1 / 12
1
しおりを挟む
ある日を境に、小学校で奇妙な噂が立ち、それが広まった。
なんでも学校の裏山に、異様な人がいるというのだ。
真っ黒いスーツを着た、青白い顔の背の高い痩せた男の人。
年は若いと思われるが、近くではっきりと見た人がいないためによくはわからないと言う。
これまでに何人も目撃しているということだ。
「近所の人じゃないの」
「でも山の中でスーツなんて着てるのよ」
「昨日はまいちゃんが見たんだって」
「聞いた、聞いた。あんな変な人、今まで見たことがないとか言っていたわね」
先生の耳にも入ったようだが、学校側としては「そんな人いません」と言う意見に落ち着いているようだ。
女の子は怖がっている子が多いが、男の子の中には「そんなやつ、みんなでやっつけてやろうぜ」と言い出す子もいた。
それが実行されたことは、今のところないのだが。
先生と同じく「そんなやつ、いないわよ」と断言する子もいる。
私と仲のいいみゆきがそうだ。
「そんなこと言っても、いるかもしれないわよ」
そう言う私を、みゆきが笑った。
「それじゃあ、今度山に行って、見てみましょうよ」
私は乗り気ではなかったが、みゆきを止めることは出来なかった。
なんでも学校の裏山に、異様な人がいるというのだ。
真っ黒いスーツを着た、青白い顔の背の高い痩せた男の人。
年は若いと思われるが、近くではっきりと見た人がいないためによくはわからないと言う。
これまでに何人も目撃しているということだ。
「近所の人じゃないの」
「でも山の中でスーツなんて着てるのよ」
「昨日はまいちゃんが見たんだって」
「聞いた、聞いた。あんな変な人、今まで見たことがないとか言っていたわね」
先生の耳にも入ったようだが、学校側としては「そんな人いません」と言う意見に落ち着いているようだ。
女の子は怖がっている子が多いが、男の子の中には「そんなやつ、みんなでやっつけてやろうぜ」と言い出す子もいた。
それが実行されたことは、今のところないのだが。
先生と同じく「そんなやつ、いないわよ」と断言する子もいる。
私と仲のいいみゆきがそうだ。
「そんなこと言っても、いるかもしれないわよ」
そう言う私を、みゆきが笑った。
「それじゃあ、今度山に行って、見てみましょうよ」
私は乗り気ではなかったが、みゆきを止めることは出来なかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ぐちょべちょラ/惨酷の定義
握夢(グーム)
ホラー
意識が戻った時に記憶が無かった。動けない。目も見えない。
ただいえることは、おれは、……喰われていた!?
なぜこんなことになったのか。―――そしておれは一体何者なんだ!?
15分で読める、ミステリーテイストの強い、怖さ&残酷描写が軽めのライトホラーです。
少年少女怪奇譚 〜一位ノ毒~
しょこらあいす
ホラー
これは、「無能でも役に立ちますよ。多分」のヒロインであるジュア・ライフィンが書いたホラー物語集。
ゾッとする本格的な話から物悲しい話まで、様々なものが詰まっています。
――もしかすると、霊があなたに取り憑くかもしれませんよ。
お読みになる際はお気をつけて。
※無能役の本編とは何の関係もありません。
銀の少女
栗須帳(くりす・とばり)
ホラー
昭和58年。
藤崎柚希(ふじさき・ゆずき)は、いじめに悩まされる日々の中、高校二年の春に田舎の高校に転校、新生活を始めた。
父の大学時代の親友、小倉の隣の家で一人暮らしを始めた柚希に、娘の早苗(さなえ)は少しずつ惹かれていく。
ある日柚希は、銀髪で色白の美少女、桐島紅音(きりしま・あかね)と出会う。
紅音には左手で触れた物の生命力を吸い取り、右手で触れた物の傷を癒す能力があった。その能力で柚希の傷を治した彼女に、柚希は不思議な魅力を感じていく。
全45話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる