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ずっと一緒に
ご挨拶
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ーあんたねー…離婚したことぐらいすぐ話しなさいよ
「ごめんなさい…色々あって」
ーまぁ、知ってたけどね
「そうなの!?」
ー優斗くんが昨日家に来たの、すみませんでしたって。連絡いってませんでしたかってびっくりしてたわよ。だったら未央から話すまで知らないふりしておいて下さいって言われたけど
「そっか…」
引越しの翌日のお昼間、離婚したことと会って欲しい相手がいることを伝える為にお母さんに電話をした。本当は会いに行くべきだけれど突然の離婚の報告に加えて悠登まで連れていったら、いくらあっさりした性格のお母さんも驚くだろう。だから前もって電話で話をしたかったのだけれど、離婚をしたことを既に知られていたとは…
…優斗、あの後お母さんに会いに行ったんだ。
ーまぁ、わざわざ遠くから来てくれたから無理やり家に上がってもらってお茶出したんだけど
「そうなの?」
ー理由も自分から話してきてね、僕が全て悪かったんですって泣くからあたしもどうしたらいいかわからなくてあんまり話もできなくて
…自分の娘より先に娘の元夫から離婚の報告を受けたお母さんはどんな気持ちになっただろう。そう思うとすごく申し訳なくなった。
「お母さん…ごめんなさい」
ーまぁ、未央のことだから佳江さんのことも気にかかってなかなか離婚出来なかったんでしょ。…理由が理由だし未央から何となく聞いてたからなんで離婚したの?とか言うつもりもないわよ。…でも何かあったならすぐ話しなさいね、唯一の家族なんだから
「はい…。あの、早速なんですが」
ーどうしたの?
「…会って欲しい人がいます」
ーええっ?ちょっと、誰よそれ
「悠登くんっていう結婚を考えている相手です」
ーあんたその名前好きなのねー!
お母さんが電話の向こうで笑っている。
誤解を解いておくために決して不貞は働いていないこと、離婚をすることが決まって会社の後輩である悠登に突然プロポーズをされ、受け入れて昨日引っ越したことまで伝えたけれどさすがのお母さんも驚いていたし、笑っていてもムッとしていることが電話口から伝わってきた。
…当然だ。あたしが動くのはあたしの勝手だけれど、一人娘が何も相談なしに離婚して、更に他の男の人と住み始めているなんて気分が悪いに決まっている。
「来週、悠登くんを連れてそっちに帰りたいんだけど…」
ーもうね、突然過ぎるわよ本当に。…まぁ、わかりました。じゃあ来週ね
電話が切れた。…改めてお母さんに心底申し訳ない気持ちになった。
来週、目を見て謝って、ちゃんとお母さんに再婚を認めてもらうんだ。頑張らなきゃ。悠登が一緒にいてくれるんだから怖くない。大丈夫。
「未央、電話終わった?」
「うん」
お風呂から上がってきた悠登が頭からタオルを被り、上半身裸にスウェットのズボン姿であたしに声をかけた。
悠登の、ほぼ金髪に近いアッシュの髪色は濡れていると少し暗めに見える。ブリーチをした上にカラーを被せている様だけれど、アッシュのカラーというのは色が落ちやすいらしく割と直ぐに派手な金髪に戻ってしまう。
本当に、悠登は今まで周りにいなかったタイプだよな…優斗は社会人だからというのもあれど、黒髪しか見たことが無かったし。
職業柄ではあるけれど悠登の見た目は派手だ。明るい髪色に大きめのアクセサリー…それがすごく似合っているからいいなと思うけれど。まだ歳も若いし。
あたしは28歳、悠登は21歳。けっこう年齢差があるけどいいのかな、なんて思う時もある。
「あっつー。お茶飲も」
冷蔵庫を開ける音がする。
