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第1話 クラスメイト
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高校1年生の6月。ほとんどの生徒が半袖の制服を着ている中、長袖のシャツを着ている生徒がいる。
「岩ちゃんさぁ、長袖暑くない?」
クラスの一軍と思しき生徒が腕まくりをしている。
「教室にはエアコンがあるからね」
「さすが学級委員!真面目な回答(笑)」
岩ちゃんと呼ばれこのなんとも返答がしにくい微妙な返事をした人こそ私、岩本梨乃である。岩ちゃんと呼ばれるのは苗字が岩本だからという安易なあだ名だ。まぁ、あだ名を付けてもらえるだけ嬉しい。
ごく普通な生徒だが、それなりにクラスメイトと上手くやっているのは、学級委員をしているおかげだと思う。
「リノちゃん堅苦しいよ笑」
学校内で数少ない私のことを名前で呼ぶこの男はいつもキラキラスマイルでともに学級委員をしている伊東敬斗。彼は一応副学級委員という立場だ。透明感のあるつるつるな肌に、さらさらな茶髪。目はぱっちりとしていてさらには高身長。顔良し、性格良し、成績も優秀という何でもできる男だ。しょっちゅう女の子に呼び出されては告白されている。まだ、入学して3ヶ月なのに…。
「伊東君!うちらと帰ろー!」
(あ、クラスの一軍女子に呼ばれた)
「リノちゃんまた明日」
彼は爽やかな笑顔を振りまきながら呼ばれた方へと行ってしまった。6限は体育だったはずなのに、彼は何故こんなにもキラキラしているのか。私なんか汗で前髪は張り付き疲れ果てている。
まぁ、友達は少なめだが、いつも一緒にいる親友がいる。
「梨乃ちゃん…隣座っていい…?」
控えめに私の隣に座ったこの子こそ、私の親友鈴木麻衣である。すごく静かで、学校内でも私以外の誰かと話しているのをほとんど見たことがない。普段は眼鏡をかけていて折角可愛いのにもったいないな、なんて思う。
まぁ、そんな静かな彼女が私に話しかけてきたということは"例の話"があるのだろう。
皆、帰ってしまい私達二人だけが残された茜色に染まった教室の中で彼女はスッとスマホを差し出すと悶絶するようにうなった。
「このユノ君めっちゃ可愛くない…!?」
スマホの中にはファンクラブ会員限定の写真が映されている。真っ白な肌に少しウェーブのかかった髪。ベレー帽を可愛く被っている彼は日本での知名度は低いものの韓国では人気のあるアイドルグループSMTiのユノ君だ。
そう、彼女は俗に言うアイドルオタクなのだ。彼女と私が仲良くなったときは知らなかったが、LIVEのために韓国まで駆けつけるほどのファンらしい。私も彼女に連れられてLIVEに行ったことがあるが、確かにイケメンだった。イケメンというより尊い生き物がそこに存在していた感じだ。
「今度のサイン会一緒に行けなくてごめん」
「いやいや!こんなオタクの話に付き合ってくれてありがとね!?梨乃ちゃんだけだよー!こんなに自分をさらけ出せるの!!というか、運動も勉強も何でも出来ちゃう凄い人とこんなふうに喋れてるのが奇跡」
皆、私のことを何でもできる人だと言う。だから逆に話しかけるのを躊躇ってしまうと言われたこともある。まぁ、今は麻衣ちゃんと仲良くできてるから普通に楽しいし不満はない。
「しかも、美人だし何で私なんかと仲良くしてくれるのか不思議なくらい!」
「麻衣ちゃんも可愛いよ」
本当に私と話しているときの麻衣ちゃん(というより推しの話をしているとき)はぴょこぴょこしていて可愛い。皆の前でもこうしてればいいのに。私と違って愛嬌があるんだから。学校外ではすごくおしゃべりなのだが…。
ふと、時計を見ると17:30を指していた。
「梨乃ちゃん、そろそろ帰ろっか!」
「ちょっと待って、私職員室に用事あるから先に下駄箱で行っててもらっていい?ごめんね!」
麻衣ちゃんが教室をでて誰もいなくなった教室。夕日が差し込む窓の前に立てば影が一つ、ではない。
もう一人いる。
「伊東君、、」
「リノちゃん、びっくりした??」
