格安のホテルにて

ツヨシ

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その声はそう言っていた。

低いが若い女の声に聞こえた。

そんなに大きな声ではなかったが、私の耳にはっきりと残った。

――!?

目を開けて周りを見渡した。

がスタンドのわずかな明かりだけでは、部屋全体を見ることができなかった。

部屋の灯りをつけようかとも思ったが、怖くてその場から動けなかった。

するとまた聞こえてきた。

「く・る・し・い」

私は何も聞こえないふりをして、布団をかぶった。

空耳だ、気のせいだと自分に言い聞かせながら。

気がつくと朝になっていた。

いつの間にか寝てしまっていたようだ。

ホテルを出てそのまま工場に向かった。

そしてなんとか改善策をしぼりだし、昼には仕事を終えて急行で家に帰った。


その夜、私は考えた。

あの声は一体何だったのだろうか。

そして先輩の言っていた「気をつけろ」とはあの声のことだったのだろうか。

考えたがわからず、無理やり眠りについた。


次の日、改善策を会社に提出し、その後は通常業務に戻った。
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