あのバス停を降りたときに

ツヨシ

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侵入してくるあまりにも濃い血の臭い。

そしてあのおぞましい老婆が乗ってきました。

老婆はいつものようにしばらく後方に目をやると、いつもの席に座りました。

つまり見知らぬ女子高生の真後ろの席です。

女子高生は全く反応しませんでした。

これほどまでに鼻を突く血の嫌な臭いがたちこめ、すぐ後ろにこの世のものではない老婆が座ったというのに、女子高生は目を覚まさなかったのです。

そして次のバス停、その次のバス停でバスは停車しました。

そこは老婆がいつもバスを降りる停留所。

老婆が階段を一歩降りる度に、臓物が段に落ちてべちゃべちゃと音をたてているところです。

扉が開きました。

しかし老婆は動きません。

私が固唾をごくりと飲み込みながら二人を見ていると、突然老婆が甲高い声で笑いだしました。

「いいいいいっひいひいひいひいひぃ」

頭を垂れていた女子高生がびくんと起き、振り返りました。

老婆を見、大きく目を見開き、そして一瞬の間の後、声を限りに叫びました。

「きゃああああああああああああっ!」
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