒが入って来た。
回復も良く、もう大丈夫だそうだ。
俺は隣のティエラ様の様子を確認し、バスチャンに伯爵を呼びに行かせる。
程なくし、伯爵が客室に来られ、ティエラ様のお顔を見て満足したようだ。
「ニノマエ氏よ。感謝する。」
「自分は何もしておりませんよ。ただ、良く食べ、良く寝、よく運動されるようお伝えしただけです。」
「あなた、それとよく話すようにとの事です。」
ん?話すようにって?ディーさん何か助言したのかな?
「病は独りで抱えるものではなく、必ず家族と話をして改善していくようにとの事です。」
あ、そういう事か。
独りで抱えてもダメ。家族全員の理解のもとで病気を治していくってやつだ。
ディートリヒ、凄いね。
「それと、定期的にディートリヒさんに容態を診に来ていただくことにしたいのですが、あなた、よろしいでしょうか?」
「おう。ニノマエ氏が良ければ問題ないぞ。」
「ありがとうございます。では、ディートリヒさん、定期的にお話しに来てくださいね。その時夜のことも…ゴニョゴニョ…。」
おい、ディーさんや。病み上がりのヒトに何話してたんだ!?
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