…自分が傍にいると離婚の話とかしにくいだろうから、と悠登はわざわざ長風呂をして離れていてくれた。
…まぁ、昨日寝る前も今日の朝もしちゃったから、汗をかかせてしまったというのもあるのだけれど…
悠登から求めてくれることが多いけれど、あたしから求めれば悠登は絶対に応じてくれる。
いっぱい抱きしめてくれて、キスをしてくれて気持ちいいところを指で舌で触れてくれるから、あたしもいっぱい気持ちよくなって欲しくて色々頑張るのだけれど悠登には敵わない…と思う。
本当に、結構年下なのに何でこんなに上手いのかな。激しいのも優しいのも全部気持ちよくて、あたしはいつもいっぱいいってしまう。
悠登が大好きだから、というのは大前提だ。愛する人と触れ合えるのは多幸感と快感しかない。だから求めてしまうのだけれどあたしはいつからこんなに性欲が強くなってしまったのか…
さっきまでお母さんと電話で真剣な話をしてたし、これから悠登とも真剣な話をするのに、悠登の細身で筋肉質な体を見るとまた求めたくなってしまう…変態だ、あたし。
首を横に振って、自分の頭から取り除くように努めた。
「悠登、席外してくれてありがと」
「おー。どうだった?」
「…ちょっと怒ってた」
「だろうね」
「悠登のお母さんとお父さんはどう思うかなぁ、挨拶しに行かなきゃ」
「え?もう話したよ」
「そうなの!?いつの間に!?」
「未央と一緒に住むって決まった時かなー。」
「あたしのこと、話してくれたの…?色々」
「色々?バツイチの話とかのことか。全部した」
「…何か仰ってた?」
「別に。基本放任主義だし、っていうか喜んでた」
「そっか、嬉しい」
「例え何か言われたとしても関係ないし。心配するなって!俺のとこは大丈夫だから」
「ありがとう」
「未央のとこはさすがに緊張するけどな。でも大丈夫だよ、俺は未央と幸せになるって決めたんだから。未央もそうだよね?」
「もちろん」
「じゃ再来週は俺の家ね」
悠登があたしをぎゅっと抱きしめてくれた。…こうされると気持ちがほぐれて、落ち着いていく。
再婚の為のワンステップ目…緊張するけれど大丈夫。きっと上手くいく。
「ごめんなさい…色々あって」
ーまぁ、知ってたけどね
「そうなの!?」
ー優斗くんが昨日家に来たの、すみませんでしたって。連絡いってませんでしたかってびっくりしてたわよ。だったら未央から話すまで知らないふりしておいて下さいって言われたけど
「そっか…」
引越しの翌日のお昼間、離婚したことと会って欲しい相手がいることを伝える為にお母さんに電話をした。本当は会いに行くべきだけれど突然の離婚の報告に加えて悠登まで連れていったら、いくらあっさりした性格のお母さんも驚くだろう。だから前もって電話で話をしたかったのだけれど、離婚をしたことを既に知られていたとは…
…優斗、あの後お母さんに会いに行ったんだ。
ーまぁ、わざわざ遠くから来てくれたから無理やり家に上がってもらってお茶出したんだけど
「そうなの?」
ー理由も自分から話してきてね、僕が全て悪かったんですって泣くからあたしもどうしたらいいかわからなくてあんまり話もできなくて
…自分の娘より先に娘の元夫から離婚の報告を受けたお母さんはどんな気持ちになっただろう。そう思うとすごく申し訳なくなった。
「お母さん…ごめんなさい」
ーまぁ、未央のことだから佳江さんのことも気にかかってなかなか離婚出来なかったんでしょ。…理由が理由だし未央から何となく聞いてたからなんで離婚したの?とか言うつもりもないわよ。…でも何かあったならすぐ話しなさいね、唯一の家族なんだから
「はい…。あの、早速なんですが」
ーどうしたの?
「…会って欲しい人がいます」
ーええっ?ちょっと、誰よそれ
「悠登くんっていう結婚を考えている相手です」
ーあんたその名前好きなのねー!
お母さんが電話の向こうで笑っている。
誤解を解いておくために決して不貞は働いていないこと、離婚をすることが決まって会社の後輩である悠登に突然プロポーズをされ、受け入れて昨日引っ越したことまで伝えたけれどさすがのお母さんも驚いていたし、笑っていてもムッとしていることが電話口から伝わってきた。
…当然だ。あたしが動くのはあたしの勝手だけれど、一人娘が何も相談なしに離婚して、更に他の男の人と住み始めているなんて気分が悪いに決まっている。
「来週、悠登くんを連れてそっちに帰りたいんだけど…」
ーもうね、突然過ぎるわよ本当に。…まぁ、わかりました。じゃあ来週ね
電話が切れた。…改めてお母さんに心底申し訳ない気持ちになった。
来週、目を見て謝って、ちゃんとお母さんに再婚を認めてもらうんだ。頑張らなきゃ。悠登が一緒にいてくれるんだから怖くない。大丈夫。
「未央、電話終わった?」
「うん」
お風呂から上がってきた悠登が頭からタオルを被り、上半身裸にスウェットのズボン姿であたしに声をかけた。
悠登の、ほぼ金髪に近いアッシュの髪色は濡れていると少し暗めに見える。ブリーチをした上にカラーを被せている様だけれど、アッシュのカラーというのは色が落ちやすいらしく割と直ぐに派手な金髪に戻ってしまう。
本当に、悠登は今まで周りにいなかったタイプだよな…優斗は社会人だからというのもあれど、黒髪しか見たことが無かったし。
職業柄ではあるけれど悠登の見た目は派手だ。明るい髪色に大きめのアクセサリー…それがすごく似合っているからいいなと思うけれど。まだ歳も若いし。
あたしは28歳、悠登は21歳。けっこう年齢差があるけどいいのかな、なんて思う時もある。
「あっつー。お茶飲も」
冷蔵庫を開ける音がする。
…自分が傍にいると離婚の話とかしにくいだろうから、と悠登はわざわざ長風呂をして離れていてくれた。
…まぁ、昨日寝る前も今日の朝もしちゃったから、汗をかかせてしまったというのもあるのだけれど…
悠登から求めてくれることが多いけれど、あたしから求めれば悠登は絶対に応じてくれる。
いっぱい抱きしめてくれて、キスをしてくれて気持ちいいところを指で舌で触れてくれるから、あたしもいっぱい気持ちよくなって欲しくて色々頑張るのだけれど悠登には敵わない…と思う。
本当に、結構年下なのに何でこんなに上手いのかな。激しいのも優しいのも全部気持ちよくて、あたしはいつもいっぱいいってしまう。
悠登が大好きだから、というのは大前提だ。愛する人と触れ合えるのは多幸感と快感しかない。だから求めてしまうのだけれどあたしはいつからこんなに性欲が強くなってしまったのか…
さっきまでお母さんと電話で真剣な話をしてたし、これから悠登とも真剣な話をするのに、悠登の細身で筋肉質な体を見るとまた求めたくなってしまう…変態だ、あたし。
首を横に振って、自分の頭から取り除くように努めた。
「悠登、席外してくれてありがと」
「おー。どうだった?」
「…ちょっと怒ってた」
「だろうね」
「悠登のお母さんとお父さんはどう思うかなぁ、挨拶しに行かなきゃ」
「え?もう話したよ」
「そうなの!?いつの間に!?」
「未央と一緒に住むって決まった時かなー。」
「あたしのこと、話してくれたの…?色々」
「色々?バツイチの話とかのことか。全部した」
「…何か仰ってた?」
「別に。基本放任主義だし、っていうか喜んでた」
「そっか、嬉しい」
「例え何か言われたとしても関係ないし。心配するなって!俺のとこは大丈夫だから」
「ありがとう」
「未央のとこはさすがに緊張するけどな。でも大丈夫だよ、俺は未央と幸せになるって決めたんだから。未央もそうだよね?」
「もちろん」
「じゃ再来週は俺の家ね」
悠登があたしをぎゅっと抱きしめてくれた。…こうされると気持ちがほぐれて、落ち着いていく。
再婚の為のワンステップ目…緊張するけれど大丈夫。きっと上手くいく。
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