この人は何を言ってるんだろうか。
びっくりしたというよりは
「ストーキング行為は犯罪だよ」
「岩ちゃんさぁ、長袖暑くない?」
クラスの一軍と思しき生徒が腕まくりをしている。
「教室にはエアコンがあるからね」
「さすが学級委員!真面目な回答(笑)」
岩ちゃんと呼ばれこのなんとも返答がしにくい微妙な返事をした人こそ私、岩本梨乃である。岩ちゃんと呼ばれるのは苗字が岩本だからという安易なあだ名だ。まぁ、あだ名を付けてもらえるだけ嬉しい。
ごく普通な生徒だが、それなりにクラスメイトと上手くやっているのは、学級委員をしているおかげだと思う。
「リノちゃん堅苦しいよ笑」
学校内で数少ない私のことを名前で呼ぶこの男はいつもキラキラスマイルでともに学級委員をしている伊東敬斗。彼は一応副学級委員という立場だ。透明感のあるつるつるな肌に、さらさらな茶髪。目はぱっちりとしていてさらには高身長。顔良し、性格良し、成績も優秀という何でもできる男だ。しょっちゅう女の子に呼び出されては告白されている。まだ、入学して3ヶ月なのに…。
「伊東君!うちらと帰ろー!」
(あ、クラスの一軍女子に呼ばれた)
「リノちゃんまた明日」
彼は爽やかな笑顔を振りまきながら呼ばれた方へと行ってしまった。6限は体育だったはずなのに、彼は何故こんなにもキラキラしているのか。私なんか汗で前髪は張り付き疲れ果てている。
まぁ、友達は少なめだが、いつも一緒にいる親友がいる。
「梨乃ちゃん…隣座っていい…?」
控えめに私の隣に座ったこの子こそ、私の親友鈴木麻衣である。すごく静かで、学校内でも私以外の誰かと話しているのをほとんど見たことがない。普段は眼鏡をかけていて折角可愛いのにもったいないな、なんて思う。
まぁ、そんな静かな彼女が私に話しかけてきたということは"例の話"があるのだろう。
皆、帰ってしまい私達二人だけが残された茜色に染まった教室の中で彼女はスッとスマホを差し出すと悶絶するようにうなった。
「このユノ君めっちゃ可愛くない…!?」
スマホの中にはファンクラブ会員限定の写真が映されている。真っ白な肌に少しウェーブのかかった髪。ベレー帽を可愛く被っている彼は日本での知名度は低いものの韓国では人気のあるアイドルグループSMTiのユノ君だ。
そう、彼女は俗に言うアイドルオタクなのだ。彼女と私が仲良くなったときは知らなかったが、LIVEのために韓国まで駆けつけるほどのファンらしい。私も彼女に連れられてLIVEに行ったことがあるが、確かにイケメンだった。イケメンというより尊い生き物がそこに存在していた感じだ。
「今度のサイン会一緒に行けなくてごめん」
「いやいや!こんなオタクの話に付き合ってくれてありがとね!?梨乃ちゃんだけだよー!こんなに自分をさらけ出せるの!!というか、運動も勉強も何でも出来ちゃう凄い人とこんなふうに喋れてるのが奇跡」
皆、私のことを何でもできる人だと言う。だから逆に話しかけるのを躊躇ってしまうと言われたこともある。まぁ、今は麻衣ちゃんと仲良くできてるから普通に楽しいし不満はない。
「しかも、美人だし何で私なんかと仲良くしてくれるのか不思議なくらい!」
「麻衣ちゃんも可愛いよ」
本当に私と話しているときの麻衣ちゃん(というより推しの話をしているとき)はぴょこぴょこしていて可愛い。皆の前でもこうしてればいいのに。私と違って愛嬌があるんだから。学校外ではすごくおしゃべりなのだが…。
ふと、時計を見ると17:30を指していた。
「梨乃ちゃん、そろそろ帰ろっか!」
「ちょっと待って、私職員室に用事あるから先に下駄箱で行っててもらっていい?ごめんね!」
麻衣ちゃんが教室をでて誰もいなくなった教室。夕日が差し込む窓の前に立てば影が一つ、ではない。
もう一人いる。
「伊東君、、」
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この人は何を言ってるんだろうか。
びっくりしたというよりは
「ストーキング行為は犯罪だよ」
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