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彼に隠れて彼女の彼と4

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その日はというと、紗夜と翼くんが朝にようやく起きてきて、二人はあたし達が昨日何をしていたのか、全く気付いていない様子だった。

伊織くん曰く紗夜は酔っ払って寝ると全く起きないそうで、翼くんも一度寝ると起きない。

けれどさすがに昨日のはやばいんじゃないかな、と思ったけれどひとまず大丈夫そうだった。まあバレたら終わりだよね…

めっちゃ疲れてたとこに酒入っちゃってすぐ寝ちゃった。ごめんな。

紗夜も酔っ払いすぎて変なこと言ってたかな?皆ごめんなさい!

翼くんと紗夜が謝ってきて、ものすごく申し訳ない気持ちだった。そんなの可愛いものなのに、そんなことで謝らないで、って。あたしと伊織くんなんて昨日…

帰る前、伊織くんが皆のいるところであたしの連絡先を自然に聞いてきた。

「紗夜が酔い潰れてたら杏奈ちゃんに連絡させて。俺がいない時に昨日みたいになって紗夜と連絡つかなくなったら怖いし」

「えっ、でも…」

「伊織たん、紗夜大丈夫だよぉ!」

「大丈夫じゃねぇだろっ。昨日みたいになられたら心配なの。何回もなってるだろ、飲みに行くの禁止にするぞ」

「それはやだぁ!…でも杏奈もそんなのめんどくさいじゃん、紗夜と飲みに行く度に伊織たんから毎回連絡来てさ」

「毎回しないし。っていうかお前が自分で酒の量調整すればいいだけだろ」

「気付いたら酔ってるんだもん…」

「それが一番やばいから」

「うーん…杏奈が嫌じゃないならそうしといた方がいいのかもだけど…でも…」

「あたしは嫌じゃないよ、必要な時しか連絡取り合わないんだし…翼くん、どう思う?」

「念の為連絡先交換しといたら?杏奈が嫌じゃないなら。杏奈と伊織の間に何かあるってわけでもないんだし」

そう言って翼くんは笑った。

…あたしのこと信用してくれてるんだね、翼くん…。伊織くんのことも信用してるからそう言うんだよね。

なのにあたしは昨日…。

ものすごく胸が痛む。

そんなこんなであたし達は連絡先を交換することになったけれど…

紗夜が心配なのはわかる。でもそれだけじゃない気がした。

次は二人っきりの場所で昨日みたいな事をしようとしている、ということなのかな…なんて思ってしまう。

いや、考えすぎかもしれない。実際に紗夜が酔い潰れていたのは事実だし、彼氏からしたら心配だし…

変なことを考えるのはやめよう。

そう思っていたけれど、伊織くんから連絡があった時にあたしの考える通りだったことがわかった。

“二人で会おう“って…

やっぱりそうなんだ。断らなきゃ。もう翼くんと紗夜を裏切っちゃだめ。

けれどそれ以上にあの日のことを思い出して、また伊織くんと会いたくなった。

ごめんね…翼くん、紗夜…

***

ホテルの中で待ち合わせをして部屋で伊織くんを待っている間色んなことを考えた。

伊織くん残業多いみたいだし、ちゃんと来てくれるかな…そんな不安もありつつ、それ以上にあの日を思い出してどきどきしていた。

二人きりだったらきっとあんなものじゃない。あたしだってあの日よりもっともっと乱れてしまうだろう…

でも、でもやっぱり…だめだよね、こんなの…何百歩譲ってこの前はお酒の勢いってことにしたとしても、今は違う。お酒も飲んでないし、わざわざ待ち合わせして、しかもホテルなんて誤魔化しようのない場所で会おうとしてるし…

ここまで来たけど、こういうのやっぱりだめだよって伊織くんに話してわかってもらえないかな。あたしだって伊織くんだって付き合っている相手がいて、その二人をお互いが知っているのだから…

そう思うのだけれど、伊織くんから「今から行くね」という連絡が来た途端どきどきして、この前のことを思い出して体が疼いてきた。

あたし、こんなに性欲の強い女だっけ。いや、性欲が強いことは元々わかっていたけれど自分の思う以上に淫乱な女なのかもしれない…

とにかくわかっていることは、「最低」ということ…

「ごめんお待たせ!」

「伊織くんっ…お疲れ様」

「ありがと、待っててくれて」

部屋に入ってくるなり伊織くんはあたしを抱きしめてキスをしてきて、つい体を押しのけようとしてしまった。

「どうしたの」

「いや、ごめんなさいっ…」

「俺の事待ってる間に翼と紗夜に悪いなって思ってきた?やっぱりやめよう、って」

「えっと…」

そんなふうに冷静になる時間はあった。あの日はお酒も入っていたから成り行きだったけれど今日は違う。いいのかな…いや、いいはずない…でも…と心の中で葛藤していた。

「ちょっと確かめていい?」

「え、ちょっとっ…」

伊織くんがあたしのスカートをたくし上げ、下着の中に手を入れた。

「何するのっ…あっ」

「…やめようって思ってる人間がこんなびちょびちょにしないよな。パンツまで濡らしてるじゃん」

伊織くんが意地悪そうに笑う。

あたしの中は伊織くんが言う通り下着まで汚れてしまう程濡れていた。

緊張する以上に、あの日を思い出して興奮する自分がいて…自分でもわかっていたけれど知らないふりをしていた。

「そんなっ…ことっ…ひゃうっ」

伊織くんの指が奥まで入ってきて、あたしの中をかき混ぜた。

「待ってっ、伊織くんっ、あ!」

「俺とエッチしたくてたまんなかったの?」

「あ、んやぁっ」

「俺も杏奈とやりたくてたまんなかったよ」

「あ、そんなに動かしちゃいや…」

「今日はゆっくり可愛がってあげる。杏奈、ベッドいこ」

伊織くんがあたしをベッドに押し倒し、あたしに跨りながらネクタイをほどいた。
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