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雨に傘1
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「あ、いた。帰るぞ」
突然降り出した雨に、傘のないあたしは公園の屋根があるベンチに座っていた。
急いで雨宿りをしにここまで来たけれど、薄着で出てきてしまった上に、雨に濡れていて肌寒い…。9月もまだまだ暑いな、なんて思っていたのに急に今日になって気温が下がるなんて。夜になるにつれ余計に寒い…
そんな格好な上に携帯も財布も持たず出てきてしまったあたしを、恋人の拓真が探しに来てそしてすぐ見つけられた。
「ほら。風邪引くぞ」
「…先帰ってて」
あたしの言葉に拓真が大きくため息をついた。
「お前なぁ。ガキじゃないんだからケンカして出て行くのやめろよ」
…だって、一緒にいたくなかったから。あたしの気持ちわかってくれないんだもの…
そういうのは言っちゃダメなこと、あたしにもわかる。だからって黙ってちゃダメなこともわかるけど、帰りたいような帰りたくないような微妙な心境のあたしは言葉が出なかった。
きっかけは些細なことだった。ちょっとした言い合いになって、だんだんあたしの気持ちがヒートアップしてしまって普段思ってることや不満を色々言ってしまった。
忙しくて1ヶ月に一度程しか会えないことに不満なあたしが拓真に寂しいとか、もっと会いたいとか、ちょっとでも会えないの?浮気してるの…?そんなことばっかり言ってしまう。拓真はそれに冷静に言葉を返すだけ。
好きだよ、とか言ってくれたらちょっとは安心出来るのに…。あたしはいつも気持ちを伝えているのに。
そういう温度差に、言えば言うほど自分が恥ずかしくなってバカらしくなって、そこに居ていられなくなって、家を出て行ってしまう。
めんどくさい女だって、自分でも十分わかってる。このままじゃ嫌われるのも知ってる。でも拓真が好きで好きで、自分の気持ちがコントロール出来なくなってしまう…。
「なぁーって。瑠衣帰ろ」
「いいから先帰っててよ…別にあたしがどうなってもいいじゃん」
本当はあたしのことあんまり好きじゃないんでしょ?別れるのも面倒だから、あまり会わないようにして、自然消滅させたいとか思ってるんでしょ?
だから、そう言った。
「いい加減にしろよ!」
拓真が声を荒げ、驚いてあたしは体が縮こまった。普段から口調が優しいわけではないけれど、こんな風に声を荒らげて怒る拓真は初めてだ…
「…」
「…お前が心配だからこうやって来てるんだけど。どうなってもいいわけないし」
その言葉を聞いてあたしは拓真の差してくれている傘の中にようやく入った。バツが悪くなっているあたしの頭をくしゃっと撫でて、拓真が歩き出した。
無言でとぼとぼ歩いていたけど、傘が飛んでしまうほど風が強くなり、雨がさっきより激しく降り始めた。
「うわ、やば。走るぞ」
拓真に手を取られ、小走りで拓真の家に帰って来た。
「ほら、こっち来い」
拓真があたしを洗面所へ呼び寄せ、タオルであたしの髪の毛を拭いた。
「…ありがとう」
「お湯張ってるから風呂入れよ。瑠衣はすぐ風邪引くんだから」
わざわざお風呂の用意してくれてたんだ。さっきの拓真の口調はびっくりしたけれどあたしが悪いのはわかりきっているし、それなのにこんな優しいことしてくれるんだね…。
出て行った自分が心底恥ずかしくなって、拓真のことがもっと好きになった。毎回、そう。
「…拓真と、一緒に入りたい…」
「甘えんなよ」
後ろから抱きついたあたしの手を拓真が振りほどいた。
「…はい」
そうだよね。迷惑かけた上にごめんなさいもまだ言えてないんだから。
「嘘だよ。仕方ねーなー脱がせてやるよ」
「…それはいい」
「俺に甘えたいんじゃねーの?」
そう言って拓真はあたしを抱き寄せて、着ていたブラウスのボタンを外し始めた。
「恥ずかしいからいいってば…」
「何今更。いつも見てるだろ」
ボタンが全部外されて、ブラウスを取り払われた。履いていたスカートもファスナーを降ろされ、すとんと床に落ちてあたし一人だけ下着になった。
「拓真も脱いでよ…」
「瑠衣脱がせてから脱ぐから。にしても相変わらず細いなーだからすぐ風邪引くんだよ」
「別に普通だもん」
「普通かなぁ腰とかめっちゃ細いよ」
そう言って拓真は後ろからその体型を確かめる様にあたしの腰を掴んだ。
「もう、やめてよ…」
なんか…拓真に腰を掴まれてるとセックスしてる時の…後ろからされてる時のこと思い出しちゃって、そんなこと考えてしまう自分が無性に恥ずかしくなった。久々に会ったから一ヶ月以上してないし…って、盛りすぎでしょあたし…
「何顔赤くしてんの?」
「してないしっ…」
「あ。お前やってる時のこと思い出したんだろ」
「何言って…」
「はいはい。別にいいじゃん思い出しても」
「ちがう…もん」
拓真はあたしの表情の変化を読み取るのが上手い。ケンカになりそうになっていらいらし始めたりするのもすぐ感知して宥めてくる。それでもあたしの気持ちが落ち着かない時があって、それが今日だった。
「そうやって強がるのすっげーめんどくさいけど可愛いって思う俺はバカだよなー」
そう言って笑って拓真はあたしの頰にキスをした。…可愛いって言った?普段はそんなこと言わないのに。
びっくりして、振り向くと次は唇にキスをされた。そのまま舌が入ってくる。何で急に…
突然降り出した雨に、傘のないあたしは公園の屋根があるベンチに座っていた。
急いで雨宿りをしにここまで来たけれど、薄着で出てきてしまった上に、雨に濡れていて肌寒い…。9月もまだまだ暑いな、なんて思っていたのに急に今日になって気温が下がるなんて。夜になるにつれ余計に寒い…
そんな格好な上に携帯も財布も持たず出てきてしまったあたしを、恋人の拓真が探しに来てそしてすぐ見つけられた。
「ほら。風邪引くぞ」
「…先帰ってて」
あたしの言葉に拓真が大きくため息をついた。
「お前なぁ。ガキじゃないんだからケンカして出て行くのやめろよ」
…だって、一緒にいたくなかったから。あたしの気持ちわかってくれないんだもの…
そういうのは言っちゃダメなこと、あたしにもわかる。だからって黙ってちゃダメなこともわかるけど、帰りたいような帰りたくないような微妙な心境のあたしは言葉が出なかった。
きっかけは些細なことだった。ちょっとした言い合いになって、だんだんあたしの気持ちがヒートアップしてしまって普段思ってることや不満を色々言ってしまった。
忙しくて1ヶ月に一度程しか会えないことに不満なあたしが拓真に寂しいとか、もっと会いたいとか、ちょっとでも会えないの?浮気してるの…?そんなことばっかり言ってしまう。拓真はそれに冷静に言葉を返すだけ。
好きだよ、とか言ってくれたらちょっとは安心出来るのに…。あたしはいつも気持ちを伝えているのに。
そういう温度差に、言えば言うほど自分が恥ずかしくなってバカらしくなって、そこに居ていられなくなって、家を出て行ってしまう。
めんどくさい女だって、自分でも十分わかってる。このままじゃ嫌われるのも知ってる。でも拓真が好きで好きで、自分の気持ちがコントロール出来なくなってしまう…。
「なぁーって。瑠衣帰ろ」
「いいから先帰っててよ…別にあたしがどうなってもいいじゃん」
本当はあたしのことあんまり好きじゃないんでしょ?別れるのも面倒だから、あまり会わないようにして、自然消滅させたいとか思ってるんでしょ?
だから、そう言った。
「いい加減にしろよ!」
拓真が声を荒げ、驚いてあたしは体が縮こまった。普段から口調が優しいわけではないけれど、こんな風に声を荒らげて怒る拓真は初めてだ…
「…」
「…お前が心配だからこうやって来てるんだけど。どうなってもいいわけないし」
その言葉を聞いてあたしは拓真の差してくれている傘の中にようやく入った。バツが悪くなっているあたしの頭をくしゃっと撫でて、拓真が歩き出した。
無言でとぼとぼ歩いていたけど、傘が飛んでしまうほど風が強くなり、雨がさっきより激しく降り始めた。
「うわ、やば。走るぞ」
拓真に手を取られ、小走りで拓真の家に帰って来た。
「ほら、こっち来い」
拓真があたしを洗面所へ呼び寄せ、タオルであたしの髪の毛を拭いた。
「…ありがとう」
「お湯張ってるから風呂入れよ。瑠衣はすぐ風邪引くんだから」
わざわざお風呂の用意してくれてたんだ。さっきの拓真の口調はびっくりしたけれどあたしが悪いのはわかりきっているし、それなのにこんな優しいことしてくれるんだね…。
出て行った自分が心底恥ずかしくなって、拓真のことがもっと好きになった。毎回、そう。
「…拓真と、一緒に入りたい…」
「甘えんなよ」
後ろから抱きついたあたしの手を拓真が振りほどいた。
「…はい」
そうだよね。迷惑かけた上にごめんなさいもまだ言えてないんだから。
「嘘だよ。仕方ねーなー脱がせてやるよ」
「…それはいい」
「俺に甘えたいんじゃねーの?」
そう言って拓真はあたしを抱き寄せて、着ていたブラウスのボタンを外し始めた。
「恥ずかしいからいいってば…」
「何今更。いつも見てるだろ」
ボタンが全部外されて、ブラウスを取り払われた。履いていたスカートもファスナーを降ろされ、すとんと床に落ちてあたし一人だけ下着になった。
「拓真も脱いでよ…」
「瑠衣脱がせてから脱ぐから。にしても相変わらず細いなーだからすぐ風邪引くんだよ」
「別に普通だもん」
「普通かなぁ腰とかめっちゃ細いよ」
そう言って拓真は後ろからその体型を確かめる様にあたしの腰を掴んだ。
「もう、やめてよ…」
なんか…拓真に腰を掴まれてるとセックスしてる時の…後ろからされてる時のこと思い出しちゃって、そんなこと考えてしまう自分が無性に恥ずかしくなった。久々に会ったから一ヶ月以上してないし…って、盛りすぎでしょあたし…
「何顔赤くしてんの?」
「してないしっ…」
「あ。お前やってる時のこと思い出したんだろ」
「何言って…」
「はいはい。別にいいじゃん思い出しても」
「ちがう…もん」
拓真はあたしの表情の変化を読み取るのが上手い。ケンカになりそうになっていらいらし始めたりするのもすぐ感知して宥めてくる。それでもあたしの気持ちが落ち着かない時があって、それが今日だった。
「そうやって強がるのすっげーめんどくさいけど可愛いって思う俺はバカだよなー」
そう言って笑って拓真はあたしの頰にキスをした。…可愛いって言った?普段はそんなこと言わないのに。
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