2 / 5
2
しおりを挟む
「みんなも薄々気がついているかもしれないが、高坂君は会社を退職することになった」
それだけだった。
辞める理由やその他の説明はなかった。
というよりも、上司自身がよくわかっていないような口ぶりだった。
となると、会社に来なくなった前日に「あのホテルには気をつけろ」と言われた私がその理由を一番知っているかもしれない。
やめた理由があのホテルにあったとしたらだが。
いや、たとえそうであっても、いったいホテルで何があったのか、何に気をつけなければならないのかは、まるでわからないのだが。
そして数日が過ぎた頃、私の出張が決まった。
宿泊先はもちろんあのホテルである。
気はのらないが、出張の際のホテルは会社が決めている。
それで長年やってきたのだ。
私一人で反対してもどうにもならない。
だいいち理由を聞かれたら大いに困ることになる。
辞めた先輩が「あのホテルに気をつけろ」言ったから、といった理由が間違っても通るわけもない。
私は仕方なくあのホテルに泊まった。
ニ泊したが、結果としては何もなかった。
安いホテルだけあって建物もかなり古く、部屋も狭くてサービスもお世辞にも良いとは言えなかったが、変わったこととか特別なことは何も起こらなかった。
正直不安でしかたがなかったが、とりあえずはほっとした。
しかし一週間過ぎたとき、急に同じ会社への出張が決まった。
どうやら納品した新製品に問題が生じたようだ。
それだけだった。
辞める理由やその他の説明はなかった。
というよりも、上司自身がよくわかっていないような口ぶりだった。
となると、会社に来なくなった前日に「あのホテルには気をつけろ」と言われた私がその理由を一番知っているかもしれない。
やめた理由があのホテルにあったとしたらだが。
いや、たとえそうであっても、いったいホテルで何があったのか、何に気をつけなければならないのかは、まるでわからないのだが。
そして数日が過ぎた頃、私の出張が決まった。
宿泊先はもちろんあのホテルである。
気はのらないが、出張の際のホテルは会社が決めている。
それで長年やってきたのだ。
私一人で反対してもどうにもならない。
だいいち理由を聞かれたら大いに困ることになる。
辞めた先輩が「あのホテルに気をつけろ」言ったから、といった理由が間違っても通るわけもない。
私は仕方なくあのホテルに泊まった。
ニ泊したが、結果としては何もなかった。
安いホテルだけあって建物もかなり古く、部屋も狭くてサービスもお世辞にも良いとは言えなかったが、変わったこととか特別なことは何も起こらなかった。
正直不安でしかたがなかったが、とりあえずはほっとした。
しかし一週間過ぎたとき、急に同じ会社への出張が決まった。
どうやら納品した新製品に問題が生じたようだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説






糠味噌の唄
猫枕
ホラー
昭和60年の春、小6の町子は学校が終わって帰宅した。
家には誰もいない。
お腹を空かせた町子は台所を漁るが、おやつも何もない。
あるのは余った冷やご飯だけ。
ぬか漬けでもオカズに食べようかと流し台の下から糠床の入った壺をヨイコラショと取り出して。
かき回すと妙な物体が手に当たる。
引っ張り出すとそれは人間の手首から先だった。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる