31 / 37
31
しおりを挟む
正也はそれに慣れてしまい、それが当たり前のことだと思うようになっていった。
はるみもみまも、似たような感じだと思われた。
そして夜。
就寝。
次の日、一応捜索はした。
村の中。あてもなく。
少しの時間をおいて、四体の化け物が現れた。
昨日と同じ。
どの化け物も近くには現れなかった。
逃げる必要はない。
なんの成果もないまま、洞窟に帰る。
座る。
黙る。
洞窟に帰ってから、正也は考えた。
この洞窟ははたして安全なのだろうか。
洞窟のサイズ的には、化け物が出現できる空間はある。
今のところは現れていないが、今後も現れないと言う保証はどこにもない。
しかしさらに考えた。
この村に安全な場所はないだろうと、住職も言っていた。
すると結局どこにいても同じと言うことになる。
この洞窟のいいところは、村も山も見ることなく休めるところだ。
死人の怨念でできた村や山など見たくもない。
その点については村に比較的近いこの洞窟も、全く同じなのだが、正也にとっては気分的に全然違うのだ。
この洞窟も安全とは言えないのだが、自ら動き回ればそれだけ危険度が増すことは確かだ。
今後もやはり、毎日少しずつ捜索するのがいいのだろう。
その考えに絶対的な確信があるわけではないのだが、正也はそう考えた。
そのうちに外が暗くなる。
はるみが横になり、正也とみまも横になった。
あとは寝るだけ。
それ以外にない。
次の日は、昨日と同じくらいの時間内に、化け物を三体見た。
どれも至近距離ではなく、化け物はいつものように縦になった大きな目でこちらを見ているだけだ。
やがて消える。
この日の捜索もなにもない。
午前中には洞窟に帰った。
それからはなにもしない。
動くこともなく。
口を開くこともない。
そのうちに暗くなり、あとは眠りにつくだけだ。
次の日も同じくらいの時間、捜索をした。
現れた化け物は二体。
何回見てもあれは不気味だ。
おまけにこいつが人を喰うところを、数度見ている。
見てもそこには不快感しかない。
捜索は相変わらず成果なし。
洞窟に帰り、暗くなったら寝る。
それだけ。
同じことを繰り返すのみだ。
翌日、まるで判で押したかのように、同じくらいの時間、村の捜索をする。
化け物は見たが、一体だけだった。
正也は気づいた。
四体、三体、二体、一体。
日ごとに見る化け物の数が減っている。
――これは、もしかしたら……。
そう思ったが、口には出さなかった。
まるで確信が持てなかったからだ。
相変わらず無駄に時間を過ごし、そのまま洞窟へと帰る。
今日もそうなった。
おそらく明日もそうなるだろう。
こんなことがいつまで続くのか。
自問自答。わからない。
次の日は、捜索時間がいつもよりも伸びたように思う。
しかし化け物は一体も見ることがなかった。
――これはいよいよもしかしたら……。
正也はそう思った。
毎日見る化け物の数が減っていき、今日はついに見なかったのだ。
捜索は終わり。洞窟へ帰る。
はるみもみまも、似たような感じだと思われた。
そして夜。
就寝。
次の日、一応捜索はした。
村の中。あてもなく。
少しの時間をおいて、四体の化け物が現れた。
昨日と同じ。
どの化け物も近くには現れなかった。
逃げる必要はない。
なんの成果もないまま、洞窟に帰る。
座る。
黙る。
洞窟に帰ってから、正也は考えた。
この洞窟ははたして安全なのだろうか。
洞窟のサイズ的には、化け物が出現できる空間はある。
今のところは現れていないが、今後も現れないと言う保証はどこにもない。
しかしさらに考えた。
この村に安全な場所はないだろうと、住職も言っていた。
すると結局どこにいても同じと言うことになる。
この洞窟のいいところは、村も山も見ることなく休めるところだ。
死人の怨念でできた村や山など見たくもない。
その点については村に比較的近いこの洞窟も、全く同じなのだが、正也にとっては気分的に全然違うのだ。
この洞窟も安全とは言えないのだが、自ら動き回ればそれだけ危険度が増すことは確かだ。
今後もやはり、毎日少しずつ捜索するのがいいのだろう。
その考えに絶対的な確信があるわけではないのだが、正也はそう考えた。
そのうちに外が暗くなる。
はるみが横になり、正也とみまも横になった。
あとは寝るだけ。
それ以外にない。
次の日は、昨日と同じくらいの時間内に、化け物を三体見た。
どれも至近距離ではなく、化け物はいつものように縦になった大きな目でこちらを見ているだけだ。
やがて消える。
この日の捜索もなにもない。
午前中には洞窟に帰った。
それからはなにもしない。
動くこともなく。
口を開くこともない。
そのうちに暗くなり、あとは眠りにつくだけだ。
次の日も同じくらいの時間、捜索をした。
現れた化け物は二体。
何回見てもあれは不気味だ。
おまけにこいつが人を喰うところを、数度見ている。
見てもそこには不快感しかない。
捜索は相変わらず成果なし。
洞窟に帰り、暗くなったら寝る。
それだけ。
同じことを繰り返すのみだ。
翌日、まるで判で押したかのように、同じくらいの時間、村の捜索をする。
化け物は見たが、一体だけだった。
正也は気づいた。
四体、三体、二体、一体。
日ごとに見る化け物の数が減っている。
――これは、もしかしたら……。
そう思ったが、口には出さなかった。
まるで確信が持てなかったからだ。
相変わらず無駄に時間を過ごし、そのまま洞窟へと帰る。
今日もそうなった。
おそらく明日もそうなるだろう。
こんなことがいつまで続くのか。
自問自答。わからない。
次の日は、捜索時間がいつもよりも伸びたように思う。
しかし化け物は一体も見ることがなかった。
――これはいよいよもしかしたら……。
正也はそう思った。
毎日見る化け物の数が減っていき、今日はついに見なかったのだ。
捜索は終わり。洞窟へ帰る。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
血だるま教室
川獺右端
ホラー
月寄鏡子は、すこしぼんやりとした女子中学生だ。
家族からは満月の晩に外に出ないように言いつけられている。
彼女の通う祥雲中学には一つの噂があった。
近くの米軍基地で仲間を皆殺しにしたジョンソンという兵士がいて、基地の壁に憎い相手の名前を書くと、彼の怨霊が現れて相手を殺してくれるという都市伝説だ。
鏡子のクラス、二年五組の葉子という少女が自殺した。
その後を追うようにクラスでは人死にが連鎖していく。
自殺で、交通事故で、火災で。
そして日曜日、事件の事を聞くと学校に集められた鏡子とクラスメートは校舎の三階に閉じ込められてしまう。
隣の教室には先生の死体と無数の刃物武器の山があり、黒板には『 35-32=3 3=門』という謎の言葉が書き残されていた。
追い詰められ、極限状態に陥った二年五組のクラスメートたちが武器を持ち、互いに殺し合いを始める。
何の力も持たない月寄鏡子は校舎から出られるのか。
そして事件の真相とは。
貧困女子は嘘つきばっかり
三日月李衣
ホラー
東京のある地域で貧しい女子大生が一括千金の為に絵本作家になる事にした。自費出版で絵本を出版した女子大生は一個の金塊を拾ってそれを商売して大金持ちになるというお話だ。
女子大生は令和のわらしべ長者として人気者になったが、女子大生の過去が暴かれて転落するというお話です。
五丁目のマンション、エレベーター内にて
三文小唄
ホラー
東京某所、とあるマンションに私は住んでいた。そこは7階建てで、私の部屋はそのうちの6階だ。
見た目は小綺麗なマンションであるが実情はひどいものだ。ここはいわゆる”出る”そうだ。曰く付きと言えば、昨今の人は理解されるだろう。心理的瑕疵物件というやつだ。
しかし私たちの住む部屋自体にはそういった現象はない。と言ってもまだ私が確認していないだけかもしれないが。
ここの部屋には”出ない”。よく”出る”と言われるのは、エレベーターだ。
このマンションにはエレベーターが二基設置されている。
それはマンションの両極端に設置されており、一方は明らかに後から増設されたようなものだ。
無論、ここの住人はこの増設された方を使用する。もう一方のエレベーターは、よほどの猛者出ない限り使用はしないだろう。なんせ”出る”のだから。しかし、やはりたまにこのエレベーターを使用してしまう愚か者がいるのだ。これは、その愚か者たちの末路を記したものだ。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
オーデション〜リリース前
のーまじん
ホラー
50代の池上は、殺虫剤の会社の研究員だった。
早期退職した彼は、昆虫の資料の整理をしながら、日雇いバイトで生計を立てていた。
ある日、派遣先で知り合った元同僚の秋吉に飲みに誘われる。
オーデション
2章 パラサイト
オーデションの主人公 池上は声優秋吉と共に収録のために信州の屋敷に向かう。
そこで、池上はイシスのスカラベを探せと言われるが思案する中、突然やってきた秋吉が100年前の不気味な詩について話し始める
狂気と幻想のホラーミステリー短編集
三雲はる
ホラー
ホラーミステリー短編集です。4話で1つの物語が完結します。青春、SF、不条理、ブラック、コメディ等バラエティ豊かな内容となっています。恐怖と謎が交錯する奇妙な世界をお楽しみください。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる