真琴という女

ツヨシ

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ところが足を上げて廊下を見ても、何もない。

小さな砂粒程度の大きさのものではないので、見つけられないということはないはずなのだが。

下を食い入るように見ていると、としやが話しかけてきた。

小学校以来の腐れ縁で、今は同じクラスになっていた。

「どしたん?」

「いや、なんでもないわ」

とりあえずそう答えておいた。


それから一週間ほど経ったころ、大型ショッピングモールで買い物をしているときに、また踏んだ。

一応確認はしたが、足の裏の感触は確かにあるのだが、目に見えるものは何もない。

でも疲れているとか気のせいとかのレベルでは、決してない。

俺は思いつき、確かめてみることにした。

見えない何かがある右足に体重をかけ、バランスをとって左足を少し上げたのだ。

すると左足が宙に浮いた。にもかかわらず右足も、一センチかニセンチ程度ではあるが浮いたままだ。

今の俺は、両足とも宙に浮いているのだ。

ショッピングモールなのでそばを通り過ぎる人は多いが、まさか今自分の目の前にいる見知らぬ中学生の両足が床からわずかばかりだが浮いているとは、思いもつかないであろう。

それに気がついた人はいなかった。

数秒後に右足が床に着いた。

――これはいったいなんなん?
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