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第11話 ユイさんって呼ばせてください
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「イサークさん…。」
左胸に顔を埋めていたソメノさんが顔をおこす。
「ん?」
「イサークさんの世界って、剣とか魔法とかあって、いろんなスキルがあったの?」
「そうだな。剣士もいれば魔導師もいた。治癒師もいるし、俺みたいなテイマーもいる。」
「魔法もあるんだね。」
「火とか水とか風とか…。それにテイマーに似た仕事でネクロマンサーという魔導師もいるよ。」
「ネクロマンサーって、死者を蘇らせたりするヒト?」
「まぁ、そんなもんだ。」
「すごく面白そうな世界ね。」
「そうでもないよ。
一日一日を生きていくのに精一杯だったよ。
それに森やダンジョンには魔物も多く、運が悪ければ死ぬって事もあるから。」
「この世界、と言っても日本なんだけど、平和ボケしてるから、そんな事言われてもピンと来ないヒトもいっぱいいるよね。
でも、世界のどこかでは戦争が起きてる訳だし…。ある意味、私たちが緊張感が無いだけなのかも…。」
「戦争はあったのか?」
「この間も戦争があったよ…。」
「ヒトとヒトが殺し合う…、どの世界でも同じだな。」
「そうね…。」
「魔法がない世界は、どんな風に戦うんだ?」
「多分、イサークさんがびっくりするような武器で戦うんだよ。」
ソメノさんはスマホを取り出し、何やら指を動かしている。
「こんな感じかな…。」
「な、なんだ…。これは?」
「ミサイルって言ってね。これを発射して爆発した場所では、何十人も何百人も死ぬんだよ。それに…。」
「それに?」
「この日本って国もね、80年くらい前に戦争をしていてね、数十万人も死んだ爆弾が落ちたんだ…。」
「そんな事があったのか…。」
「うん…。でも、もう私たちも忘れてしまっているくらいの昔話になっている…。」
「戦略級の魔法だぞ…。そんな事があっても人は戦争をやめないのか?」
「そうね…。ヒトって生き物はおかしな生き物なのかもしれないね…。」
「こんなに裕福なのにか?」
「裕福?」
「金属をふんだんに使ったり、石油と言ったか?そんな万能薬がある国だから裕福だろ?」
「ある意味では裕福なのかもしれないね…。
でも、この国は金属だって石油だって、他の国から輸入しているのよ。
でも、他の国に比べれば裕福なのかもしれない…。」
ソメノさんが悩み始めてしまった。
それだけ根深い話なんだろう…。
少し話題を変えるか。
「そう言えば、この世界には魔獣というか魔物はいないのかい?」
「魔獣は居ないわね。魔物というか動物なら沢山いるよ。」
「クロウやクロ、シロのようなものかい?」
「他にもたくさんいるわ。
イヌやサル、大きい動物では、ゾウやサイって動物もいるわ。」
「そうか。で、その動物を狩って生きていく人もいると…。」
「そうね。
でも、ヒトが狩りすぎて絶滅した動物も居るわ…。」
ソメノさんが、また暗い顔になってしまった。
この世界のヒトは一体何を考えているんだろう。
狩りすぎれば居なくなるってのは分かっているし、増えすぎた魔物を討伐することで依頼があった訳だったんだが…。
「ダンジョンはあるのか?」
「それは無いわね。」
「なんか、ヒト至上主義というか、ヒトが優先なんだな。」
「そうなのよ。
だからおかしな世界になっているんだと思うわ。」
「おかしな世界になっているのか…。
よく分からないが、ヒトより強い魔物は居ないのか?例えばドラゴンとか。」
「そんな伝説の生き物が居たら、国家レベルで対応してるわね。」
