上 下
57 / 117
第三章 聖獣の主

54.甘美なる策略に溺れて※(マッティア視点)

しおりを挟む
 ベアトリーチェが変だ。
 先程までは、私に失望し、とても悲しんでいたのに……エフィージオの部屋から戻ってみれば、何故か私のベッドで眠っていた。


 私はとても驚いた。今の私はそれどころではなく、ベアトリーチェの動きを魔力で察知出来ていなかったからだ……。
 ……だが、騒いで起こしてしまっては勿体ない。私は襲いたい気持ちをグッとこらえ、己の欲望に打ち勝つ為に、政務に励むことにした。



 すると、突然ベアトリーチェが起き上がり、私の名を呼んだので、私は心臓が跳ねるくらい驚いたが、何とか取り繕い笑顔を向けた。



「ああ、起こしてしまいましたか?」
「いえ……」


 そう言って、ベアトリーチェが私をじっと見ている。何か言いたい事でもあるのだろうか? まさか、先程の条件に何かを付け足したいのだろうか……。





「えっと……そうですね。わたくしも悪かったと反省したのです」



 ベアトリーチェがそう言い、私の服の裾を掴んできた。その上、日々の感謝や昨夜の私の体の心配までし始めたのだ。


 一体、何があったのだろうか……。昨夜の私の暴挙により、彼女の心を変えてしまったという事だろうか……。
 それも良い方に転んだという事だろうか……。いや、これは……このベアトリーチェの顔は、私を捕らえ離さないという顔だ。



 ベアトリーチェと話を交わしながらも、私は色々な思いを巡らせていた。ベアトリーチェを変えたのは紛れもない私だ。


 だが、これが茶番でも構わぬ。ベアトリーチェが己の立場を守る為に、私に歩み寄ろうとするならば、私もそれを受け入れよう。
 ベアトリーチェが私の心を利用するのは一向に構わぬのだから……。私はベアトリーチェの策略に敢えて溺れよう。



 そう思いながら、私はベアトリーチェからの口付けを受けた。



「んんっ……ふぅ、っ……」


 ベアトリーチェの尻あたりに手を回しグッと持ち上げ、わざとらしく音を立てながら唇を吸い、貪るような口付けを続ける。



 暫く互いの舌を絡め合い、唇を離すまいと吸い合っていると、下半身が熱を帯びていくのが分かったので、ベアトリーチェから唇を離さずに、片方の手でベアトリーチェの腰を撫でると、体がピクンと跳ね、私にギュッとしがみついてきた。



「んっ! んうっ……んんぅ」
「ベアトリーチェ……、先程手を出さないと約束したのに、良いのですか? それとも、此処でおあずけですか?」


 私がわざとらしく、ベアトリーチェの耳朶を啄むように唇を付け、そう囁けば、ベアトリーチェの体がまたもや跳ね、私の首に腕を回し、抱きついてきた。


「あっ……んんっ、良いのですっ……でも、体やお腹の御子に負担にならないように……」
「勿論です。精一杯、配慮します」



 私が、ベアトリーチェをベッドまで運ぶ間、ベアトリーチェは私の首元に顔をうずめながら、大人しく運ばれている。
 互いの心臓の音がうるさいくらい響き、私はゆっくりとベアトリーチェの上に覆い被さり、また口付けを楽しむことにした。


 角度を変えて、舌を念入りに絡ませながら、ベアトリーチェの口内を犯していく。口付けだけで、私は充分な程に興奮していた。



「ん……んんっ……ふっ、ぁっ」



 私はベアトリーチェの頬に手を添えながら、もう片方の手でベアトリーチェの寝巻きの中に手を突っ込んだ。


「ひゃっ……んぅ……っ!」


 腹部を撫でる私の手に驚いたのか、ベアトリーチェの体が跳ねたが、私は気にせずに、そのまま上へと手を這わしていく。


「んん……あっ、待っ……」


 ベアトリーチェの胸に触れ、弧を描くように揉み、胸の蕾に触れれば、ベアトリーチェの体はしなり、思わず唇が離れてしまった。



「あ……待って、あっ、ああっ」
「ベアトリーチェが良いと言ったのですよ」



 ベアトリーチェの唇から垂れた唾液を舐め取り、私がそう言っても、ベアトリーチェは私の言葉を気にする余裕などないようだ。執拗に胸の蕾を責められ、歓喜の声をあげながら、私の服をしっかりと掴んでいる。



