暗森の中

ツヨシ

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ある日を境に、小学校で奇妙な噂が立ち、それが広まった。

なんでも学校の裏山に、異様な人がいるというのだ。

真っ黒いスーツを着た、青白い顔の背の高い痩せた男の人。

年は若いと思われるが、近くではっきりと見た人がいないためによくはわからないと言う。

これまでに何人も目撃しているということだ。

「近所の人じゃないの」

「でも山の中でスーツなんて着てるのよ」

「昨日はまいちゃんが見たんだって」

「聞いた、聞いた。あんな変な人、今まで見たことがないとか言っていたわね」

先生の耳にも入ったようだが、学校側としては「そんな人いません」と言う意見に落ち着いているようだ。

女の子は怖がっている子が多いが、男の子の中には「そんなやつ、みんなでやっつけてやろうぜ」と言い出す子もいた。

それが実行されたことは、今のところないのだが。

先生と同じく「そんなやつ、いないわよ」と断言する子もいる。

私と仲のいいみゆきがそうだ。

「そんなこと言っても、いるかもしれないわよ」

そう言う私を、みゆきが笑った。

「それじゃあ、今度山に行って、見てみましょうよ」

私は乗り気ではなかったが、みゆきを止めることは出来なかった。
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