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第2部
第25話:形勢逆転の一手
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「ねぇ、剛くん❤︎ 最後に機会を与えてあげるわ❤︎」
「機会……?」
「あたしの靴を舐めなさい。それで、もう二度と反抗的な態度を取りません。だから許してください。もう二度とリリカ様には逆らいませんと謝罪を述べるなら、助けてあげる❤︎」
「……それは面白い提案だ」
「そうでしょ? とっても魅力的な提案でしょ……?」
床に這いつくばる苔ノ橋剛。
そんな彼に対して、西方リリカは靴底を向ける。
高校に入学してからずっと同じ靴を履き続けているのだ。
もう擦り減り、汚れも付着していた。そんなものを——。
「ほら、舐めなさいよ。ほらほら、さっさと舐めなよ❤︎」
西方リリカは、靴底で苔ノ橋剛の頬っぺたをつつくのである。
トントンと触るだけならまだしも、それだけでは飽き足らないようだ
頭の天辺を靴で踏み、グリグリと床へと踏み潰してくるのである。
「本当アンタの人生って、あたしを生かすためにあるんでしょうね❤︎」
偉そうなことをガミガミと言われてしまい、我慢の限界に達している。
今すぐにでも、この生意気な女を殴りたい。
だが、折角、有力な情報を手に入れたのだ。
母親を殺したと、この女が遂に吐き出したのだ。
ここで変な真似を起こして、スマホを奪われるわけには……。
「あ、そうだ❤︎ とっても面白いことを考えちゃった❤︎」
西方リリカの目元が緩む。
この笑みは、何か悪巧みをしている顔だ。
嫌でも分かってしまう。また、この女は何を考えたのだ。
「ねぇ、バチャ豚❤︎ 今すぐに、あの女に電話を掛けてくれる??」
あの女。
悪意が込められた言い方だ。
でも、コイツの口から漏れ出たあの女は、もう考えられるのは——。
「あの女に、今からアンタは言うのよ。ごめんなさい、僕には大好きな大好きなリリカがいるから……もう君とは付き合っていられないって。君みたいなブスで気持ち悪い女とは付きあえないから……別れてほしいって言うのよ!! ほらぁ、今すぐに!! 分かったぁ??」
東雲翼に電話を掛けろと言っているのか。
でも、ここでスマホを取り出したら……。
(僕がスマホで音声を録音していることがバレてしまう!!)
そうなったら、この貴重な音声さえも……消されてしまうだろう。
頭を動かせ。考えろ。何か良い案があるはずだ。
この女を黙らせる方法は。この女を騙す方法は。
「バチャ豚❤︎ アンタはただ弄ばれているだけよ、分かってる?」
どうすればいい??
「さっさとあたしにスマホを寄越しなさいよ。このあたしがやってあげるから❤︎」
どうすればこの女の目を盗むことができる……?
「あんたは一生あたしの奴隷❤︎ あたしが可愛がってあげるわ❤︎」
自分の思い通りにいかないことに痺れを切らしたのか。
西方リリカは足元に力を入れてきた。
言うことを聞かないなら、言うことを聞かせるまでと思っているのか。
だが——全てが甘い。
(この手段は使いたくなかったが……もうやるしかないな!!)
苔ノ橋剛は最後の力を振り絞って、急激に身体を起き上がらせる。
人様の頭に足を掛けていた女王様は体勢を取り乱し、床に転んでしまう。
「きゃっ——!? ちょ、ちょっと、なななな何をするのよ!!」
床に倒れた赤茶髪の少女。
スカートが乱れ、柔らかそうな白い太ももと赤色の下着が目に入る。
だが、全く色気も何も感じない。この女に感じるのは殺意のみ。
それでも苔ノ橋剛は勢いを止めることはせず、鼻息を酷く荒らして。
「リリカぁ~~~!! 大好きだぁ~~!! やっぱり僕は、僕は!!」
体力は殆ど残っていないし、治療中の骨がまだ痛む。
ただその僅かな体に残る力を振り絞って、苔ノ橋剛は幼馴染みの女の子へと襲い掛かる。
覆いかぶさる形になってしまい、西方リリカは身動きを取ることができない。
「ちょっと離して!! 警察を呼ぶわよ、この豚野郎ッ!!」
突然の出来事と言えども、反応速度はあるようだ。
蹴りを何発も入れてくる。男に襲われた女の子として当然の行動をしているのだ。
ただ、その蹴りの威力は弱く、苔ノ橋にとっては全然痛みの範疇に入らない。
「……警察に突き出してもいいの? 僕が自殺しないといけないんでしょ?」
「こ、この……ぶぶぶぶ豚がッ!!」
あぁ~そうだよ。
警察に突き出されたら、バチャ豚が自殺することはなくなる。
つまり、廃進広大が思い描く、お涙頂戴展開は全て台無しになる。
挙げ句の果てに、バチャ豚が問題を起こしたら……。
「もしも、僕が不祥事を起こしたら……大切なオフ会も中止になるかもね」
都合がいいときだけ、仲間呼ばわりされるのも困るものだ。
都合が悪いときも、仲間扱いされないと困る。
