29 / 69
職業 《 勇者 》
29話 ギルドのあらくれもの
しおりを挟む
メーシャはバイザーをつけていい感じの椅子に座り、冒険者適性審査を開始した。バイザーを付けると身体が一時的に休眠状態に入り、無意識下で自由に思考したり動いたりできる記憶に残らない特殊な明晰夢を見せ、そこでの言動やパターンを高速で集計する。
これにより、不正をしたり対策を取られたりすることがなく、冒険者の本来の性質を見抜くことができるのだ。ちなみに、この結果は個人情報なので本人以外に教えることはできない。
この審査は戦闘スタイルの得手不得手だけでなく、冒険者のサバイバル適性、クエストの受注パターンなど色々なことがわかる。なので、己の才能が分からず苦手な分野に進んでしまい、力が思うようにふるえずに芽が出なかったり大怪我をしてしまったりということが大幅に減った。
この審査が存在しなかった時期と導入してからでは、一年あたりの死傷者数が数十分の一未満まで減ったと言う。
世界のトップ技術者が集まると言われる"白雷"の街で開発された最高峰の技術のひとつである。
* * * * *
「──はい、終了しましたのでバイザーを外して大丈夫ですよ」
受け付けをしてくれたお姉さんの声がメーシャの目を覚ました。
「……ふぁあ。あれ、もう終わったの?」
リクライニングチェアでホットアイマスクをつけてリラックスしていると、時間が一瞬で溶けてしまった……なんて経験はないだろうか。
メーシャは目を瞑ってから体感1分ほどしか経っていなかった。
「……なんだか、もう少しゆっくりしたい気分です」
部屋の中に流れる音楽がゆったりと心地いいので、もうひと眠りしたい気持ちを刺激する。
「どれくらい時間経ったんだろ……」
メーシャはポケットのスマホを取り出して、ギルドに入ったくらいの時間から逆算しつつどれだけ眠っていたかを割り出そうとした。
「あれ、時間ぜんぜん進んでなくね?」
どう考えても、というか考えなくてもギルドに入ってからほんの10分ほどしか経っていない。契約書を読んでいた時間も含めてだ。つまり、バイザーをつけて眠っていたのは……。
「50秒ほどですね」
「はやいですね!」
審査の時間の短さにヒデヨシも驚いて跳ね上がってしまう。
「魔法機械の計算能力が高く、最低限の情報を手に入れさえすればあとは勝手に集計できますからね」
『ぉおお~……! どういう魔法陣使ってんだ? ……睡眠系の魔法の応用で、幻惑系を使わなくてもいいのか。光魔法を乱反射させることで連続照射して…………マジか。色んな魔法を組み合わせて、相互作用させることでプログラム量を減らしてんのかぁ~。俺様ならこのマキナ作れるか? いや、作れたとしてもどっかで閃きのキッカケがないと無理かもしれねえ。こんなクレイジーな魔法陣はそうとうもの好きじゃねえと思いつきもしないだろうな。はあ……開発者と語り合いてぇぜ』
急に声がして目を見開くお姉さんのこともお構いなしに、デウスは恋した乙女の如くバイザーの技術について呟いてしまうのだった。
* * * * *
メーシャが審査を受けているころ、部屋の外でそわそわする3人組がいた。
「そろそろだぞ……。準備は良いかマーク、フロッグ」
鍵開けシーフのベイブ、ドリンクメイジのマーク、そして孤高のライバルであるポンペインファイターのフロッグ。
目的はもちろん新人教育でストレス発散……もとい世のための慈善事業だ。
「オレは準備万端だ。新人が部屋から出て、受け付けから解放された瞬間が、ヤツが地獄に落ちる瞬間だぜ……ケヒヒヒヒヒ」
マークはケヒヒと笑う時に愛用のナイフを舐める。……そして、しっかり拭き取ってから戻す。そのままにするのはサビの原因だからな。
「オイラは…………ダメ……かも……はぐぅ!? お腹が! …………ごめんベイブ、オイラはちょっとトイレに……!」
「は、早くいけフロッグ! オレは別に床掃除なんて好きじゃねんだ! 新人教育よりテメーは自分のお腹をいたわってやれ!」
……チッ。思わず叫んじまった。
ポンペインファイターのフロッグの職業は実はファイターじゃねえ。本当はオレと同じシーフなんだ。
じゃあ、なんでそんな二つ名を持ってるかって? それはな、ポンポンペイン……つまり腹痛といつも戦っているからだ。
ヤツが言うには緊張するとダメなんだとよ。
「……軟弱者めが。しかたねえな、こうなったらこのドリンクメイジのマークがフロッグの分まで新人をぶちのめして……教育してやるかぁあ?」
こいつはハリキリ過ぎだ。
せっかく抜け出してきてんのに、あんまりうるさくするとバレて……。
「──マーク! そこにいたのか! 仕事サボってなにしてんだ! ったく、12番席にさっさとドリンクを持っていきやがれってんだ!」
「ふぇっ!? りょ、料理長!? なんでオレの居場所が分かったんだ……? くそっ、すまねえ。オレは一緒にいけねえみたいだ。……オレの分までがんばってくれよ」
……マークも行っちまいやがった。
そうだ、ドリンクメイジのドリンクってのは、シタデルの食堂のドリンク係ってことだ。メイジの方はまあ、ちゃんと魔法使いで間違いない。
そうなってくると、オレの"鍵開けシーフ"ってのも気になってくるよな? そうだと思ったぜ。
そうだよ、ご想像通りウラがある。
オレはシタデルの鍵を持った戸締まり係だ。シタデルの鍵を開けるから鍵開けシーフだ。
──ウィン……。
扉が開いた。とうとう新人が部屋から出てきたぜ。
「──じゃあ、まずは研修みたいなのしてから本格的にってカンジか」
「結果が出るまで少し待ってましょうか。カーミラさんから少しお金貰ってますし、何か食べますか?」
そう、結果はだいたい5分で出る。だから、それまでにオレが研修するぞって声をかけておけば、何も知らねえ新人はそのまま引き受ける。
本当は受け付けに聞いて手の空いてる相性の良い先輩が呼ばれるんだが、すでに決まっている場合はその限りじゃない。やるなら……この5分が勝負だ。
「やあやあキミたち! 新人さんかな~? もしかして、研修とかってまだなんじゃない? それに、誰に頼んだら良いか困ってるとおもって……さっ! 良かったら星2冒険者の鍵開けシーフのベイブにお手伝いさせて欲しいな~なんて」
決まった!
この柔らかな口調と、親しみやすい雰囲気、なんといってもチャーミングな笑顔! 前回は笑顔がぎこちなかったからか成功は逃したが、今回は会心の笑顔だぜ、こんにゃろー。
「ん? ああ、先輩冒険者さんか。ごめんね、新人研修してくれる人はもう決まってるみたい」
な、なぁにぃ~!? 新人研修が初めから決まってるパターンって、ワルターさん以来じゃねえのか? ああ、ワルターさんとこの……なんだっけ、アメリー? とかいう人もそうだったが、何にしてもイレギュラーだ。
もしかしたら、この嬢ちゃんと坊ちゃんは手を引いた方が良さそうか?
「……どうしたベイブ? メーシャさんとヒデヨシさんに何かようか?」
……この深みのある勇ましい声は……!
「ぎ、ギルドマスタ~!? い、いえ、もお困りだったら何か手伝おうかな~って思って……」
やばい! 声が震えちまう。
知らないヤツもいるだろうから説明すると、この方はアレッサンドリーテ支部のギルドマスターで星6冒険者のデイビッドさんだ。
本当は昇級できるが、あまり星を増やすと本部に転勤しちまうとかで6止めしてるらしい。
しっかし、ヤベーのはそこだけじゃない。
身長が2m20cm超えのトラ型の獣人で、筋肉だけでも山みたいでヤベーのに、並の冒険者だと着たら体が潰れちまうほど重たい鎧を常に着てるし、しかも戦いの時には身長と同じくらいの大きさの幅が広いバスターソードを使いこなすそうだ。
この前間違ったフリしてタックルをしかけてみたら、なぜかオレの方が5m吹き飛んだんだ。正直、迫力が凄すぎてオレは関わりたくない。
「気遣いありがとう、ご苦労だったな。だが、今回の新人研修は1回目を俺、2回目をワルターが担うことになっているんだ。俺もあまり暇ではなかったんだが、アレッサンドリーテ近衛騎士団の団長から直々にお願いされてな。なんでも、陛下や王女殿下の次に大切な人物だとか。だからまあ、失礼のないようにな」
ぅおっと、気を失いそうになっちまった。情報過多だ。
ただ、デイビッドさんのおかげで命拾いしとようだ。もしあのまま教育……新人イジメをしてたら、オレの首が危なかったってことか。
つーか、あのニンゲンのお嬢ちゃんとゲッシのお坊ちゃんヤバすぎるだろ。ギルドマスターとワルターさんに騎士団長? 手に負えるわけがない。それに、ちょっとだけ漂ってきたオーラに触れただけで、素人のオレですらタダモノじゃないと確信しちまうヤバさだ。怒らせたら消し飛んじまう。
「いや~、そうでしたか! ではオレでは力不足ですし、ギルドマスターやワルターさんがいるならここいらで、おいとまさせて頂こうかな? ははは……。では、ええっと……メーシャさんとヒデヨシさんでしたか? 良い冒険者ライフを送ってくださいな!」
今日のオレの足は生まれて1番俊敏だった。
あんなところ、あと1秒でも長居しちまったら身体がもたないって。フロッグじゃないけど、トイレに行きたくなってきたしな。
「…………はあ、真っ当に生きようかな」
まあ、教育つっても1度も成功したことないんだけどな。
● ● ●
「…………ベイブのやつ様子が変だったが、トイレか? まあいい、おふたかた……結果が出るまでお暇でしょうし、研修の説明がてらご飯でもどうですか? もちろん、俺がおごるので好きなものを好きなだけ食べてください」
「やったー!」
「お嬢様、何食べましょうか!」
こうして、メーシャの知らないところでギルドの平和? が取り戻されたのだった。
これにより、不正をしたり対策を取られたりすることがなく、冒険者の本来の性質を見抜くことができるのだ。ちなみに、この結果は個人情報なので本人以外に教えることはできない。
この審査は戦闘スタイルの得手不得手だけでなく、冒険者のサバイバル適性、クエストの受注パターンなど色々なことがわかる。なので、己の才能が分からず苦手な分野に進んでしまい、力が思うようにふるえずに芽が出なかったり大怪我をしてしまったりということが大幅に減った。
この審査が存在しなかった時期と導入してからでは、一年あたりの死傷者数が数十分の一未満まで減ったと言う。
世界のトップ技術者が集まると言われる"白雷"の街で開発された最高峰の技術のひとつである。
* * * * *
「──はい、終了しましたのでバイザーを外して大丈夫ですよ」
受け付けをしてくれたお姉さんの声がメーシャの目を覚ました。
「……ふぁあ。あれ、もう終わったの?」
リクライニングチェアでホットアイマスクをつけてリラックスしていると、時間が一瞬で溶けてしまった……なんて経験はないだろうか。
メーシャは目を瞑ってから体感1分ほどしか経っていなかった。
「……なんだか、もう少しゆっくりしたい気分です」
部屋の中に流れる音楽がゆったりと心地いいので、もうひと眠りしたい気持ちを刺激する。
「どれくらい時間経ったんだろ……」
メーシャはポケットのスマホを取り出して、ギルドに入ったくらいの時間から逆算しつつどれだけ眠っていたかを割り出そうとした。
「あれ、時間ぜんぜん進んでなくね?」
