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新しくもない朝《最終話》

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二回目のヒートを乗り切った、ヒート明けの朝。
まず頭に浮かんだのはヒート前に飲む避妊薬のことだった。
飲み忘れたぁ~と頭が真っ白になった。

「大丈夫です、私が飲ませました」
いや、そんな記憶は無いと思ったが、こいつがいうんならそうなんだろう。

次に頭に浮かんだのは再びの無断欠勤だった。
やっちまったと、頭を抱えていたら、
「大丈夫ですよ、連絡してあります。さらに一ヶ月の自宅待機だそうですよ。」
と言って後ろから抱き込む男が足を絡ませてきた。

何で考えてることが分かったんだとか、こいつの足が長くてむかつくとか、そんなことはいい、スルーするのは得意なんだ、俺。

それより、奴の方に顔を向けられない事情が俺にはあった。
ヒートの最中、こいつの言葉を夢うつつに聞きながら、促されるままに俺は口淫した。
あられもない姿をこいつにさらし、性交をせがんだ。こいつをまさおみと呼び、そんで・・・ああああ

ヒートの最中の出来事は、フィルターを介したようにうっすらとしか思い出せない感じなんだが、強く印象が残ることはけっこう覚えているものなのだ。綺麗さっぱり記憶が消えてくれたらいいのに。だが、現実はそう都合良くいかない。

「守、恥ずかしがらないで。こっちを向いてください。」

奴の腕に力が込められて、ぎゅうっと抱き込まれ、耳に京極の唇が当てられた。そこから奴の吐息のような囁きが流し込まれた。

「守の騎乗位、素敵でした。」

あまりの事に全停止していたら、お構いなしに続けてきた。

「私も夢中になってしまってたくさん注いでしまった。あとでお風呂で綺麗にしましょうね。」
肩をついばみながら言うな。
あと頼むから黙ってくれ。
でも気になるので確認しなければ。

「避妊薬、飲んだ覚えはないんだが・・・」

「ああ、守が四つ這いになって、可愛いお尻を私に向けて誘ってくれたとき、直腸から吸収するタイプの避妊薬を入れておきました。
守のお口は、薬をすんなり飲み込んでお利口でしたよ?
守が持っていた薬は守の家に置いてありましたからね。私の手持ちの避妊薬はこれしかなくて仕方なく・・・駄目でしたか?」

やっぱり黙ってて。

「何、その薬・・・何でケツから薬飲まされがちなんだよ俺は・・・」

頭をシーツに潜り込ませて唸っていると、

グッと体が捕らわれて、一瞬で俺はベッドに仰向けにされていた。
京極は両手を突いて、朝日を浴びて きらめくような爽やかな笑顔を向けて言った。
「やっと守の顔が見れた。」

くそ、いい男だな おい。
そういえば、番にされた最初の夜の始まりも こんな感じだったな。服は着てたけど。

「・・・迷惑かけた。ごめん。」
避けられた事態を引き寄せた事を謝罪した。
京極は何も答えず触れるような口づけを落としてきた。

「薄々は分かってたんだが、やっぱり仕事続けるのは現実的じゃないよな。」

「・・・私のせいです。私が守から全て奪った。仕事も自由も。βの生き方も。」

「まぁ、そうだな。でももういいよ。」

とっくにこいつの事を俺は受け入れていた。
じゃなければ さすがに結婚までしていない。
こいつを受け入れた以上、今さらそれに文句たれても仕方がないのだ。

すると、奴は俺の肩口に頭を突っ込んでグリグリしてきた。何故か、チャッピーが悪さをしたときに ばつが悪そうにしている雰囲気に似ている気がした。

しばらくグリグリしながら、こいつはおねだり口調で言ってきた。
「ヒートが開けたから避妊薬はもう必要ありませんよね?だからほら、何も気にしないでいいから・・・ね?」

奴の足の間に朝勃ちしている凶悪なものが見えた。
さっきのグリグリは奴なりの罪の意識からと思ったが、どうやら違っていたようだ。
・・・改めて見るとでかい。でかすぎる。

「すげえな、こんなものが体の中に入るんだもんな。」

「そうですね、守の中はいつだって私を優しく包んで締め上げてくれますよ。もう早く守の中に入りたい・・・駄目ですか?」

甘やかしてくれと、紅茶色の瞳がきらめく。
俺はこれに弱いんだ。

「いいぜ、来いよ。・・・正臣。」

目を見張った こいつの頭に手を回し、口付けながらそんなことを言ってしまった俺は、平穏なβ人生の終わりの始まりを受け入れたってことなんだろう。

おしまい




14話完結のつもりが長々と続いてしまいました~f(^_^)題名に+αってあるけど、そっちの方が長いのってどうなんでしょ。変えた方が良いのかな~。
伏線がいくつか、回収できてないのですがそのうち何か書けたらいいなと思っています。
最後にちょろっとブラック正臣君を降臨させられて良かったです☆
たくさんの方に読んで頂き元気が出ました。
本当にありがとうございましたm(_ _)m
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