妖怪女

ツヨシ

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鍵はかかっていた。
さっき俺が開けたばかりなのだから。
ならあの女はどうやって入ってきた。
それにあの女はいったい誰なんだ。
不思議だし不気味だ。
俺は思い立ち、近所の鍵屋に頼んで、鍵を取り換えてもらうことにした。
大家にも状況を説明し、承諾をもらった。
「警察にも言っておいたほうがいいんじゃないですか」
大家にそう言われたが、俺は警察なんて面倒だと思い、断った。
鍵も変えたし、もう大丈夫なんじゃないかと。

次の日の休日。
俺は起きて着替えた後、ふとわけのわからない不安にかられた。
そして自分でもよくわからないままに、部屋を隅々まで見て回った。
まるで小さな失くしものを探すかのように丁寧に、徹底的に。
安い家賃のワンルーム。
全部を穴が開くほど見ても、そう時間はかからない。
――よし猫の子一匹いないな。
そう思ったとき、俺はあの女を探していたのだと、ようやく気が付いた。
――まさか、いるわけがないのに。
俺はそう思い、買い物に出かけることにした。
部屋を出て少し歩いたところで気が付いた。
財布を忘れた。
――買い物できないじゃないか。
俺は自分を笑いながら部屋に戻った。
鍵を開け、中に入る。
そして見た。
ベットで、昨日見た女がまた寝ているのを。


       終
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