真琴という女

ツヨシ

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山地面積とかだったらともかく、本物の霊能者が二割だなんて、誰が何処でどうやって取った統計なのだろうか。

突っこみどころ満載だったが、もちろん俺は黙っていた。

「おまけに美人やしな」

「美人なん?」

「顔は知らん。いくらネットで探しても、顔は出てこんかった」

「でも今、美人って言ったやん」

「美人に決まるとるやん」

とりあえず美人だということにしておこう。

俺は言った。

「お礼とかいるかな?」

「当たり前やろ。面識がない人がいきなり行って、ただでしてくれなんて、いくらなんでも失礼過ぎるやろ」

「高いんかな?」

「それは大丈夫。と思う。本物の霊能者はそんなに高くないし、金、金、金って言わないし。にせものほど高いし、金、金、金と金の話ばかりするわ。これは宗教もいっしょやけどな」

「そうなん?」

「そうや。二百万のところ、今なら特別に百五十万でやってあげます。これは俺の叔父さんが変なもんが見えるんで、知り合いから紹介された自称霊能者が会った途端に言った言葉や。ふりでもいいから霊視ぐらいすればいいのにそれもせんかったし、何が憑いているとかの説明もなしに、いきなりやったって言ってたわ。そんなとき、いろいろ演技をするにせものも多いけど、それすらせんて。あほちゃうか。もちろん速攻で断ったって言ってたけど。いきなりのやつもあれこれ能書きたれるやつも、とにかくにせものは最初から最後まで金の話ししかせんわ」

「ふーん」

「霊能力と人徳は、百パーセント比例するもんでもないけど、だいたい比例するな。八割くらいかな」
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