どう考えても、というか考えなくてもギルドに入ってからほんの10分ほどしか経っていない。契約書を読んでいた時間も含めてだ。つまり、バイザーをつけて眠っていたのは……。
「50秒ほどですね」
「はやいですね!」
審査の時間の短さにヒデヨシも驚いて跳ね上がってしまう。
「魔法機械の計算能力が高く、最低限の情報を手に入れさえすればあとは勝手に集計できますからね」
『ぉおお~……! どういう魔法陣使ってんだ? ……睡眠系の魔法の応用で、幻惑系を使わなくてもいいのか。光魔法を乱反射させることで連続照射して…………マジか。色んな魔法を組み合わせて、相互作用させることでプログラム量を減らしてんのかぁ~。俺様ならこのマキナ作れるか? いや、作れたとしてもどっかで閃きのキッカケがないと無理かもしれねえ。こんなクレイジーな魔法陣はそうとうもの好きじゃねえと思いつきもしないだろうな。はあ……開発者と語り合いてぇぜ』
急に声がして目を見開くお姉さんのこともお構いなしに、デウスは恋した乙女の如くバイザーの技術について呟いてしまうのだった。
* * * * *
メーシャが審査を受けているころ、部屋の外でそわそわする3人組がいた。
「そろそろだぞ……。準備は良いかマーク、フロッグ」
鍵開けシーフのベイブ、ドリンクメイジのマーク、そして孤高のライバルであるポンペインファイターのフロッグ。
目的はもちろん新人教育でストレス発散……もとい世のための慈善事業だ。
「オレは準備万端だ。新人が部屋から出て、受け付けから解放された瞬間が、ヤツが地獄に落ちる瞬間だぜ……ケヒヒヒヒヒ」
マークはケヒヒと笑う時に愛用のナイフを舐める。……そして、しっかり拭き取ってから戻す。そのままにするのはサビの原因だからな。
「オイラは…………ダメ……かも……はぐぅ!? お腹が! …………ごめんベイブ、オイラはちょっとトイレに……!」
「は、早くいけフロッグ! オレは別に床掃除なんて好きじゃねんだ! 新人教育よりテメーは自分のお腹をいたわってやれ!」
……チッ。思わず叫んじまった。
ポンペインファイターのフロッグの職業は実はファイターじゃねえ。本当はオレと同じシーフなんだ。
じゃあ、なんでそんな二つ名を持ってるかって? それはな、ポンポンペイン……つまり腹痛といつも戦っているからだ。
ヤツが言うには緊張するとダメなんだとよ。
「……軟弱者めが。しかたねえな、こうなったらこのドリンクメイジのマークがフロッグの分まで新人をぶちのめして……教育してやるかぁあ?」
こいつはハリキリ過ぎだ。
せっかく抜け出してきてんのに、あんまりうるさくするとバレて……。
「──マーク! そこにいたのか! 仕事サボってなにしてんだ! ったく、12番席にさっさとドリンクを持っていきやがれってんだ!」
「ふぇっ!? りょ、料理長!? なんでオレの居場所が分かったんだ……? くそっ、すまねえ。オレは一緒にいけねえみたいだ。……オレの分までがんばってくれよ」
……マークも行っちまいやがった。
そうだ、ドリンクメイジのドリンクってのは、シタデルの食堂のドリンク係ってことだ。メイジの方はまあ、ちゃんと魔法使いで間違いない。
そうなってくると、オレの"鍵開けシーフ"ってのも気になってくるよな? そうだと思ったぜ。
そうだよ、ご想像通りウラがある。
オレはシタデルの鍵を持った戸締まり係だ。シタデルの鍵を開けるから鍵開けシーフだ。
──ウィン……。
扉が開いた。とうとう新人が部屋から出てきたぜ。
「──じゃあ、まずは研修みたいなのしてから本格的にってカンジか」
「結果が出るまで少し待ってましょうか。カーミラさんから少しお金貰ってますし、何か食べますか?」
そう、結果はだいたい5分で出る。だから、それまでにオレが研修するぞって声をかけておけば、何も知らねえ新人はそのまま引き受ける。
本当は受け付けに聞いて手の空いてる相性の良い先輩が呼ばれるんだが、すでに決まっている場合はその限りじゃない。やるなら……この5分が勝負だ。
「やあやあキミたち! 新人さんかな~? もしかして、研修とかってまだなんじゃない? それに、誰に頼んだら良いか困ってるとおもって……さっ! 良かったら星2冒険者の鍵開けシーフのベイブにお手伝いさせて欲しいな~なんて」
決まった!
