赤いキャンプ場

ツヨシ

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人を殺すにしても、まさかこんな形で人を殺すことになろうとは。

考えてもみなかった。

倒れた女を呆然と見ていると、突然肩を叩かれた。

――!!

弾かれたように振り替えると、そこには正人が立っていた。

正人が今も生きているということが、私には二重の驚きだった。

「いったい何があったんだ?」

私は足元に伏している女を見ながら指差した。

「実はこの女が……」

私はそれ以上続けることが出来なかった。

背中にとてつもない痛みを感じたからだ。

よろけながら振り返ると、正人が赤く染まったサバイバルナイフを手にしていた。

そう、もともとこのサバイバルナイフは、私用と正人用の二つあったのだ。

「ど……どうして?」

「どうしてもこうしても、あるかよ。邪魔なお前を片付けて、美咲とよろしくやろうと思っていとこに頼んでおいたのに。まさかやられてしまうなんてよ」

「い……いとこって?」

「そこに無様に倒れているだろう。俺のいとこで三年前の大量殺人事件の犯人だ。もっともそいつが犯人だってことは、この俺しか知らねえけどよ。子供の頃から極めつけの変わり者でよ、親族、近所、学校、同僚全部ひっくるめても、仲のいいやつは俺しかいない。だから大量殺人にしても、この俺にしか話していない。そんでまた人を殺したくてしょうがないとか言い出したので、このキャンプ場が再開したと聞いたから、おまえを連れてきたのさ。殺してもらおうと思ってな」

「……」

「そんで犯人は俺といとこの二人で撃退した。二人とも格闘技をやっているから、話に矛盾はないはずだ。で、犯人は俺たちに追われてどこかに逃げてしまって、何処へ行ったのかはわからない。そんなシナリオだったんだよ。それなのにこのバカ、失敗しやがって。ほんと、役にたたねえやつだ。こうなりゃ俺がこの手でやってやる」

正人が近づいて来た。
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