 ベアトリーチェの寝巻きを剥ぎ取り、耳から首筋、全身へと舌を這わせ、秘所以外、舐めていない場所はないというくらい丁寧に、ねっとりと舌を這わせていく。



「ひゃんっ……待っ、……マッティ……やっ、ああ!」



 全身が性感帯と言わんばかりに、ベアトリーチェは私の愛撫に可愛らしく、そして艶かしく、体を跳ねさせて、ひっきりなしに嬌声をあげる様は、私の情欲を刺激するには充分だった。
 今すぐ、奥まで突き入れて、めちゃくちゃにしてやりたい衝動を抑え込みながら、私はベアトリーチェの脚の間に体を滑り込ませた。



 そして少し悪戯心が芽生えた私は、秘所には触れず、秘所の周辺を焦らすように、舌を這わせてやった。



「……っ……んぅ、んんぅ……」



 もどかしいのか、私の髪を掴みながら、腰を揺らめかせているベアトリーチェに、私は気を良くし、更に焦らしてやった。
 周辺をねっとりと舐め上げ、秘所にふっと息を吹きかけてやると、ベアトリーチェの体がまた大きくしなった。



「や……それ、やっ……あぁ……っ」
「では、どうされたいのですか?」


 私が、周辺を指で撫でながら、意地悪く問い掛けると、ベアトリーチェがただでさえ赤い顔を更に真っ赤にさせ、耳をすまさないと聞こえないくらいの小さな声で、触ってと呟いた。



「聞こえません。何ですか?」
「……っ! ……あ、うぅ……その……あの……」


 ベアトリーチェが口をパクパクさせながら、涙目で私を見つめている。その可愛い姿に、私の情欲が更に煽られた。



「ベアトリーチェ、言ってくれないと分かりませんよ。それとも、もう終わりにしますか?」
「やっ……う……あの……さ、さわってくださっ」



 私の意地悪にベアトリーチェが目に涙を溜めながら、いやいやと首を振った。そして、意を決したように、触ってとおねだりをしてきたその様に、私は全身が沸騰し、下半身に急激に熱が集まってくるのが分かった。



 嗚呼、愛おしい。何て可愛らしいのだろう。
 もっとなり振り構わず、私を求めるようになれば良いのだ。



 ベアトリーチェ、私のところまで堕ちて来い…………。




 私はベアトリーチェの愛液を舐めながら、秘所の蕾を舌でころがし、ナカに指をゆっくりと差し入れた。その瞬間、待ち望んでいたのか、昨夜イカせすぎたのを、体が覚えていたのか……。



「やあっ……も、むりぃ……あっ、ああぁぁっ……っ!」



 ベアトリーチェはいとも容易く達してしまった。


「早いですよ」


 私が苦笑混じりにそう言うと、荒い息を繰り返しながら、力の抜けた手をベッドに投げ出しているベアトリーチェが、ぷいっと顔をそむけた。
 


 そんな可愛らしいベアトリーチェの足を再び開き、私は己をベアトリーチェの秘所に充てがった。


「ひゃあぁ……っん、ああ……んぅ、あっ、マッティアッ」


 達したばかりで敏感になっているのか、それだけでベアトリーチェは体を仰け反らせた。私は、わざとらしく卑猥な水音を立てて、ゆっくりと挿入し、奥までは入れず、浅いところで律動すると、ベアトリーチェが私に手を伸ばしてきた。


「ベアトリーチェ……」
「んっ……、あっ、ああっ……もっ」
「も?」


 私はベアトリーチェを抱き締め、ベアトリーチェの言葉をわざとらしく聞き返してやると、ベアトリーチェが、私をもっと奥まで誘うように、やらしく腰を揺らめかせたので、私は理性が消えてなくなりそうだった。



「そこ……やっ、んんっ……ひうっ、んんっ、ああっ」
「ダメですよ。奥を突いて、御子に負担をかけてしまう訳にはいかないので」



 物足りないのか、ベアトリーチェが目に涙を浮かべ、可愛く啼きながら首を振っている。
 私はベアトリーチェの誘いと締め付けに耐えながら、ゆっくりとベアトリーチェをいじめてやる事にした。