「しかし、先日コンビニの前にドラゴンのような魔物が街を襲う絵が貼ってあったぞ。
あれは生きているんだろ?」
「ん?なんて書いてあったの?」
「ゴ〇ラ襲来!とか書いてあったような…」
ソメノさんがいきなり吹いた。
「ぷっ…、イサークさん…。
あれはね、映画って言って、架空の生き物がこの世界に現れたらって設定で作られた物語なんだよ。」
「本物のように見えたが?」
「そうね。最近のCGや特撮技術は凄いから。」
「CG?特撮?」
「あ、えぇと、ヒトが魔道具みたいなもので作った映像なんだ。」
「魔道具はあるんだよな。なら、なぜ、そんなモノを作るんだ?」
「えぇと…、娯楽の一種かな?」
「娯楽って、楽しむためだけに魔道具を作って、使っていると?」
「そういう事になるね。」
「もっと、戦争をやめさせたり、人同士が殺し合わないようにするために魔道具を使うべきではないか?」
「…そうね。だから、この世界はおかしいのかもしれないね…。
それに、私がイサークさんの世界を理解できるのも、娯楽の一つである本だから…。
あ、本が娯楽という意味ではないんだよ。本はいろんな事を教えてくれるものだし…。
その中でも娯楽に入る本というモノがあるって事ね。」
「そうか…。
この世界は凄いんだな…。」
「ある意味凄いかもしれないけど、ある意味凄くないって事だと思う。
魔道具みたいな道具が如何に発達して、ヒトの生活が豊かになったとしても、その道具を使うヒトが正しく使わなければいけない。
だから、耕さん達のように、ヒトとの関係を絶ってしまう人がいることも確かだと思う。」
「生かすも殺すもヒト次第という事だな…。」
「そうね。だから私は少しでもヒトとの関係を持ちたいと思っている。」
「ソメノさんは凄いな。聡いと思う。」
「うふふ。ありがとね。
イサークさんと話していると、如何に私たちが過信しているのかが実感できるよ。
少なくとも、私はイサークさんと同じ目線で一緒に過ごしていきたいと思ってる。
だから、不思議と思ったことは何でも言ってね。」
確かに俺もそうだった…。
一日を生きていくのに精一杯だった…、その事にかまけて、これまでの生活が当たり前だと感じていた。
でも、目線を変えれば、いろんな考え方が生まれてくる。
世の中には、不条理だと思う事もあるが、目線を変えればそれも正しいと言えるのかもしれない…。
いかん…。俺の頭の中も混乱してきた。
「イサークさん、どうしたの?」
「いや、よく分からなくなったってのが結論だな。
でも、ソメノさんと一緒に過ごしていきたいってのは同じ思いだ。」
「ありがとね。
じゃ、早めにイサークさんの身元を保証する方法を考えましょ。」
「ありがとう。」
「あ、あとね…、私の妹にも会ってもらってもいいかな?」
「ん?ソメノさんに妹君が居たんだ。」
「うん。たった一人の肉親…。
でも、彼女海外に住んでいてね。
たまたま帰国するって言ってたから、その…、会ってもらってもいい?」
妹さんか…。
ソメノさんに似たヒトなのかな…。
なんて思いながらも、一抹の不安がよぎる。
「俺をどうやって紹介する?」
「そうね…。そのまんま話すつもり。」
「へ?」
「あ、大丈夫だよ。ミキも私と一緒でラノベ大好きだから。」
「は?」
「なんとかなるって。大丈夫だよ。
それに、彼女ならイサークさんの問題を解決してくれるかもしれないからね。」
そんなすごい妹さんなんだ。
ミキさんって言うんだな。
「ありがとう。それじゃお言葉に甘えて会わせてもらうよ。」
「こちらこそ、ありがとね。」
いろんな会話が出来てるな。
ソメノさんも笑顔になった。
そう言えば、ユエさんっていうんだっけ?
