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第三章 聖獣の主

閑話 お仕置きと悪戯心(マッティア視点)

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「今回も男の子でしょうか? マッティア様はどちらが良いですか?」
「私はベアトリーチェに似た姫を見たい気もしますが、貴方との御子が産まれて来てくれるだけで幸せなのです。それ以上望む事はありません」


 夜、ソファーに腰掛け、ベアトリーチェのお腹をさすりながら、私たちは御子の性別の話に花を咲かせていた。


 此処、1年程は私がベアトリーチェの部屋に行くのではなく、ベアトリーチェが私の部屋に来るようになっている。元々は夜に魔法陣を教え、その後私が残った政務を片付ける為だったのだが、最近では魔法陣の事がなくとも、私の部屋で過ごすのが当たり前となっている。




「さて、ベアトリーチェ。昼間の件で、何か申し開くことはありませんか?」
「昼間? 昼間とはいつの昼間の事ですか?」
「……今日です。今日の昼間の事を忘れたとは言わせません」



 御子の話題を止め、私はベアトリーチェを責めるような目で見つめながら問いかけると、その言葉に、ベアトリーチェがわずかにビクッとしたのを、私は見逃さなかった。



 とぼけたフリをしても無駄だ……。



 今日の昼間、まだ1歳の我が子リッティオと女官の子供たちが遊んでいた……そこまでは良かったのだが……。どういう訳か、子供たちを焚き付け、私に向かい泥団子を投げさせたのだ。



「責任はわたくしが取ると言っていたのですよね? 取って頂きましょうか?」
「ま、待ってください! 子供たちと仲良く遊んでいただけですよ?」



 ベアトリーチェが慌てている……。その姿は可愛らしいが……。
 はぁ、まったく……、これに関してはいつまで経っても変わらぬ。そこまで、私を泥まみれにしたいのか……。まるで、私を怒らせるのが趣味のようだ。


 私が溜息を吐くとベアトリーチェが、またもやビクッとした。



「相変わらず、貴方のお誘いは分かりづらすぎます。可愛らしく誘いなさいと前にも言ったはずです」
「ち、違います! これはその……そういう意味ではなく……、あの……ただの遊び心です」


 ベアトリーチェが、首を振りながら必死に否定するのを聞きながら、私はニヤリと微笑んだ。


 ベアトリーチェの言い分はおそらく本当だろう。
 最近では適度に触れ合っているので、構って欲しさからではなく、純粋に私を泥まみれにしたかったのだろうが、それを許す私ではない。


 子供を使えば怒られないと思っているところが浅はかなのだ。



「そ、それに、マッティア様は全て避けたではないですか! 大人げないですよ、甘んじて受けてあげるくらいの器の大きさをみせて下さい」



 ベアトリーチェが頬を膨らませながら、開き直ったので、私は少々驚いた。
 ふっ。そんなにも、仕置きをして欲しいとはな……。



「さて、ベアトリーチェも罪を認めた事ですし、楽しい仕置きでも始めましょうか……」
「え?」
「貴方が全責任を負うのでしょう? それとも子供たちに、責任を押し付け、彼らが私の不興を買っても良いのですか?」


 私の意地悪にベアトリーチェが目を見張り、慌て始めたので、私はそんな可愛らしいベアトリーチェを、もっと困らせてやりたくなった。



「ま、待ってください! そんな……たかが遊びで……」
「その前に何か言う事があるでしょう?」
「うぅ、申し訳ありません……」
「では、ベアトリーチェの大好きなお仕置きをして差し上げましょうか」



 不満たっぷりに謝罪をしたベアトリーチェが、私の仕置きという言葉で、一度いやいやと首を振った後、媚びるように上目遣いで私に擦り寄ってきた。



「本当に申し訳ありません、マッティア様。そんなつもりではなかったのです。……ただ、ちょっとマッティア様が困るお顔が見たかっただけなのです。許してくださいませ、お願いします」



 ベアトリーチェのお馬鹿な謝罪を受けながら、私は笑いを堪えるのが大変だった。だが、私はなるべく怒っているという感じを壊さぬように、雰囲気は軟化させず、擦り寄ってきたベアトリーチェの腰を抱いた。


