あのバス停を降りたときに

ツヨシ

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細く、薄暗く、曲がりくねり、がたがたと乗り心地の悪い道をバスは走っていたのです。

――えっ?

思わず前を見た私は、あることに気がつきました。

乗客です。

若い男性、中年の女性、そして幼女。

この三人はいつものとおりでした。

しかし一番前の左側の席、いつも老婆が座っているすぐ前の席に、誰かが座っていました。

その全体像を見ることは出来ませんでしたが、それでも見えている部分からその人物がセーラー服を着た女子高生であることがわかりました。

私はそのセーラー服に見覚えがあったのです。

この山中を走るバスの中で、いつもの三人以外の誰かが乗っているのを私は初めて見ました。

私はその女子高生を観察しました。

そしてその首の揺れ具合から、その女子高生が眠っていることに気付きました。

――ひょっとして……。

あの女子高生も私と同じように寝てしまって、いや気を失ってしまったのではないのだろうかと。

そう考えながら女子高生のふらふら揺れる後頭部を見ていると、バスがいつものところで停まりました。

ぷしゅと開く扉。
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