「えっと、ユエ…。」
「ん?って、今、名前で呼んでくれた?」
「あ…、まずかったら言ってくれ。」
いきなり、ソメノさんの抱き着きが強くなった…。
「イサークさん、ありがとね。」
「ん?なんで泣く?」
「だって、名前で呼んでくれるなんて、耕さん達以外居なかったから…。
それに、好きなヒトに名前で呼んでもらえるのって、すごく幸せだよ。」
「そうか…。それじゃ、これから名前で呼んでもいいか?」
「うん!勿論だよ!イサークさん!」
「それと、一つ質問があるんだが…。」
抱き着いたまま、彼女がこちらを向く。
「“らのべ”って何だっけ?」
左胸に顔を埋めていたソメノさんが顔をおこす。
「ん?」
「イサークさんの世界って、剣とか魔法とかあって、いろんなスキルがあったの?」
「そうだな。剣士もいれば魔導師もいた。治癒師もいるし、俺みたいなテイマーもいる。」
「魔法もあるんだね。」
「火とか水とか風とか…。それにテイマーに似た仕事でネクロマンサーという魔導師もいるよ。」
「ネクロマンサーって、死者を蘇らせたりするヒト?」
「まぁ、そんなもんだ。」
「すごく面白そうな世界ね。」
「そうでもないよ。
一日一日を生きていくのに精一杯だったよ。
それに森やダンジョンには魔物も多く、運が悪ければ死ぬって事もあるから。」
「この世界、と言っても日本なんだけど、平和ボケしてるから、そんな事言われてもピンと来ないヒトもいっぱいいるよね。
でも、世界のどこかでは戦争が起きてる訳だし…。ある意味、私たちが緊張感が無いだけなのかも…。」
「戦争はあったのか?」
「この間も戦争があったよ…。」
「ヒトとヒトが殺し合う…、どの世界でも同じだな。」
「そうね…。」
「魔法がない世界は、どんな風に戦うんだ?」
「多分、イサークさんがびっくりするような武器で戦うんだよ。」
ソメノさんはスマホを取り出し、何やら指を動かしている。
「こんな感じかな…。」
「な、なんだ…。これは?」
「ミサイルって言ってね。これを発射して爆発した場所では、何十人も何百人も死ぬんだよ。それに…。」
「それに?」
「この日本って国もね、80年くらい前に戦争をしていてね、数十万人も死んだ爆弾が落ちたんだ…。」
「そんな事があったのか…。」
「うん…。でも、もう私たちも忘れてしまっているくらいの昔話になっている…。」
「戦略級の魔法だぞ…。そんな事があっても人は戦争をやめないのか?」
「そうね…。ヒトって生き物はおかしな生き物なのかもしれないね…。」
「こんなに裕福なのにか?」
「裕福?」
「金属をふんだんに使ったり、石油と言ったか?そんな万能薬がある国だから裕福だろ?」
「ある意味では裕福なのかもしれないね…。
でも、この国は金属だって石油だって、他の国から輸入しているのよ。
でも、他の国に比べれば裕福なのかもしれない…。」
ソメノさんが悩み始めてしまった。
それだけ根深い話なんだろう…。
少し話題を変えるか。
「そう言えば、この世界には魔獣というか魔物はいないのかい?」
「魔獣は居ないわね。魔物というか動物なら沢山いるよ。」
「クロウやクロ、シロのようなものかい?」
「他にもたくさんいるわ。
イヌやサル、大きい動物では、ゾウやサイって動物もいるわ。」
「そうか。で、その動物を狩って生きていく人もいると…。」
「そうね。
でも、ヒトが狩りすぎて絶滅した動物も居るわ…。」
ソメノさんが、また暗い顔になってしまった。
この世界のヒトは一体何を考えているんだろう。
狩りすぎれば居なくなるってのは分かっているし、増えすぎた魔物を討伐することで依頼があった訳だったんだが…。
「ダンジョンはあるのか?」
「それは無いわね。」
「なんか、ヒト至上主義というか、ヒトが優先なんだな。」
「そうなのよ。
だからおかしな世界になっているんだと思うわ。」
「おかしな世界になっているのか…。
よく分からないが、ヒトより強い魔物は居ないのか?例えばドラゴンとか。」
「そんな伝説の生き物が居たら、国家レベルで対応してるわね。」
「しかし、先日コンビニの前にドラゴンのような魔物が街を襲う絵が貼ってあったぞ。
あれは生きているんだろ?」
「ん?なんて書いてあったの?」
