あのバス停を降りたときに

ツヨシ

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純粋なる恐怖に満ちた悲鳴。

私が今までに一度もだすことが出来なかった絶叫。

自然でごく当たり前のものです。

女子高生は、その頭が天井についてしまうのではないかと思えるほど飛び上がり、そのまま転げ落ちるようにバスを降りてゆきました。

そして声を限りに叫びながら、暗く細い山道を走り去っていきました。

もちろん運賃など、払ってはいません。

女子高生が去った後、老婆がおもむろに立ち上がり、そのままバスを降りていきました。

扉が閉まり、バスは走り出しました。

静かでした。

エンジン音などは聞こえてくるのですが、私にはとてつもなく静かに感じられました。


いつもの終着地。

少しばかりの民家の灯りが、より寂しさを演出しているかのような場所。

しばらく待てば、バスはそのまま私を家の近くまで運んでくれることでしょう。

――明日、どうしよう……。

私がこの状況下においても明日このバスに乗るべきかどうかを考えていると、バスはいつの間にか目的の停留所に近づいていました。

その時私は、眠った覚えも気を失った記憶もありませんでした。
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