隣の美少女

ツヨシ

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学校に行く。
いつものこと。
真矢も当然来る。
しかし真矢の声を自己紹介の時以来聞いたものはいなかった。
誰ともしゃべらないし、誰にも話しかけられないからだ。
先生でさえ、真矢をあてることはなかった。
それだけ他を寄せ付けないオーラを放っていたのだ。
ところが数日たったころ、葉山君が真矢に話しかけた。
それも友好的なものではない。
陰湿で攻撃的なものだ。
葉山君は八歳にしてチンピラのような口調と行動の男の子だ。
おまけに目立ちたがりで、クラスの問題児だ。
葉山君からすれば、自分はいつもいつも自らを誇示するような言動をしていたのに、一言もしゃべらない真矢の方が明らかに目立っている。
そのことが気に入らなかったようだ。
「ブスのくせに、気取ってんじゃねえよ。おい、なんとか言ってみろよ」
真矢は葉山君を見たが、まるで興味がないかのように視線をそらした。
それが葉山君の気に障ったようだ。
「無視してんじゃねえよ」
葉山君は真矢の机を強く叩くと、真矢の頭をつかんだ。
見ていた委員長が思わず前に出ようとしたとき、真矢が葉山君を見た。
怖い目で。
とても八歳の少女の目とは思えなかった。
いや、しんやは今まで大人でもこんな怖い目は見たことがなかった。
道徳や倫理、善意や良心。
そういったものを全てそぎ落として、殺意だけが残ったような目。
思わず葉山君が手をはなし、後ずさった。
すると真矢は視線を元に戻した。
そしていつもの無表情となった。

数日後、葉山君は学校に来なかった。
先生が言った。
「葉山君がいなくなった。どこに行ったのかはわからない。親御さんや警察を含めていろんな人が探しているが、まだみつからない」と。
そんな話だ。
その時しんやは、なぜか真矢を見た。
真矢はいつもと微塵も変わらない様子で前を見ていた。

ある日学校から帰ると、家の前にお母さんと木山の奥さんがいた。
二人とも話に夢中でしんやに気づかない。
木山の奥さんが言った。
「せっかくもらった養子だけど、わたしあの子がどんどん気味悪くなってきてねえ」
「そうですか。でも養子だけど、初めてのお子さんですから」
お母さんがそう言っても、木山の奥さんは浮かない顔だ。
その時お母さんが、しんやに気づいた。
「あら、おかえり」
「ただいま」
「しんや君、おかえり」
しんやは家に入った。その後木山の奥さんも帰ったようだ。
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