「ゴ〇ラ襲来!とか書いてあったような…」
ソメノさんがいきなり吹いた。
「ぷっ…、イサークさん…。
あれはね、映画って言って、架空の生き物がこの世界に現れたらって設定で作られた物語なんだよ。」
「本物のように見えたが?」
「そうね。最近のCGや特撮技術は凄いから。」
「CG?特撮?」
「あ、えぇと、ヒトが魔道具みたいなもので作った映像なんだ。」
「魔道具はあるんだよな。なら、なぜ、そんなモノを作るんだ?」
「えぇと…、娯楽の一種かな?」
「娯楽って、楽しむためだけに魔道具を作って、使っていると?」
「そういう事になるね。」
「もっと、戦争をやめさせたり、人同士が殺し合わないようにするために魔道具を使うべきではないか?」
「…そうね。だから、この世界はおかしいのかもしれないね…。
それに、私がイサークさんの世界を理解できるのも、娯楽の一つである本だから…。
あ、本が娯楽という意味ではないんだよ。本はいろんな事を教えてくれるものだし…。
その中でも娯楽に入る本というモノがあるって事ね。」
「そうか…。
この世界は凄いんだな…。」
「ある意味凄いかもしれないけど、ある意味凄くないって事だと思う。
魔道具みたいな道具が如何に発達して、ヒトの生活が豊かになったとしても、その道具を使うヒトが正しく使わなければいけない。
だから、耕さん達のように、ヒトとの関係を絶ってしまう人がいることも確かだと思う。」
「生かすも殺すもヒト次第という事だな…。」
「そうね。だから私は少しでもヒトとの関係を持ちたいと思っている。」
「ソメノさんは凄いな。聡いと思う。」
「うふふ。ありがとね。
イサークさんと話していると、如何に私たちが過信しているのかが実感できるよ。
少なくとも、私はイサークさんと同じ目線で一緒に過ごしていきたいと思ってる。
だから、不思議と思ったことは何でも言ってね。」
確かに俺もそうだった…。
一日を生きていくのに精一杯だった…、その事にかまけて、これまでの生活が当たり前だと感じていた。
でも、目線を変えれば、いろんな考え方が生まれてくる。
世の中には、不条理だと思う事もあるが、目線を変えればそれも正しいと言えるのかもしれない…。
いかん…。俺の頭の中も混乱してきた。
「イサークさん、どうしたの?」
「いや、よく分からなくなったってのが結論だな。
でも、ソメノさんと一緒に過ごしていきたいってのは同じ思いだ。」
「ありがとね。
じゃ、早めにイサークさんの身元を保証する方法を考えましょ。」
「ありがとう。」
「あ、あとね…、私の妹にも会ってもらってもいいかな?」
「ん?ソメノさんに妹君が居たんだ。」
「うん。たった一人の肉親…。
でも、彼女海外に住んでいてね。
たまたま帰国するって言ってたから、その…、会ってもらってもいい?」
妹さんか…。
ソメノさんに似たヒトなのかな…。
なんて思いながらも、一抹の不安がよぎる。
「俺をどうやって紹介する?」
「そうね…。そのまんま話すつもり。」
「へ?」
「あ、大丈夫だよ。ミキも私と一緒でラノベ大好きだから。」
「は?」
「なんとかなるって。大丈夫だよ。
それに、彼女ならイサークさんの問題を解決してくれるかもしれないからね。」
そんなすごい妹さんなんだ。
ミキさんって言うんだな。
「ありがとう。それじゃお言葉に甘えて会わせてもらうよ。」
「こちらこそ、ありがとね。」
いろんな会話が出来てるな。
ソメノさんも笑顔になった。
そう言えば、ユエさんっていうんだっけ?
「えっと、ユエ…。」
「ん?って、今、名前で呼んでくれた?」
「あ…、まずかったら言ってくれ。」
いきなり、ソメノさんの抱き着きが強くなった…。
「イサークさん、ありがとね。」
「ん?なんで泣く?」
「だって、名前で呼んでくれるなんて、耕さん達以外居なかったから…。
それに、好きなヒトに名前で呼んでもらえるのって、すごく幸せだよ。」
「そうか…。それじゃ、これから名前で呼んでもいいか?」
「うん!勿論だよ!イサークさん!」
「それと、一つ質問があるんだが…。」
抱き着いたまま、彼女がこちらを向く。
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