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浦田と京極と俺
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ただしどこにでも例外はある。
たまたま馬が合って仲良くなったのが幼稚舎組の浦田という男だった。親友というほどもないが、確かに友人と呼べる、そんな間柄だった。浦田は浦田製薬という日本の製薬最大手のいわゆる御曹司であったが、気取りがなくて付き合いやすい奴だった。卒業後、俺は予定通り外部を受け国立の最高学府に合格、浦田はそのまま鶴水大に進んだ。
それから社会人となった今でも、年に数回は飲みに行くくらいの付き合いは続いていた。
そして今日、俺たちはいつものように週末の仕事終わりに、ホテルのバーで待ち合わせをして飲んでいたわけだが。
飲み始めてしばらくして、浦田が店内に知り合いがいることに気が付いた。
そいつに挨拶に行くので中座をすることを俺に詫びて、すぐに戻るからと言って席を離れて。
帰ってきたときには長身の男を伴っていた。
それが今、俺を押し倒している京極正臣という男だ。
180センチは軽く超えている長身に、端正な顔立ちの一目でαだと分かるそんな男を、鶴水の同門だといって連れてきた、あえて空気を読まない男 浦田。
京極は浦田と幼稚舎組の水入らずで旧交を温めたかったに違いない。
京極は中等部の時、初対面だったβの俺をメンターにしようとしてしまった過去がある。浦田が傍にいたので、俺もαだと勘違いしてしまったんだろう。
中高両方で生徒会長を務めた京極にとって、恐らく俺とのことは唯一の黒歴史だったに違いない。
その場に浦田もいたので、それを知っているはずなのに、俺の前に連れてくるとは悪い奴だ。
せっかくだから一緒に飲もうというので、しばらく付き合ったら適当に理由をつけて帰るつもりだった。
話の最中 誰も過去のことに触れなかったし、昔の些細な出来事などこの場の誰も気にしてない様子に俺は安堵した。
そして、京極という男と改めてまともに話してみると案外楽しくて、気が付けばそこそこいい時間になっていた。
それからトイレに立って、戻って、グラスに口を付けて・・・そこから記憶をたどることができない。
気が付いたら、こんなことになっていた。
俺は酔いつぶれるような、みっともない飲み方は好きではないし、これまでそんな醜態をさらしたことはない。
意を決して、おれは京極にストレートに聞いてみた。
「・・・なにか盛りました?」
すると京極は紳士然とした嫌みのない微笑みを浮かべてこう言った。
「はい、あなたは私に薬を盛られて、ここにいるのです。」
こいつ正気かと言葉を失った俺だったが、俺はそのとき、奴の言葉の本当の意味を知らなかったのだ。
たまたま馬が合って仲良くなったのが幼稚舎組の浦田という男だった。親友というほどもないが、確かに友人と呼べる、そんな間柄だった。浦田は浦田製薬という日本の製薬最大手のいわゆる御曹司であったが、気取りがなくて付き合いやすい奴だった。卒業後、俺は予定通り外部を受け国立の最高学府に合格、浦田はそのまま鶴水大に進んだ。
それから社会人となった今でも、年に数回は飲みに行くくらいの付き合いは続いていた。
そして今日、俺たちはいつものように週末の仕事終わりに、ホテルのバーで待ち合わせをして飲んでいたわけだが。
飲み始めてしばらくして、浦田が店内に知り合いがいることに気が付いた。
そいつに挨拶に行くので中座をすることを俺に詫びて、すぐに戻るからと言って席を離れて。
帰ってきたときには長身の男を伴っていた。
それが今、俺を押し倒している京極正臣という男だ。
180センチは軽く超えている長身に、端正な顔立ちの一目でαだと分かるそんな男を、鶴水の同門だといって連れてきた、あえて空気を読まない男 浦田。
京極は浦田と幼稚舎組の水入らずで旧交を温めたかったに違いない。
京極は中等部の時、初対面だったβの俺をメンターにしようとしてしまった過去がある。浦田が傍にいたので、俺もαだと勘違いしてしまったんだろう。
中高両方で生徒会長を務めた京極にとって、恐らく俺とのことは唯一の黒歴史だったに違いない。
その場に浦田もいたので、それを知っているはずなのに、俺の前に連れてくるとは悪い奴だ。
せっかくだから一緒に飲もうというので、しばらく付き合ったら適当に理由をつけて帰るつもりだった。
話の最中 誰も過去のことに触れなかったし、昔の些細な出来事などこの場の誰も気にしてない様子に俺は安堵した。
そして、京極という男と改めてまともに話してみると案外楽しくて、気が付けばそこそこいい時間になっていた。
それからトイレに立って、戻って、グラスに口を付けて・・・そこから記憶をたどることができない。
気が付いたら、こんなことになっていた。
俺は酔いつぶれるような、みっともない飲み方は好きではないし、これまでそんな醜態をさらしたことはない。
意を決して、おれは京極にストレートに聞いてみた。
「・・・なにか盛りました?」
すると京極は紳士然とした嫌みのない微笑みを浮かべてこう言った。
「はい、あなたは私に薬を盛られて、ここにいるのです。」
こいつ正気かと言葉を失った俺だったが、俺はそのとき、奴の言葉の本当の意味を知らなかったのだ。
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