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25話 仲直り
しおりを挟む「…………」
「……………、…」
日も落ちて薄暗く静かな部屋の中でお互いに沈黙を脱することができずにいた。
さぁ、どうしよう。さっきまで泣いてたのもあって顔はぐちゃぐちゃだし、話したいことはまとまらないしで頭の中はパニックだった。
敬斗は何も言わずに静かに待っていてくれた。
「ごめんなさい…」
なにはともあれまずは謝ることが最優先だろう。
「今まで避けてたことも、昨日嫌いって言ったことも、、ごめんなさい…」
「僕の方こそ、、」
敬斗がぼそっと口を開いた。いつも堂々として、キラキラしている彼にしては珍しいと思った。
「すごく幼稚な態度だったと思う、悪く言うようなことをしてごめん…」
シュン…と効果音がつきそうなほど落ち込んでいる。まるで飼い主に叱られた大型犬のようだった。
「まだ、怒ってる…?」
「怒ってないよ、それに私も悪かったし……だから、仲直りしてほしい。それで、、また前みたいに仲良くできないかな…?」
緊張して少し声が震えた。ここに来て私が一番伝えたかったことだ。すごくワガママを言っているのは分かっている。今まで散々突き放しておいて、突然前みたいに仲良くしたいなんて。
「前みたいにっていうのは、」
「昔みたいに、、私が敬斗を避け始める前みたいに仲良くしたい……すごく自分勝手なのはわかってるけど」
もしかしたら昔みたいに仲良くするのは難しいのかもしれない。
言った後、はっと思い出した。年齢的にも私たちはもう高校生だ。敬斗はイケメンだし私が知らないだけで彼女がいるかもしれない。いや、今いなくてもきっといずれはできる。その時、幼馴染という私との関係はきっと彼にとって重荷になってしまう…
ズキッ…
心臓がぎゅっと、絞られたように痛んだ。なんというかモヤモヤする。何に対してかは分からないが。
「僕は、リノちゃんが思ってるほど大人じゃないし、もしかしたらリノちゃんがうざいって思うぐらいに話しかけちゃうかもしれないけどいいの?」
うざいって思うほどに話しかけるなんて冗談、、と思ったが彼の顔は真剣だった。あまりに真剣な表情に俯いて彼の目から顔を逸らしてしまう。
でもちゃんと向き合いたいから、私も思っていることをまっすぐ伝える。
「私はいろんな人と仲良くしたいし、勉強も、部活も、学級委員の仕事も頑張りたいと思ってる。だから敬斗と一緒にいる時間は短いかもしれないけど、たった1日敬斗がいないだけで寂しかった………外で待ってるときも怒ってるかなって、もう話してくれないかもって思ったら怖かった」
「うん」
「いつもそばにいてくれることが、それが当たり前になってたけど本当はそうじゃなかったんだって気づけた。もし、敬斗が私のことをどうでもいいと思ったらすぐに今の関係性はなくなるくらい脆かったんだって、そう考えたら寂しかった」
「うん」
「ずっと避けてきたけど、ホントは敬斗のことが大切で…、、好きだったんだって気づけた、だから」
「うん」
「私と…、」
「うん」
ガバっと頭を下げて手を差し出す。
「友達になってください!!」
「うん!……え…、?」
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