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「そうですか。私はいまだにノーレッジさんとしか会っていなくて。本当に参加者が八人もいるのかなと思ってました」
ノーレッジは俺はいまだに会っていないが、この引きこもりは会ったようだ。
「そうですか。俺は自分以外の人に会ったのは、社畜さんで四人目です」
「そうですか。ところで話は変わりますが、この屋敷の外で、なにか変なものを見ませんでしたか?」
「変なもの?」
「ええ、ノーレッジさんにも聞いたのですが、ノーレッジさんは見ていないようでした。私もはっきりとみたわけではないんですが、とにかくでかくて素早く動くなにかです」
あれか。俺もはっきり見たわけではないが、でかくて動くものは見た。
「見ましたよ。ほんの一瞬でしたが」
「そうですか。私もほんの一瞬でした。ベランダで見たのですが、すぐに屋敷の陰に隠れてしまって。とにかく動きが早くて」
「俺もベランダでみました。すぐに屋敷の陰に隠れてしまいましたが」
「同じですね」
「そうですね」
俺と社畜はほぼ同じ状況であれを見ていた。
社畜が言った。
「あれ、なんだと思います?」
「さあ。車とかには見えんかったですね。なにか一つ上げるとしたら、動物ですかね」
「それも私と同じですね。でもあれ動物だとしたら、牛なんかよりもずっとでかいですよ。象に近いくらい」
「そうですね。私が見たのもそれくらいの大きさがありました。ほぼ象くらいですかね」
「でもここは離島とは言え、おそらく日本でしょう。日本にそんな動物がいますかね」
「いや、いませんね」
「でしょう。だったらあれはいったいなんなんですかね」
なんなんですかねと聞かれても、俺にもわからない。
それをそのまま答えた。
「そうですか。他にあれを見た人がいますかね」
「アンノウンさんが見てますね」
「そうなんですか。それでアンノウンさんはあれのことをなんと言ってましたか?」
「はっきり見えなかったのでよくわからないが、大きな動物のような気がしたと言ってました」
「そうですか。すると三人とも大きな動物に見えたんですね」
「ええ、そうなります」
社畜はそのまま黙ってしまった。
俺もそれ以上は答えない。
結構長い沈黙の後に、社畜が言った。
「わかりました。今後あれについてなにかわかりましたら、必ず教えてくださいね」
「ええ、もちろんいいですよ」
「ありがとう。それじゃあ私はこのへんで」
社畜はそのままどこかへ行ってしまった。
俺も自分の部屋に帰った。
次の日はももさん、アンノウン、クマちゃんに会った。
そしてさらに次の日、昼に小柄な中年男性に会った。
話をするとその男はキングだった。
おとなしくて口数が少なく、話が全く弾まない。
まあネット依存症の人間としては、それほど珍しくはないが。
どうやら大きななにかも見ていないようで、特に情報を交わすこともないまま別れた。
そして夜に、いかにも学者か医者かといった風貌の二十代に見える男に会った。
名前を聞くとノーレッジだった。
ハンドルネームに知識とつけるだけのことはある見た目の男だ。
「名前はほかの人から聞きましたが、会うのは初めてですね」
「ええ、私は部屋に引きこもりがちなのでね」
話し方にすら知性を感じてしまうその口調。
特定の女性にはかなり好かれるであろう男だ。
ノーレッジは俺はいまだに会っていないが、この引きこもりは会ったようだ。
「そうですか。俺は自分以外の人に会ったのは、社畜さんで四人目です」
「そうですか。ところで話は変わりますが、この屋敷の外で、なにか変なものを見ませんでしたか?」
「変なもの?」
「ええ、ノーレッジさんにも聞いたのですが、ノーレッジさんは見ていないようでした。私もはっきりとみたわけではないんですが、とにかくでかくて素早く動くなにかです」
あれか。俺もはっきり見たわけではないが、でかくて動くものは見た。
「見ましたよ。ほんの一瞬でしたが」
「そうですか。私もほんの一瞬でした。ベランダで見たのですが、すぐに屋敷の陰に隠れてしまって。とにかく動きが早くて」
「俺もベランダでみました。すぐに屋敷の陰に隠れてしまいましたが」
「同じですね」
「そうですね」
俺と社畜はほぼ同じ状況であれを見ていた。
社畜が言った。
「あれ、なんだと思います?」
「さあ。車とかには見えんかったですね。なにか一つ上げるとしたら、動物ですかね」
「それも私と同じですね。でもあれ動物だとしたら、牛なんかよりもずっとでかいですよ。象に近いくらい」
「そうですね。私が見たのもそれくらいの大きさがありました。ほぼ象くらいですかね」
「でもここは離島とは言え、おそらく日本でしょう。日本にそんな動物がいますかね」
「いや、いませんね」
「でしょう。だったらあれはいったいなんなんですかね」
なんなんですかねと聞かれても、俺にもわからない。
それをそのまま答えた。
「そうですか。他にあれを見た人がいますかね」
「アンノウンさんが見てますね」
「そうなんですか。それでアンノウンさんはあれのことをなんと言ってましたか?」
「はっきり見えなかったのでよくわからないが、大きな動物のような気がしたと言ってました」
「そうですか。すると三人とも大きな動物に見えたんですね」
「ええ、そうなります」
社畜はそのまま黙ってしまった。
俺もそれ以上は答えない。
結構長い沈黙の後に、社畜が言った。
「わかりました。今後あれについてなにかわかりましたら、必ず教えてくださいね」
「ええ、もちろんいいですよ」
「ありがとう。それじゃあ私はこのへんで」
社畜はそのままどこかへ行ってしまった。
俺も自分の部屋に帰った。
次の日はももさん、アンノウン、クマちゃんに会った。
そしてさらに次の日、昼に小柄な中年男性に会った。
話をするとその男はキングだった。
おとなしくて口数が少なく、話が全く弾まない。
まあネット依存症の人間としては、それほど珍しくはないが。
どうやら大きななにかも見ていないようで、特に情報を交わすこともないまま別れた。
そして夜に、いかにも学者か医者かといった風貌の二十代に見える男に会った。
名前を聞くとノーレッジだった。
ハンドルネームに知識とつけるだけのことはある見た目の男だ。
「名前はほかの人から聞きましたが、会うのは初めてですね」
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特定の女性にはかなり好かれるであろう男だ。
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