 実際には怒ってなどおらぬが、ベアトリーチェをいじめる絶好の機会を、私は捨てはしない。幸い、現在は安定期に入り、交わりの許可は下りているのだ。


「では、その謝罪を態度で示してください」


 ベアトリーチェの腰まわりを撫でながら、そう言うと、ベアトリーチェが体を小さく震わせながら、私にしがみついた。


 ……反応が良すぎるのも困りものだな。実に可愛らしいが。
 この程度でも、そのように可愛い顔と声を見せられると、ただでさえ無い理性が吹き飛びそうになる。



「っ……ふ、っ……態度? 気を失うまでするのですか?」
「成る程。ベアトリーチェは気を失うまで、されるのがお好みですか……覚えておきます」


 私がベアトリーチェの顎を掴み、視線を合わせニヤリと笑うと、ベアトリーチェがまたもや慌て始めた。



 本当に可愛すぎる。私の理性を吹き飛ばして、どうするつもりだ……。



「ち、違うのです! そういうつもりではなく……以前のその行為が辛かったので……、お仕置きというから……つい、それを思い出して……しまって……」


 ベアトリーチェが赤面しながら否定し、段々と小さくなるその声に、可愛らしさが爆発しそうだった。



 嗚呼、我慢ができなくなりそうだ……。



「さて、どうしましょうか……」
「あの……、優しくして下さいませ」
「優しくすれば、仕置きにならないと思いますが?」


 すると、ベアトリーチェが困ったように俯いた。だが、その瞳には期待と困惑が入り混じり、私を煽るのには充分だった。


 まだ我慢だ。
 いつか己から仕置きをねだるようにしてやろう。その素質は充分とあるようだからな。


 その為には、私も己を抑え、ベアトリーチェを分からないように調教していかなければ……。



「以前、私の弱点がという話をしていたのを覚えていますか?」
「わたくしの耳のような……?」
「ええ、今日はベアトリーチェにそこを舐めて頂こうかなと……」
「え? そこ……? 舐める……?」


 ベアトリーチェが頭に疑問符を浮かべて、首を傾げているが、私が己の下半身を指差すと、ベアトリーチェが目を見張り、私から飛び退いた。




「な、な、な……え? む、無理、無理です? そんな、恥ずかしい……ま、待って……え? 舐めるって……舐めるって……そんな……」



 ベアトリーチェの慌てふためき具合に私は、とうとう笑いを堪えられなくなってしまった。私が肩を震わせながら笑っていると、ベアトリーチェが目をまん丸くしたあと、ホッと息を吐いた。



「いやだ、冗談だったのですね……。びっくりさせないで下さいませ」


 ベアトリーチェが胸をおさえながら、良かったと呟いている。私は、その可愛らしいベアトリーチェを見つめながら、その期待を壊してやる事にした。


「まさか。本気ですよ」
「え?」




 その後、嫌がるベアトリーチェに無理矢理、舐めさせる事に成功したのだが、この見た目の破壊力は凄まじかった。
 ベアトリーチェはソファーから降りて、私の足の間にちょこんと座り、顔を真っ赤にしながら、恐る恐る舌を這わせている。



 決して上手くはないのだが、まるで小動物が必死に水を飲んでいるみたいに可愛らしく、その可愛さと必死さに、また色々なものがこみ上げてきたが、何とか我慢をした。
 ベアトリーチェの必死な姿を見ているだけで、私の征服欲が煽られ、もっと困らせてやりたくなるから困りものだな。



「ベアトリーチェ、舐めているだけではなく、その可愛らしいお口で咥えてみせて下さい」
「咥える?」


 ベアトリーチェが恐る恐る、私のものを口に含み、苦しそうに顔を歪めながら、頑張っている姿だけでイッてしまいそうだ。


 嗚呼、とても可愛らしい。興奮も理性も抑えられなくなりそうだ。



「っ……ん、大きくて、口に入らな……っ」


 そう言いながらも、ベアトリーチェは頑張って奉仕してしてくれている。

 嗚呼、もう限界だ。今すぐ、押し倒してめちゃくちゃにしてやりたい。


 だが、まだ我慢をしなければ……。私は何とか衝動を抑え込み、ベアトリーチェの拙い奉仕を楽しんだ。



 ベアトリーチェが、もう無理という目で訴えてきた頃、そろそろイッてやる事にした私は、咥えているベアトリーチェの頭を逃げられないように固定し、口の中へと欲を放った。



「っ!! んんっ!!」


 突然口の中に出されて驚いたのか、ベアトリーチェが私の足を叩きながら、もがいている。
 私が口の中に出し終えた後、ベアトリーチェを解放してやると口の中のものを出そうとしたので、私は出させないようにベアトリーチェの口を手で覆った。


 ベアトリーチェが信じられないという目で私を見つめながらも、助けて欲しいと懇願するその目に、私の悪戯心が更に刺激され、涙目で首を振っているベアトリーチェの耳に舌を差し入れ舐めた瞬間、ベアトリーチェは体をビクンと跳ねさせた。



 どうやら飲み込んでしまったようだ。



「ゴホッ……うっ……ゴホッ……うぇっ……」



 飲み込んだ事を確認し、解放してやれば、ベアトリーチェが床に手を突きながら咳き込んでいるので、私はそんなベアトリーチェに興奮しながら眺めていると、ベアトリーチェが私を睨んだ。



「ひっ、ひどいです。あんなものを飲ませるなんて!  うぅ、変な味がしました……今でも口の中に残っているようです……」
「とても可愛らしかったですよ」


 そう言って、私は床で項垂れているベアトリーチェを抱き上げ、ベッドへと運んだ。


「待って、待って下さい! せめて口の中を……。あ、あの、うがいをさせて下さい! お願い致します」



 ベアトリーチェの必死な懇願に私が溜息を吐き、それを許してやると慌てて、ベアトリーチェはベッドから降り、走って行った。



 ……うがいの時間すらも惜しいが、仕方があるまい。



 その後、うがいをしたベアトリーチェが戻ってきた後、私は拗ねて頬を膨らませている可愛い可愛いベアトリーチェをベッドに沈め、気を失うまで己の欲望をぶつけつつ、ベアトリーチェをいじめ、泣き顔を堪能した。




 いつか、己からいじめて下さいと言うようになる。ベアトリーチェの反応を見る限り、それはそう遠くないようだ。




◆後書き◇

 閑話と書いて無駄話と読む。
 本編には、特に関係ありません。マッティアの性癖なだけです。
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