愛の奴隷にしてください。【R18】

仲村來夢

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ご主人様は突然に〜夜の世界編〜5

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その日あたしは真悠くんとそのホテルに泊まった。

美香ごめん…

一緒に眠ったけど、あたしはすぐに目が覚めてしまい、真悠くんの寝顔をずっと見ていた。

本当に、作り物みたいに綺麗な顔…見てるだけでうっとりする。思わず写真を撮ってしまいそうな衝動に駆られた。撮らなかったけど。

「真悠くん、そろそろ出ないと」

「…ん…」

「おはよう」

「おはよ」

真悠くんが寝ぼけながらあたしをぎゅっと抱きしめた。

「…なぁ、真悠くん」

「ん?」

「何であたしとこんなことしたん?枕営業したって意味ないやん…」

「ん?営業とかそういうの何も考えてない。あゆ帰っちゃうし、最後に思い出作りたかったから」

「そっか…」

思い出作るほどの深い関係でもないんだけどな。まぁセックスしたことで深い関係にはなったのかな、一応。

***

「首絞められた!?ありえへんねんけど、怖すぎ!!あたしやったら逃げるわ!!」

元々泊まっていたホテルに戻り美香に謝った。何があったか…まぁ大体わかるからどんなことしたんか教えてくれたら許す!と言われて正直に話すと、美香はドン引きしていた。

まぁ、こう思うのが普通だよな…

「あゆちゃんドMなんやな」

「え…どうやろ、そんなん考えたことなかった」

「ドMやわ!あたし首絞められるとか絶対無理。下手したら窒息死やん」

けど、めちゃくちゃ気持ちよかったよ。気持ちよすぎて死んじゃうくらい。

…なんて言ったら美香に更に引かれそうなので黙っておいた。

その日、はとバス乗ろー!ベタで面白いやん!と美香に言われ、はとバスツアーに参加したり買い物したり、新幹線の時間いっぱいまで遊んで、帰りの新幹線では2人とも爆睡だった。

楽しい旅行になったな。…真悠くん、また会いたいな…

真悠くんが関西でホストをしていたら違ったのかもしれない。近いところにいればお店に行けばすぐ会えるし、嫌なところだっていっぱい見えるだろうからすぐ嫌いになれるかもしれない。

忘れられないかも…どうしたらいいんだろう…

大阪に帰ってきてからも、真悠くんがずっと忘れられなかった。というより真悠くんのセックスが忘れられなかった。

あれから何人かとセックスしてみたけどあの時ほどの快感は得られなかったし相手に首絞めて、って言ったら「え…死ぬやん、何言ってんの?」と美香同様ドン引きされて、それ以来会ってくれなくなった人もいた。

中には渋々やってくれた人もいたけど喉までぎゅって絞められて咳き込んじゃって、ごめん…やっぱり止めてください。なんてこっちから言っちゃう申し訳ない感じになってしまったり。

当時のあたしは、世の中には首を絞めるのが上手い人と下手な人とドン引きして絞めること自体しない人がいるんだな…なんてバカみたいなことばっかり考えてしまっていた。後者2つの方が普通なのに。

自分からは連絡しないけど、真悠くんに呼ばれたらまた会いに行っちゃうだろうな…

そしてその日は半年後に訪れた。

仕事辞めて暇してるから会おうよ、なんて連絡がきて。元々東京に住んでいたけど、仕事を辞めてから実家の横浜に戻ったらしくあたしは横浜に行くことにした。ちょうど日本初出店の服屋が原宿に出来て、行きたいって思ってたし。東京にも付き合ってね、ってお願いしたら快く引き受けてくれた。

休みの日の前日にアパレルの仕事を前もってお願いして早番で上がらせてもらい、東京行きのほぼ最終の新幹線で真悠くんに会いに行った。

「あゆー」

横浜駅の改札で待っていた真悠くんは、あたしをすぐ見つけて手を振ってくれた。

半年経っても覚えてるものなんだ…とちょっと感動した。

「よく来たねっ、ありがとー」

真悠くんは人目を憚らず、改札から出てきたあたしを抱きしめた。

「ちょっと真悠くん…皆見てる」

「ああ、ごめんごめん。ご飯食べにいこっか」

真悠くんに連れられ、駅の近くの居酒屋でご飯を食べた。ホストクラブじゃなくて、居酒屋で真悠くんと乾杯するのって変な感じ…

「いつ仕事辞めたん?」

「1ヶ月くらい前ー。疲れちゃって」

「そっか。これからどうすんの?」

「んー…やだけどもうちょっとしたらまたホストに戻る…」

「へー、嫌なんや」

「嫌だよー、俺ほんとは人見知りだもん。でもホストしかしたことないしホストしか出来ないよー…18から今までの5年間それしかやってないから職歴無いし」

「あー…そっか真悠くんあたしの2個上やったっけ。けっこう積んでんな真悠くん」

「はっきり言わないでよー!」

かっこよさは相変わらずだけど、真悠くんは半年前に会った時より雰囲気が柔らかく…というよりちょっと弱々しくなった気がした。

「もうヒモでもしたら?真悠くんならいけるやろ」

「いやーでも自分でお金稼がないとね…まぁホストなんてヒモみたいなもんだけどさ」

「まーでも働こうとするだけ偉いやん」

「うーん、まぁ養育費払わないとだし」

…養育費。ん?

「え?真悠くん子供いんの?」

「認知してるだけで結婚歴無いし子供にもその母親にも全然会ってないけどねー」

「真悠くん…一応あたし客やで、ぶっちゃけ過ぎやろ…」

「だってほんとだもん、ほら。っていうか俺あゆのことお客さんっていう感覚ないし」

真悠くんはあたしに子供のエコー写真まで見せてきた。ぶっちゃけ過ぎのぶっ飛び過ぎ…

ここまで何でも話してくるとなると、確かにこの人あたしのこと客だと思ってないのかもな…それからあたしに恋愛感情も一切無いんだな。まぁこっちも無いからいいけど。

食事を済ませ、あたしと真悠くんは街をぶらぶら歩いた。

恋人でもないのに、恋人同士みたいに肩を寄せ合って手を繋いで。お互い恋愛感情もないのにな。

「ところであゆホテルとか取ってるんだっけ?」

「ううん。なんか適当に」

「そっか。じゃ一緒に泊まろっか」

「うん」

「こっち。いっぱいあるからどっか絶対空いてるよ」

半年前と同じ様に真悠くんの後をついていくと、人気が無いながらも煌々とした灯りがたくさん見えてきた。

…あの時のことを思い出して、胸がどきどきしてきた。真悠くんはどんなこと考えてるんだろう。
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