今の今まで、散々バカにしてきたが……。
ここで、その立場が役に立つとは……。
「機会……?」
「あたしの靴を舐めなさい。それで、もう二度と反抗的な態度を取りません。だから許してください。もう二度とリリカ様には逆らいませんと謝罪を述べるなら、助けてあげる❤︎」
「……それは面白い提案だ」
「そうでしょ? とっても魅力的な提案でしょ……?」
床に這いつくばる苔ノ橋剛。
そんな彼に対して、西方リリカは靴底を向ける。
高校に入学してからずっと同じ靴を履き続けているのだ。
もう擦り減り、汚れも付着していた。そんなものを——。
「ほら、舐めなさいよ。ほらほら、さっさと舐めなよ❤︎」
西方リリカは、靴底で苔ノ橋剛の頬っぺたをつつくのである。
トントンと触るだけならまだしも、それだけでは飽き足らないようだ
頭の天辺を靴で踏み、グリグリと床へと踏み潰してくるのである。
「本当アンタの人生って、あたしを生かすためにあるんでしょうね❤︎」
偉そうなことをガミガミと言われてしまい、我慢の限界に達している。
今すぐにでも、この生意気な女を殴りたい。
だが、折角、有力な情報を手に入れたのだ。
母親を殺したと、この女が遂に吐き出したのだ。
ここで変な真似を起こして、スマホを奪われるわけには……。
「あ、そうだ❤︎ とっても面白いことを考えちゃった❤︎」
西方リリカの目元が緩む。
この笑みは、何か悪巧みをしている顔だ。
嫌でも分かってしまう。また、この女は何を考えたのだ。
「ねぇ、バチャ豚❤︎ 今すぐに、あの女に電話を掛けてくれる??」
あの女。
悪意が込められた言い方だ。
でも、コイツの口から漏れ出たあの女は、もう考えられるのは——。
「あの女に、今からアンタは言うのよ。ごめんなさい、僕には大好きな大好きなリリカがいるから……もう君とは付き合っていられないって。君みたいなブスで気持ち悪い女とは付きあえないから……別れてほしいって言うのよ!! ほらぁ、今すぐに!! 分かったぁ??」
東雲翼に電話を掛けろと言っているのか。
でも、ここでスマホを取り出したら……。
(僕がスマホで音声を録音していることがバレてしまう!!)
そうなったら、この貴重な音声さえも……消されてしまうだろう。
頭を動かせ。考えろ。何か良い案があるはずだ。
この女を黙らせる方法は。この女を騙す方法は。
「バチャ豚❤︎ アンタはただ弄ばれているだけよ、分かってる?」
どうすればいい??
「さっさとあたしにスマホを寄越しなさいよ。このあたしがやってあげるから❤︎」
どうすればこの女の目を盗むことができる……?
「あんたは一生あたしの奴隷❤︎ あたしが可愛がってあげるわ❤︎」
自分の思い通りにいかないことに痺れを切らしたのか。
西方リリカは足元に力を入れてきた。
言うことを聞かないなら、言うことを聞かせるまでと思っているのか。
だが——全てが甘い。
(この手段は使いたくなかったが……もうやるしかないな!!)
苔ノ橋剛は最後の力を振り絞って、急激に身体を起き上がらせる。
人様の頭に足を掛けていた女王様は体勢を取り乱し、床に転んでしまう。
「きゃっ——!? ちょ、ちょっと、なななな何をするのよ!!」
床に倒れた赤茶髪の少女。
スカートが乱れ、柔らかそうな白い太ももと赤色の下着が目に入る。
だが、全く色気も何も感じない。この女に感じるのは殺意のみ。
それでも苔ノ橋剛は勢いを止めることはせず、鼻息を酷く荒らして。
「リリカぁ~~~!! 大好きだぁ~~!! やっぱり僕は、僕は!!」
体力は殆ど残っていないし、治療中の骨がまだ痛む。
ただその僅かな体に残る力を振り絞って、苔ノ橋剛は幼馴染みの女の子へと襲い掛かる。
覆いかぶさる形になってしまい、西方リリカは身動きを取ることができない。
「ちょっと離して!! 警察を呼ぶわよ、この豚野郎ッ!!」
突然の出来事と言えども、反応速度はあるようだ。
蹴りを何発も入れてくる。男に襲われた女の子として当然の行動をしているのだ。
ただ、その蹴りの威力は弱く、苔ノ橋にとっては全然痛みの範疇に入らない。
「……警察に突き出してもいいの? 僕が自殺しないといけないんでしょ?」
「こ、この……ぶぶぶぶ豚がッ!!」
あぁ~そうだよ。
警察に突き出されたら、バチャ豚が自殺することはなくなる。
つまり、廃進広大が思い描く、お涙頂戴展開は全て台無しになる。
挙げ句の果てに、バチャ豚が問題を起こしたら……。
「もしも、僕が不祥事を起こしたら……大切なオフ会も中止になるかもね」
都合がいいときだけ、仲間呼ばわりされるのも困るものだ。
都合が悪いときも、仲間扱いされないと困る。
今の今まで、散々バカにしてきたが……。
ここで、その立場が役に立つとは……。
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