 それにしても、最初に比べると、とても淫らに美しくなったものだ。初めて抱いた時の、痛みや恥ずかしさに泣き、震えていた少女のような姿はもうない。
 今のベアトリーチェを作ったのが己だという事実に、私はゾクゾクした。もっと開発し、私なしでは生きていけない体に作りかえたいような衝動に襲われたのだ。



「……や! あぁ……あ、待っ……マッティ……ア……おねがっ」



 ベアトリーチェのおねだりに気を良くした私は、ゆっくりと慣らすように奥まで挿入してやった。


「ひゃっ……ん、そ……それ……ああっ……気持ちいっ、ああっ、あああ」
「此処が良いのですか?」


 
 奥を擦ってやれば、ベアトリーチェが歓喜の声をあげながら、私にしがみつく。私はベアトリーチェのその様子を見ながら、動きを徐々に激しくさせた。




 昨夜我慢したせいか、私の限界は思ったよりも早くやってきたので、私はベアトリーチェの脚を肩にかけ、ベアトリーチェの良いトコロを責め立てるように腰を動かした。



「ああぁっ、ひゃっ! マッティ……それ……っだめ、変になっ……ああっ」


 私は、ベアトリーチェに口付けながら汗を振り乱して身を揺すった。なるべく、乱暴にならないように奥を突き過ぎない様に気をつけながら、ベアトリーチェの絶頂を煽っていく。



「んぅ……待っ、あっ! あああぁぁっ……っ!」



 ベアトリーチェが達したのを確認して、私も欲を放った。だが、ナカではなく外へと。



 荒い息を繰り返しながら、ベアトリーチェに覆い被さり口付けると、ベアトリーチェが舌を絡ませ応えてくれる。


 嗚呼、感動だ。何もかもが感動だ。


 私が感動に震えつつ、ベアトリーチェの体を清めていると、ベアトリーチェが不思議そうに私を見ている事に気がついた。


「……ベアトリーチェ?」
「あの、いつもナカなのに、何故今日は出さなかったのですか?」



 ベアトリーチェが不思議そうに首を傾げている。最初から、当たり前のようにナカに出しているので、外に出した行為が不思議で堪らないようだ。



「侍医が、男の欲には子宮の収縮を促す成分があると言っていたので、念の為にです」
「収縮……?」


 ベアトリーチェの頭には沢山の疑問符が浮かんでいるようだ。私はそんな可愛らしいベアトリーチェを抱き締め、気にしなくて大丈夫ですよと言い、共に眠る事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】侯爵令嬢、断罪からオークの家畜へ―白薔薇と呼ばれた美しき姫の末路―

雪月華
恋愛
アルモリカ王国の白薔薇と呼ばれた美しき侯爵令嬢リュシエンヌは、法廷で断罪され、王太子より婚約破棄される。王太子は幼馴染の姫を殺害された復讐のため、リュシエンヌをオークの繁殖用家畜として魔族の国へ出荷させた。 一国の王妃となるべく育てられたリュシエンヌは、オーク族に共有される家畜に堕とされ、飼育される。 オークの飼育員ゼラによって、繁殖用家畜に身も心も墜ちて行くリュシエンヌ。 いつしかオークのゼラと姫の間に生まれた絆、その先にあるものは。 ……悪役令嬢ものってバッドエンド回避がほとんどで、バッドエンドへ行くルートのお話は見たことないなぁと思い、そういう物語を読んでみたくなって自分で書き始めました。 2019.7.6.完結済 番外編「復讐を遂げた王太子のその後」「俺の嫁はすごく可愛い(sideゼラ)」「竜神伝説」掲載 R18表現はサブタイトルに※ ノクターンノベルズでも掲載 タグ注意

麗しのシークさまに執愛されてます

こいなだ陽日
恋愛
小さな村で調薬師として働くティシア。ある日、母が病気になり、高額な薬草を手に入れるため、王都の娼館で働くことにした。けれど、処女であることを理由に雇ってもらえず、ティシアは困ってしまう。そのとき思い出したのは、『抱かれた女性に幸運が訪れる』という噂がある男のこと。初体験をいい思い出にしたいと考えたティシアは彼のもとを訪れ、事情を話して抱いてもらった。優しく抱いてくれた彼に惹かれるものの、目的は果たしたのだからと別れるティシア。しかし、翌日、男は彼女に会いに娼館までやってきた。そのうえ、ティシアを専属娼婦に指名し、独占してきて……

宮廷魔導士は鎖で繋がれ溺愛される

こいなだ陽日
恋愛
宮廷魔導士のシュタルは、師匠であり副筆頭魔導士のレッドバーンに想いを寄せていた。とあることから二人は一線を越え、シュタルは求婚される。しかし、ある朝目覚めるとシュタルは鎖で繋がれており、自室に監禁されてしまい……!? ※本作はR18となっております。18歳未満のかたの閲覧はご遠慮ください ※ムーンライトノベルズ様に重複投稿しております

★完結 【R18】変態だらけの18禁乙女ゲーム世界に転生したから、死んで生まれ変わりたい

石原 ぴと
恋愛
 学園の入学式。デジャブを覚えた公爵令嬢は前世を思い出した。 ――ああ、これはあのろくでもない18禁乙女ゲームの世界だと。  なぜなら、この世界の攻略対象者は特殊性癖持ちのへんたいばかりだからだ。  1、第一王子 照れ屋なM男である。  2、第二王子 露出性交性愛。S。  3、王弟の公爵閣下 少女性愛でM。  4、騎士団長子息で第一皇子の側近 ドMの犬志願者。  5、生徒会長 道具や媚薬を使うのが好きでS。  6、天才魔術教師 監禁ヤンデレ。  妹と「こんなゲーム作った奴、頭おかしい」などと宣い、一緒にゲームしていた頃が懐かしい。 ――ああ、いっそ死んで生まれ変わりたい。  と思うが、このゲーム攻略対象の性癖を満たさないと攻略対象が魔力暴走を起こしてこの大陸沈むんです。奴ら標準スペックできちがい並みの魔力量を兼ね備えているので。ちな全員絶倫でイケメンで高スペック。現実世界で絶倫いらねぇ! 「無理無理無理無理」 「無理無理無理無理無理無理」」  あれ…………?

異世界転移したら、推しのガチムチ騎士団長様の性癖が止まりません

冬見 六花
恋愛
旧題:ロングヘア=美人の世界にショートカットの私が転移したら推しのガチムチ騎士団長様の性癖が開花した件 異世界転移したアユミが行き着いた世界は、ロングヘアが美人とされている世界だった。 ショートカットのために醜女&珍獣扱いされたアユミを助けてくれたのはガチムチの騎士団長のウィルフレッド。 「…え、ちょっと待って。騎士団長めちゃくちゃドタイプなんですけど!」 でもこの世界ではとんでもないほどのブスの私を好きになってくれるわけない…。 それならイケメン騎士団長様の推し活に専念しますか! ―――――【筋肉フェチの推し活充女アユミ × アユミが現れて突如として自分の性癖が目覚めてしまったガチムチ騎士団長様】 そんな2人の山なし谷なしイチャイチャエッチラブコメ。 ●ムーンライトノベルズで掲載していたものをより糖度高めに改稿してます。 ●11/6本編完結しました。番外編はゆっくり投稿します。 ●11/12番外編もすべて完結しました! ●ノーチェブックス様より書籍化します!

【R-18】嫁ぎ相手は氷の鬼畜王子と聞いていたのですが……?【完結】

千紘コウ
恋愛
公爵令嬢のブランシュはその性格の悪さから“冷血令嬢”と呼ばれている。そんなブランシュに縁談が届く。相手は“氷の鬼畜王子”との二つ名がある隣国の王太子フェリクス。 ──S気の強い公爵令嬢が隣国のMっぽい鬼畜王子(疑惑)に嫁いでアレコレするけど勝てる気がしない話。 【注】女性主導でヒーローに乳○責めや自○強制、手○キする描写が2〜3話に集中しているので苦手な方はご自衛ください。挿入シーンは一瞬。 ※4話以降ギャグコメディ調強め ※他サイトにも掲載(こちらに掲載の分は少しだけ加筆修正等しています)、全8話(後日談含む)

【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件

百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。 そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。 いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。) それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる! いいんだけど触りすぎ。 お母様も呆れからの憎しみも・・・ 溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。 デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。 アリサはの気持ちは・・・。

[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。

ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい えーー!! 転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!! ここって、もしかしたら??? 18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界 私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの??? カトリーヌって•••、あの、淫乱の••• マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!! 私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い•••• 異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず! だって[ラノベ]ではそれがお約束! 彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる! カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。 果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか? ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか? そして、彼氏の行方は••• 攻略対象別 オムニバスエロです。 完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。 (攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)   

処理中です...