かくれんぼ

ツヨシ

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「ほんと。ありがとう」

とくちゃんはにっこり笑った。

鬼が数を数え始めた。

「じゃ、こっちに来て」

「うん」

僕はとくちゃんを、ずいぶん前から人が住んでいない廃墟に連れて行った。

「この中に隠れるの?」

「中に入るだけじゃ、すぐに見つかっちゃうよ」

「じゃどうするの?」

「とくちゃん、その中覗いてみてよ」

とくちゃんは言われるままに、庭の古井戸を覗き込んだ。

僕はとくちゃんを突き飛ばすと、井戸にふたをした。

木のふたでも僕には重かったが、なんとかふたをすることができた。

これでよし。

これでとくちゃんは鬼はもちろん、誰にも見つかることはないだろう。

ずっと。


        終
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