長いトンネル

ツヨシ

文字の大きさ
上 下
1 / 6

しおりを挟む
あれは私が高校生のころのことでした。

友人のとうやといっしょに、肝試しに出かけることになりました。

幽霊が出ると言う噂のトンネルで、日本中にいくつもあるようなベタなところです。

古い旧道にあり、後から北側に新道、さらに南にバイパスまで出来たために、もともと道幅が狭かったこともあって今で通る人がほとんどいません。

夜を待ち、自転車で行きました。

着いてみると、確かに道幅が狭く、街灯もないために暗くて見通しは最悪でしたが、思っていたほど不気味というかおどろおどろしい雰囲気はありませんでした。

まわりもけっこう開けていましたし。

「本当に幽霊が出るのか、ここは?」

とうやが言いました。

「出るときは出るけど、出ないときは出ない」

私は何か返そうかと思いましたが、やめておきました。二人で自転車を降り、懐中電灯を片手にトンネルの中に入りました。

「とりあえず出口まで行って、また戻ってこよう」

私は聞きました。

「トンネルの長さはどのくらい?」

「調べたところ、九百メートルって書いてあった」

それなら往復千八百メートル。

男子高校生なら、三十分も掛からない距離だと判断しました。

そこで中に入り、歩き始めました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

歩きスマホ

宮田歩
ホラー
イヤホンしながらの歩きスマホで車に轢かれて亡くなった美咲。あの世で三途の橋を渡ろうとした時、通行料の「六文銭」をモバイルSuicaで支払える現実に——。

禊(みそぎ)

宮田歩
ホラー
車にはねられて自分の葬式を見てしまった、浮遊霊となった私。神社に願掛けに行くが——。

リューズ

宮田歩
ホラー
アンティークの機械式の手に入れた平田。ふとした事でリューズをいじってみると、時間が飛んだ。しかも飛ばした記憶ははっきりとしている。平田は「嫌な時間を飛ばす」と言う夢の様な生活を手に入れた…。

限界集落

宮田歩
ホラー
下山中、標識を見誤り遭難しかけた芳雄は小さな集落へたどり着く。そこは平家落人の末裔が暮らす隠れ里だと知る。その後芳雄に待ち受ける壮絶な運命とは——。

Bell

宮田歩
ホラー
アンティークショップでジャンク品として買った目覚まし時計。スマホのアラームをかけ忘れていた日に目覚まし時計のベルがなった。その後も何度か助けられるが——。

アポリアの林

千年砂漠
ホラー
 中学三年生の久住晴彦は学校でのイジメに耐えかねて家出し、プロフィール完全未公開の小説家の羽崎薫に保護された。  しかし羽崎の家で一ヶ月過した後家に戻った晴彦は重大な事件を起こしてしまう。  晴彦の事件を捜査する井川達夫と小宮俊介は、晴彦を保護した羽崎に滞在中の晴彦の話を聞きに行くが、特に不審な点はない。が、羽崎の家のある林の中で赤いワンピースの少女を見た小宮は、少女に示唆され夢で晴彦が事件を起こすまでの日々の追体験をするようになる。  羽崎の態度に引っかかる物を感じた井川は、晴彦のクラスメートで人の意識や感情が見える共感覚の持ち主の原田詩織の助けを得て小宮と共に、羽崎と少女の謎の解明へと乗り出す。

消えた影

you
ホラー
大学生の「葵」は、ある日突然、幼馴染の「光太郎」から数年ぶりに連絡を受ける。彼はおびえた様子で「影が消えるんだ、俺の影が…」と語る光太郎の言葉は、葵に不安と疑念を抱かせるが、冗談だろうと思いながらも会う約束をする。 その夜、指定された場所に現れた葵は、薄暗い公園で光太郎の姿を見つける。しかし、光太郎の体には影が一切ない。冗談ではなく本当に影が消えていることに恐怖を感じた葵は、原因を聞いた。 光太郎は学校でうわさになっていたオカルトサイトを見つけ、そこに書かれている「自分の影を売り渡すと、夢が叶う」という謎めいたオカルト儀式を冗談半分で行った結果、彼の影が消えてしまったというのだ。

【完結】人の目嫌い/人嫌い

木月 くろい
ホラー
ひと気の無くなった放課後の学校で、三谷藤若菜(みやふじわかな)は声を掛けられる。若菜は驚いた。自分の名を呼ばれるなど、有り得ないことだったからだ。 ◆2020年4月に小説家になろう様にて玄乃光名義で掲載したホラー短編『Scopophobia』を修正し、続きを書いたものになります。 ◆やや残酷描写があります。 ◆小説家になろう様に同名の作品を同時掲載しています。

処理中です...