あのバス停を降りたときに

ツヨシ

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――えっ、なんで?

そして次の停留所でバスは停まりました。

老婆がゆっくりとバスを降り、その後を女子高生が老婆と同じようにびちゃびちゃと音をたてながら降りてゆきました。

それを見た私は、浮かせかけていた腰を下ろしました。

――とっ、とにかく……。

恐怖の対象である異形のものはバスを降りました。

私は言いようのない疲労感を感じていましたが、ふとあることに気がつきました。

周りの風景。

バスのエンジン音。

停まっていました。

いつもならもう走り出しているバスが、全く動いていないのです。

扉も開いたままでした。

――えっ、どういうこと?

私は思わず運転手を見ました。

すると運転手が、顔を突き出して振り返り、仮面のような白い顔で私に言いました。

「さあ、あなたも早く降りなさい」

私が何も言えず、何も出来ずにただ運転手を見ていると、若い男、中年の女、そして幼女が振り返り、言いました。

「さあ、あなたも早く降りなさい」


         終
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