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ゲーム:前日譚

18:身代り

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 討伐隊が持ち帰ったという亡骸が集会所前の広場に安置されたと聞き、報せを聞いた義母カーラが広場に駆けつけ、私も義兄を伴って継母と合流した。尤も、継母のどこか感情の欠けたような様子は相変わらずだ。

 広場に敷かれたむしろの上に横たえられた亡骸は、ほぼ白骨化しており、およそ身元を判別できるものは、わずかに身に付けているぼろぼろの衣服だけだった。

「ディック…」

 継母は抑揚のない言葉を発した。その顔には喜びも悲しみも何もなかった。

 私はこっそり、亡骸のそばに寄り、わずかに残っている髪の毛を一本つかんだ。

「こら、ユッティ、遺体にさわるんじゃない。」

 と、誰かに見つかって抱き上げられ、死体から引き剥がされてしまったが、髪の毛はどうにか手にいれた。

 亡骸を取り囲んでいる村人の輪の外に放置された私は、普段持ち歩いている擬陰まらもどきに、今さっき手にいれた髪の毛をセットした。もしこれがディックの髪の毛なら、もう一度、あの可愛いに会えるはずだ。

 が、それは叶わなかった。どう見てもこれはディックのではなく、むしろこれは普段からこっそり覗き見して今や見慣れてしまった継父ロドスだったのだ…。

 お父さんの衣服を身に付けたロドスの白骨化した死体…。

 お父さんは生きてるのね!

 私は、内心の嬉しさが表情に浮かび上がるのを必死に覆い隠しながら、いまだ、死体の側に立ち尽くしている継母の側へ駆け寄った。

 継母のそばに行くと、村人達の、遺体をお母さんマリアンヌの墓に入れてあげようという提案に、継母が同意しようとするところだった。
 縁もゆかりもない上に悪人のロドスがお母さんと一緒のお墓に埋葬されてはたまらないので、私は継母の袖をくいくいと引っ張って、お母さんのお墓は小さいから、お父さんのは新しく作ってあげようよ、と尤もらしく意見した。
 私の押しが強いとだいたい私に同意する程度に継母の思考力は落ちているので、私の意見が通り、墓は別にする事に決まった。墓が隣同士になる事は残念ながら阻止できなかったが。

 それにしても、お父さんはどこに行ったのだろうか。お父さんの着ているものをロドスが着ているという事は、お父さん(か、あるいはお父さんの協力者)がロドスに着せたとしか考えられない。

 何か思うところがあってお父さんがロドスを殺したのか、あるいはロドスがお父さんを殺そうとしたが返り討ちにあったのか、それは定かではない。

 どちらにしろ、お父さんはロドスの企みを知っていて、身を隠しているのだろう事は容易に想像できる。…ひょっとすると、どこかで私を密かに見守ってくれてたりして。

 そういえば、擬陰、どうやって元に戻そう…

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