この柔らかな口調と、親しみやすい雰囲気、なんといってもチャーミングな笑顔! 前回は笑顔がぎこちなかったからか成功は逃したが、今回は会心の笑顔だぜ、こんにゃろー。
「ん? ああ、先輩冒険者さんか。ごめんね、新人研修してくれる人はもう決まってるみたい」
な、なぁにぃ~!? 新人研修が初めから決まってるパターンって、ワルターさん以来じゃねえのか? ああ、ワルターさんとこの……なんだっけ、アメリー? とかいう人もそうだったが、何にしてもイレギュラーだ。
もしかしたら、この嬢ちゃんと坊ちゃんは手を引いた方が良さそうか?
「……どうしたベイブ? メーシャさんとヒデヨシさんに何かようか?」
……この深みのある勇ましい声は……!
「ぎ、ギルドマスタ~!? い、いえ、もお困りだったら何か手伝おうかな~って思って……」
やばい! 声が震えちまう。
知らないヤツもいるだろうから説明すると、この方はアレッサンドリーテ支部のギルドマスターで星6冒険者のデイビッドさんだ。
本当は昇級できるが、あまり星を増やすと本部に転勤しちまうとかで6止めしてるらしい。
しっかし、ヤベーのはそこだけじゃない。
身長が2m20cm超えのトラ型の獣人で、筋肉だけでも山みたいでヤベーのに、並の冒険者だと着たら体が潰れちまうほど重たい鎧を常に着てるし、しかも戦いの時には身長と同じくらいの大きさの幅が広いバスターソードを使いこなすそうだ。
この前間違ったフリしてタックルをしかけてみたら、なぜかオレの方が5m吹き飛んだんだ。正直、迫力が凄すぎてオレは関わりたくない。
「気遣いありがとう、ご苦労だったな。だが、今回の新人研修は1回目を俺、2回目をワルターが担うことになっているんだ。俺もあまり暇ではなかったんだが、アレッサンドリーテ近衛騎士団の団長から直々にお願いされてな。なんでも、陛下や王女殿下の次に大切な人物だとか。だからまあ、失礼のないようにな」
ぅおっと、気を失いそうになっちまった。情報過多だ。
ただ、デイビッドさんのおかげで命拾いしとようだ。もしあのまま教育……新人イジメをしてたら、オレの首が危なかったってことか。
つーか、あのニンゲンのお嬢ちゃんとゲッシのお坊ちゃんヤバすぎるだろ。ギルドマスターとワルターさんに騎士団長? 手に負えるわけがない。それに、ちょっとだけ漂ってきたオーラに触れただけで、素人のオレですらタダモノじゃないと確信しちまうヤバさだ。怒らせたら消し飛んじまう。
「いや~、そうでしたか! ではオレでは力不足ですし、ギルドマスターやワルターさんがいるならここいらで、おいとまさせて頂こうかな? ははは……。では、ええっと……メーシャさんとヒデヨシさんでしたか? 良い冒険者ライフを送ってくださいな!」
今日のオレの足は生まれて1番俊敏だった。
あんなところ、あと1秒でも長居しちまったら身体がもたないって。フロッグじゃないけど、トイレに行きたくなってきたしな。
「…………はあ、真っ当に生きようかな」
まあ、教育つっても1度も成功したことないんだけどな。
● ● ●
「…………ベイブのやつ様子が変だったが、トイレか? まあいい、おふたかた……結果が出るまでお暇でしょうし、研修の説明がてらご飯でもどうですか? もちろん、俺がおごるので好きなものを好きなだけ食べてください」
「やったー!」
「お嬢様、何食べましょうか!」
こうして、メーシャの知らないところでギルドの平和? が取り戻されたのだった。
20
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
その聖女、娼婦につき ~何もかもが遅すぎた~
ノ木瀬 優
恋愛
卒業パーティーにて、ライル王太子は、レイチェルに婚約破棄を突き付ける。それを受けたレイチェルは……。
「――あー、はい。もう、そういうのいいです。もうどうしようもないので」
あっけらかんとそう言い放った。実は、この国の聖女システムには、ある秘密が隠されていたのだ。
思い付きで書いてみました。全2話、本日中に完結予定です。
設定ガバガバなところもありますが、気楽に楽しんで頂けたら幸いです。
R15は保険ですので、安心してお楽しみ下さい。
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる