黒い影

ツヨシ

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今は初夏。

一年のうちで最も日の入りが遅い時期なのですが、会社を出る頃にはすっかり暗くなっています。

そして昨日事故のあったところを通りました。

事故から一日経っています。

今はなにもありません。

そのまま車を走らせました。

しばらく経ったところで見ました。

あの黒い影を。

反対車線の路肩に立っていました。

 ――!

昨日と同じく全てがもやもやしていて目などは見当たりません。

だがやはりそいつが私をじっと見つめているような気がしました。

私は見なかったことにしてそのまま通りすぎました。
 
 
次の日も遅い時間の帰宅となりました。

例の事故現場を通りましたが、何もありませんでした。

そして昨日黒い影を見たところも、影はいません。

 ――何かの見間違いだったのかな。

私はそう思いました。

あんなにもはっきりと見ているというのに。

そう思うことにしたが正しいでしょう。
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