真琴という女

ツヨシ

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寝ている間に実際に首を絞められることはなかったが、なにかに首を絞められる夢は見た。


翌日、朝早くに駅で待ちあい、電車に乗った。

としやと遊ぶと言ったら、例によって母は何も言わなかった。

電車の中で俺はとしやに聞いた。

「そういえば今日行くって、霊能者には言うてんの?」

「言うとらんけど」

「えっ、そんなんでええんな」

「大丈夫、大丈夫。たいがい家におるらしいし、飛び込みもOKって話やし」

「たまたまおらん、という場合もあるやろ」

「そんときはそんときや」

で、そんときにどうするかまでは、としやは言わなかった。

こいつは賢いはずなのだが、ときに無鉄砲と言うか無謀なほどに無計画で楽天的なところがあるのだ。

電車は当然のことながら、高知に向かった。

高知に近づくにつれてとしやのテンションがどんどん上がっていくのが、手に取るようにわかった。

「高知に行くん、初めてなん」

「うん。だからえらい楽しみや」

まあ隣の隣の県とは言え、知り合いもいない中学生が何度も行くようなところではないだろう。

そのうちにとしやのテンションはさらに上がり、窓に顔を押し付けて何か早口でしゃべり始めた。

興奮しているときのとしやの早口は、早すぎて何を言っているのかわからないのだが、まわりの注意を引くには充分すぎるほどだ。
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