赤いキャンプ場

ツヨシ

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正人から、突然キャンプに誘われた。

私は正直気乗りしなかった。

私は身体を動かすことは大好きなのだが、虫とか蛇とかいった類のものが大の苦手だからだ。

したがって山の中に行く、ましてやそんな場所で一晩過ごすなんてことは、考えただけでもぞっとする。

なんの苦もなく壁や屋根があるところで寝ることが出来ると言うのに、どうして虫などがまわりに大量にいる中、薄いテント一枚の中で眠らないといけないのか。

私には全く理解できないことだ。

そういった理由で断ったのだが、いつもなら私が反対するとわりとあっさり自分の意見を引っ込める正人が、なぜかはわからないが今回に限ってやけに粘り強かった。

「そんなこと言わずにさあ」

「大自然に身を委ねるのは、いいことだよ」

「一度だけでいいから」

何度となく繰り返された議論に、私はとうとう折れた。

これ以上言い合うことに疲れたからだ。

こんなにもしつこくされるのなら、一泊二日の間だけ我慢したほうがまだましだと考えた。

しかしキャンプ場の名前を聞いて、私は再び躊躇った。

この市に住んでいる人で、そのキャンプ場の名前を知らない人はほとんどいないだろう。

三年前に一組のカップルと一家族の六人が殺された場所だったからだ。

殺害方法は撲殺。

六人とも何か硬いもので頭を殴られて死んでいた。

凶器は見つからず、犯人も未だに捕まっていない。

二台の車のタイヤが四つとも切り裂かれていたそうだ。
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