鬼畜皇子と建国の魔女

Adria

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第一部

16.私を支配する手※

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「はあぁぁぁ~っ」



 記憶が戻ってからというもの、何回このように深い溜息を吐いただろうか……。


 はぁ、それもこれも全部ルキウスのせいだ。あの愚か者のクズのせいだ。


 私は正妃教育の合間に、回復薬の研究をしていた。ルキウスの為ではなく、己の為だ。
 こういった研究は元々好きなのだ。回復薬作りは趣味だ。より良い物が作れるなら、それに越した事はない……。




「………………」



 かけた魔法は、かけた本人の下へと戻す事が出来る。その戻し方によれば、その魔力に押し潰され、己を飲み込む事になる諸刃の剣にすらなりかねない可能性もあるのだが……。まあ、仕方がない。己の力に責任を持つとは、そう言う事だ。



 もしも、私がこの城にかけた魔法を全て己の体に戻せた場合、ルイーザの体では耐えられぬかもしれないな。



 だが、この城にかけた魔法は、既に私の手を離れてしまっている。本来の私……術者が死んだのだ。当たり前かもしれぬが……。



 私は一つ息を吐き、実験器具を机に放り出し、椅子に座り目を瞑った。



 …………術式を理解している私自身ですら、弾かれる始末だ。コントロールが出来ぬようになった魔法を己の身に回収する事は、恐らく不可能であろうな。まあ、私はルドヴィカであってルドヴィカではない。この体はルイーザなのだから、仕方がないのかもしれぬな。



 辺境伯領内で眠っている私……ルドヴィカの死体は今どうなっているのだろう……。
 あわよくば、ルイーザの体を離れ、本当の私の体を手に入れられたりせぬだろうか? ルイーザと分離出来れば、ルイーザも戻って来るやもしれぬし、一石二鳥ではなかろうか……。



 ルイーザが帰って来てくれさえすれば、ルキウスの相手はルイーザに任せられる。私の頭を悩ませる種が減るのだ。これほど、喜ばしい事はない。








「墓参り?」
「ああ、中々経験出来るものではないぞ。己で己の墓を参れるのだからな」




 私だけでは辺境伯領内に行く事は出来ぬ。従属の主であるルキウスの許可がなければ……。なので、私は夜に部屋へと戻ってきたルキウスに願い出る事にしてみた。




 最近、分かった事だが態度や振る舞いにさえ気をつけていれば、ルキウスはあまり暴力を振るわない。
 ルイーザの真似事をしながら、ルキウスに近付くと蹴られるが……ルドヴィカとしてルキウスを怒らせぬように振る舞っておけば、大怪我をする事もない。まあ、機嫌次第では暴力を振るわれるが、それでも被害はマシなほうだ。



 寝所でも、昼間でも、なるべくマルクスの名を口に出さぬようにも気をつけているので、この前のように突き刺される事もない。





「……本当の思惑は何だ?」



 うっ、するどい……。
 ふむ、こればかりは説明をしなければ、許可を得る事は難しそうだ。私がルドヴィカの死体を手に入れる事が出来れば、ルイーザの体ではなく、本当の私の体を手に入れることが出来るのではないかという期待を説明した。



「そうすれば、出来ることの幅も広がるかもしれぬだろう? 今は力を使うにも色々と不便だ。私もルイーザの体より、己の体のほうが良い」
「ふむ。一考してみる価値はあるが……。無駄足になる可能性のほうが高そうだが?」
「うっ。だ、だが、転移魔法を使えば、あっという間に移動出来るし、望んだ結果にならなくとも大した労力はないぞ」



 私が転移魔法について説明すると、ルキウスがニヤリと意味深な笑みを浮かべたので、私はゾワッとしたが、此処で機嫌を損ねられても困るので、大人しく様子を伺う事にした。




「勿論、ついて来るなとは言わぬ。私は其方の許可なく其方の側を離れる事が出来ぬのだ。其方の許可さえがあれば、城から出て転移魔法を使うことも出来る。頼む、一度試させてくれ」




 私が頭を下げるとルキウスは私の顎を掴んだ。頭を下げている時に、突然手が伸びてきたので、私は驚き、弾かれたように顔を上げると、未だに怖い笑みを浮かべたルキウスと目が合った。




「そもそも、其方の墓は何処にあるのだ? 伝承では其方と我々が袂を分かったのち、行方知れずの筈だが……」
「私も別に本気で袂を分かつつもりではなかったし、見捨てたつもりでもなかった……。考え方の相違があったから城を出ただけで、ヴェンツェルの下で、この国を陰ながら守っていくのも悪くないと思ったのだ」
「ヴェンツェル? 誰だ?」



 私は、何故知らぬのだとブツブツ呟きながら、初代辺境伯であり、私たちの仲間だと話した。城から飛び出した私を疎む事もなく、受け入れてくれ、最期の時まで穏やかに過ごす事が出来たのは、他ならぬヴェンツェルとヴェンツェルの子供たちのおかげだと話してやった。



「……皇室が血相を変えて其方を探している時に、辺境伯は涼しい顔で其方を隠していたという事か……。とんだ裏切りだな」



 ルキウスがそう言って剣を抜いたので、私はギョッとした。私が慌てて裏切りではないと叫ぶと、ルキウスは私の喉に剣の切っ先を当てた。




「わ、私たちは対等だ。皇帝となったからと言って、マルクスが私やヴェンツェルを縛る事は出来ぬ」
「ふんっ、まあ良い。其方らの関係性が分からぬ以上、今となっては辺境伯を罪に問う事は出来ぬからな」




 私がホッと胸を撫で下ろした瞬間、ルキウスは私を押し倒した。




「だが、今の其方は私のものだ。それだけは忘れるな」
「ふ、ふざけるな! 私は誰のものでもない。従属の魔法をかけた焼印さえ回収したら、其方から逃げてやるから覚えていろ」
「ほう」



 ルキウスの射殺すような目で見下ろされた瞬間、私はしまったと思ったが、既に遅かった。


 最近は言動や態度には気をつけていたのに……。つい私は余計な一言を……。



「クッ、では其方の口から私のものだと言わせてやるとするか」
「えっ? 待て? な、何だ?」



 ルキウスは私の着ているものを剥ぎ取り、突然秘所に手を伸ばして来た。



「此処で何回イケば、其方は根を上げるだろうか」
「や、やめろ……、っ!」



 何故、何かある度に凌辱しようとするのだ。此奴の頭の中はどうなっているのだ? それとも私がルキウスに触られると容易いとでも言いたいのか?



「あっ、ああっ……んっ、ふ……っ、やめろっ……ッ、んんあっ、やめっ!!!」



 ルキウスは私のクリトリスを弄った。私が反応してしまい、ルキウスの手を掴んで止めようとしても、ルキウスは意に介さず、濡れてきた私のナカに容赦なく指を沈め、私の弱いところを責め立てた。



「ふ、っ……んぅ、ひあ……待っ、手……っ、どけ、ろっ……ああっ……やめろ、イッてしまっ、ああっ、あああぁぁっ!!」




 何故、こういとも容易く私の感じるトコロを探り当て、私の体を思うように扱えるのだ?
 何故、己の体なのに、己の言うことではなくルキウスの指に手に、反応してしまうのだ?






 ルキウスは私がイッてもやめてくれず、何度も何度も私をイカせた。そのうち、ルキウスは飽きたのか書類に目を通しながら、片手で私を責め立てている。



 このように私を見もせずに、片手間で啼かされるのは悔しいのに、体はルキウスの手でいとも容易く感じ、のぼり詰めさせられる。
 何度イッても止まる事のない快感に、私は気がおかしくなりそうだった。



「ああっ、変……あっ、んんっ……おかしくなるっ……やめっ……んっ、あ、ひゃっ……やっ、ソコ、むりぃ、っ……ああっ、やっ、許しっ……んんっ、頼むっ、許してくれっ、ああ、いやだっ、もう、イキたくなっ……あああ!!」
「許せ? おかしなことを言うのだな。私は其方を悦ばせているだけだが? こんなにも蜜を滴らせて悦んでいるではないか。何が不満なのだ?」




 ルキウスの悪魔のような笑みに私は泣きながら、その後も許しを乞うたが、解放される事はなかった。



 何時間も指でイカされ続け、もう私は何が何だか訳が分からなくなってきた。まともに回らない頭でルキウスに懇願するように手を伸ばすと、ルキウスがその手を握った。




「ルドヴィカ。今、其方を支配しているのは誰だ?」
「ぅっ、ああっ、んぅ……ルキ、ウス……」
「では、其方は誰のものだ?」
「ああっ、奥、やめっ、イッひゃ、あああぁぁぁ!! ルキウスッ! ルキウスのものっ、んんぅ、頼む……もぅ、許ひてっ!」



 私は頭が回らず、己が何を言っているのかさえ分かっていなかった。ルキウスが勝ち誇った顔で見下ろしている事にも気付けず、ただただルキウスの指に翻弄され、喘ぎ続けた。
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