鬼畜皇子と建国の魔女

Adria

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After Story

16.もう二度と離れない※

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「ルドヴィクが頑張っているようだな……」
「だが……不意をつけば、一矢報いる事が出来ると思っているところが甘過ぎる。あれが我が子とは……どうやら甘やかし過ぎたようだ」



 まあ、それもそうだが……。
 それにしてもルキウスは手加減なしだと思うのだが……。容赦なく床に叩きつけているし……いや、剣を抜かない時点で手加減をしているのか?



「それにしても、あれは体良く断られただけだとは思わぬか? ルドヴィクは一本取れば、愛してもらえると言っていたが、女官長は観念すると言っただけで愛するとは言っていないと言っていたぞ」



 ルドヴィクは恋愛が絡むと猪突猛進なところが、玉にきずだな。……最初は穏やかに見えたのに、向こう見ずというか馬鹿者というか……無謀というか……。




「無謀なところは其方似だな」
「む? だが、諦めが悪いところはルキウス似だと思うな」
「クッ、然もありなん」



 何せ、20年も諦めずに待っていたのだ。余程だぞ……。ルドヴィク以上だな。
 ふふん。だが、私もか……生まれ変わってもルキウスを忘れられないのだから……。私も諦めが悪い愚か者だ。




「まあ、ルキウスに傷一つ付ける奇跡を起こす事が出来れば、女官長の心も手に入れることが出来るだろうか?」
「……そのような奇跡は起きぬ」
「……実際のところはどうだ? 手加減してやらぬのか? 私達が一本取られてやれば、この問題はさっさと片付くぞ」



 すると、ルキウスはどうでも良いと言って、私に口付け、私をベッドに組み敷いた。



「どうでも良いって……ルドヴィクの正妃が決まらぬままで良いのか?」
「期限は1年だ。それ以上の時間をやるつもりはない」
「それでは、確実に不可能ではないか……」
「さて、なりふり構わず死ぬ気でくれば分からぬぞ」


 また無茶苦茶なことを……。


 まあ、何でも力で手に入れるルキウスからすれば、そもそもルドヴィクとは考え方も基準とするものも違うのだろうな。
 ルキウスがルドヴィクの立場ならば、とうの昔に女官長を手に入れているだろう。そう思うと、ルドヴィクはまだまだだな。



 まあ、暫くは傍観させてもらうとしよう。
 これがルドヴィクの失意に終わっても、多少の成長は得られるだろう。


「だが、選べぬからって側室候補15名全てを迎え入れるのは、流石にどうかとは思わぬか? 女官長はどう思っただろう?」


 実際のところ、あやつは優柔不断なのだ。
 女官長が好きなのも、大方年上の包容力だろう。過去に優しくされたからとか、そんな理由だ、絶対。



 そう思うと、失恋して悲しんでいるルドヴィクの懐に上手く入り込める者が、正妃の座を手にいれるやもしれぬな。




「ルドヴィカ、余計な事を考えず、私だけを見ろ」
「ルキウス」


 私がルキウスの首に腕を回し了承の意を示すと、ルキウスが深い口付けをくれた。



「んっ……ふ、っ……ルキ、ウスッ」
「ルドヴィカ……私のモノを舐めてもらおうか」
「っ!? 嫌だ!」
「拒否は許さぬ」


 突然、耳元で舐めろと要求され、私がルキウスの下から慌てて這い出そうとすると、いとも容易くルキウスに抑え込まれてしまった。



 絶対に嫌だ。
 ルキウスは舐めさせると必ず飲ませる。あんなもの飲みたくはない。何度されても慣れぬし……気持ち悪い……。




 ルキウスは優しくはなったが、ベッドの中でルキウスが上位というか強い事は変わらぬ。優しく抱いてくれる事も増えたが、相変わらず啼かされる事も多い。



 どうやら、今宵は啼かせたい気分らしい……。



「あっ、ちょっと、待て! うっ、うぷっ」
「ほら、早くしろ」



 ルキウスに無理矢理、口の中に指を突っ込まれて口を開かされ、口内にルキウスのモノを容赦なく突っ込んできた。ルキウスは、己がしている事を酷いとは思わぬのか?
 優しさが足らぬぞ……くそっ、噛んでやろうか……。



 だが、もしそのような事をしたら、後で泣き喚く羽目になるのは私だ。



「んんーっ、んぅ、ひゃめ、ひゃめれ」
「ほら、ちゃんと口と舌を動かせ」
「んんっー!」



 咥えさせられ、ルキウスが私の頭を掴み、荒々しく動かしている。
 無理矢理、喉の奥にまで突っ込まれ、息をするのも辛く苦しいのに、そのような器用な事を出来るわけがないだろう。



「……何度させても上手くならぬな。チッ、仕方がない」
「ゔぅ、んゔっ!!」


 涙が流れ、口からは涎が垂れ、私がやめてくれと懇願するようにルキウスを見上げても、ルキウスは加虐心に満ちた笑みを浮かべるだけで、やめてはくれぬ。



 とても長い。苦痛だ。
 早く終わってくれ……。



「ふむ。では、そろそろ出すぞ。ちゃんと飲み干せよ」
「んゔっ! ゔゔっ!!」



 何とかして口を離したいのに、頭をしっかり固定されているので、それは叶わず口の中にまた出されてしまった。



 いつもこれだ。いつも……。うう、気持ちの悪い……。




「ゴホッ、ぅえっ……」
「クッ、飲めと言ったのに吐き出すとは……」
「だって、これ嫌いだ……気持ち悪っ、いっ!」



 突然、吐き出してしまったシーツの上に頭を押さえつけられたので、私はとても驚いた。




「では、綺麗に舐め取れ」
「は? ルキウス……何言って?」
「早くしろ」




 優しくない。全然優しくない。
 やはり、根本の性癖は変わらぬのか……。



「嫌だ……。これ飲み込むのも気持ち悪いが、舐めるのも気持ち悪いのだ……ドロドロヌメヌメしているし、とにかく嫌なのだ!」


 私が嫌だ嫌だと喚くと、突然ルキウスが私を四つん這いにさせたまま、ナカを掻き回したから、私は己が吐き出したルキウスの精に顔を擦り付けながら、喘がされる羽目になった。



「あっ! 愚か、者……っぅ! へ、変態、あっ! それ、やめっ、ルキウスッ!! ひっ、んんぅ、やめ……ソコ、嫌だっ、あああ! っ! 噛むなっ!」




 すると、ルキウスがナカを掻き混ぜながら、背中に噛み痕を残していったので、私は泣きながら嫌だと首を振ったが、ルキウスは楽しそうにするだけで、やめてはくれなかった。



 その後、そのままルキウスに貫かれ、何度もイカされて、朝までルキウスの好きなように啼かされ、解放された頃には私はもうヘロヘロだった。









「ルキウスの馬鹿者! 最低だ!」
「うるさい。物を投げるな」




 昨夜の優しくないルキウスに、どうしようもなく腹が立って、朝起き上がれるようになってから私は手当たり次第、部屋にある物をルキウスに投げつけた。



 その全てを受け取り、床や机に平然とした顔で置くのだから、余計ムカつくのだ。





「昨夜のルキウスは嫌いだ。優しくない!」
「クッ、ルドヴィカ」
「っ!」



 今まで離れていたのに、また突然間合いを詰められてしまった……。
 私が一歩後退ろうとしてもルキウスは、私の腰を抱き、それを許してくれぬ。




「ルドヴィカ……これが私だ。諦めろ」
「っ! だが……」
「優しくして欲しいのなら、いつでも優しくしてやる。だが、私の欲望を受け止めてからだ」
「んぅっ! んんっ……ルッ、んんぅ!!」



 突然、ルキウスに荒々しく唇を奪われ、またベッドに組み敷かれたので、私は慌ててルキウスを跳ね除けようと思ったが、深く口付けられている為に、どうする事も出来なかった。



「ふ……っ、んぅ……ル……キウス、ッ」
「ルドヴィカ、愛している。私には其方だけだ」
「ルキウス……」



 嗚呼、私も存外愚か者だ。
 このように優しい声で愛を囁かれ、口付けをされるだけで、機嫌を直してしまうのだから……。



 私たちは、これからもずっとこんな感じだろう。
 それでも、20年前よりも確かにルキウスの愛を感じ、信じる事が出来る。以前よりも、ルキウスに溺れ、囚われているようだ。



 だが、以前よりもずっと甘美な鎖だ。
 今のルキウスとなら、共に炎獄にだとて堕ちよう。



「ルキウス……愛している。これからは、ずっと一緒だ」
「ああ、もう二度と離さぬ」




 いつか私は其方の隣で眠り、土に還ると約束しよう。
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