真琴という女

ツヨシ

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足を上げて懐中電灯で照らしてみたが、そこには何もなかった。

――気のせいか。

しかし数歩歩いたところで、また踏んだ。

先ほどと同じものを。

再び照らしてみたが、やはり何もない。

でもけっして気のせいなんかではない。

確かに何かを踏んだのだ。

――えっ、どういうこと?

俺は急に怖くなり、慌てて家を出た。

自転車のところまで走ると自転車に乗り、そのまま田んぼに直行した。


「遅かったな」

父にそう言われ答えた。

「途中のコンビニでコーヒー飲んでたんや」

「そうか。で、田んぼ、どうやった?」

「問題なし」

「そうか」

俺はそのまま自分の部屋に向かった。


数日は何事もなかった。

しかしある日学校の廊下を歩いていたとき、また何かを踏んだ。

あの廃家で踏んだものと全く同じ感触だった。
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