9 / 27
下界にて
11:ユリナス
しおりを挟むそう思ったとき、床一面ににいきなり魔方陣が現れ、目映い光を放った。
このエフェクト知ってる。浄化の魔法だ。
たちまち部屋中の瘴気が消え失せ、部屋の中がモザイクなしではっきり見えるようになった。お母さんの呻き声もなくなり、静かな呼吸を取り戻したようだった。
「久しぶりじゃな、マリアンヌ、ディック。」
私たちが少し落ち着きを取り戻した時、戸口の方からそんな声が聞こえた。
「…大賢者様…」
「ユリナス様!?どうしてっ!?」
ほう、ディックも大賢者ユリナスと知り合いなのか。
二人の驚いた顔を見て、大賢者は微笑んだが、お母さんの様子を見ると、顔色を変えて呟いた。
「…おっと、これはいかん。」
そう言ったと思ったらいきなりお母さんの寝巻きを無造作にひんむいた。容赦ないな、ユリナス。
お母さんの骨と皮だけのような全身が露になり、大賢者は一瞬顔をしかめたが、すぐ元の真剣な表情を取り戻すと、お母さんの鼠径部に手をかざし、なにやら呪文を唱えた。すると、怪しげな紋様が浮かび上がった。
「ユリナス様、それは一体」
「呪印じゃな。恐らく、マリアンヌに呪具が使われたのであろうて。」
そしてすぐさま大賢者が呪文を唱えると、呪印を覆うように魔方陣が浮かび上がった。そして、お母さんの体全体を柔らかなライムの光が包んだ。
このエフェクトも見たことある。解呪の魔法だ。
光が収まると、お母さんの陰部を隠していたモザイクが消え、瘴気の流出が止まった。
「あうっ(呪いが消えた!)」
「呪いは消えた。もう少し遅ければ、手遅れになるところじゃった。」
「マリー!」「…兄さん…」
ディックとお母さんは安堵の表情で抱擁し合った。ほんっとに兄妹仲いいな。大賢者も微笑ましげに二人を眺めている。
「ユリナス様はどうしてこちらに?」
「わしか?街道を歩いておったら、ちょうどディックを見かけての、後を追っただけじゃ。」
「…そういえば…兄さんは…どうして…戻って…きたの?」
「えっそれは」
言い淀んだディックは、ちらりと、私の寝台に転がっている擬陰に視線を合わせた。…いや、どんだけ後ろ髪引かれてるんだよ…。その場にいた全員が微妙な表情になってしまった。
ひとつため息をついて、大賢者は部屋を見回し、部屋の隅で倒れているカーラの様子をうかがった。
「ふむ、何故この部屋で全裸でいるのかはわからんが、この女は気絶しているだけじゃな。呪いも受けていないし、瘴気も全て浄化されているようじゃ。怪我をしているようじゃから、治癒だけしておこうか。」
と言うが早いか、たちまち魔法陣が現れ、怪我が見る間に治ってゆく。しかも処女膜付きで。…それ絶対嫌がらせだろ。
大賢者は治癒の結果に満足したのか、大股開きのまま気絶しているカーラをそのまま放置し、今度は窓の外を見た。
さっき放り出した淫獣を、大賢者の従者と思しき人が処分している所だった。
「ふむ、あれは淫獣じゃな。嬰児を核としておるようじゃが、あれはそこで気絶している女の胎におったのかの。あれは魔物の子のように見えるが、この女は魔物と交わっておるのか?」
うわ、なんか要らん情報でてきた。という事は、他にカーラの子供がいるって事か。それがいずれ私の義理の兄になるわけ?
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる