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契約終了
十月一日
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「未央、ほんとにいいの?俺が実家に住んで未央がここに住んでたっていいんだよ。ローンは俺が払うし…」
「大丈夫だってば。ありがとうね心配してくれて。…この家に住むことは考えられないよ」
結婚してすぐ、優斗と一緒に買ったこのマンション。二人で初めてこんな大きい買い物したね!なんてはしゃいだ、引っ越したその日を思い出す。
楽しかったことも、離婚した時の辛かった思い出も、全てがこの家に詰まっている。もし、悠登と一緒に住むことにならなかったり家を探すのに困ったとしてもここに住み続けることはないだろう。あまりにも思い出が大きすぎて、出来ない。
そんな家にこれから優斗を一人残してしまう。
九月三十日。一年間の契約離婚を終えあたしは明日、この家を出ていく。
悠登にプロポーズされて以来早く悠登と一緒に暮らしたくて仕方なくて、この家にいることに違和感しかなかったけれどいざ明日出ていくことになると少し切なくなる。
契約離婚の期間の一年を含めあたし達は9年間近く一緒にいて、結婚してからは毎日顔を合わせていたのだ。
今後優斗と顔を合わせることは限りなくゼロに近いだろう、街中でばったり会うぐらいはあるかもしれないけれど。子供がいれば面会をしたり、会う機会はあるのだろうけれどあたし達にはそういうこともない。
ここを出て行ってからも会いたいなんて気持ちは一切ないけれど、毎日会っていた人ともう会えなくなるということは死別に近いものを感じてしまう。
「そうだよね…ごめん、未央。明日出ていってそのまま新しい家に引っ越すんだよね」
「そうだよ」
「…彼氏、が迎えに来るんだよね」
「うん」
「彼氏っていうか旦那か…結婚するんだもんね」
「結婚は半年以上先だし、まだ彼氏だけどそうだね」
本当は早く籍を入れてしまいたいけれど、周りはあたしと優斗が離婚して既に1年経過しているのを知らない。
再婚する時、女は離婚してから半年経たないと入籍が出来ないから今入籍すれば周りの人からすれば辻褄が合わなくなる。
だからといって内緒で籍を入れてしれっと過ごすことは優斗と離婚していたという事実を隠し、更なる嘘を周りにつくことになる。
友達や会社の人。何よりお母さん。また嘘をつくことになると思うと胸が痛み、もうこれ以上隠しきれない。だからあたし達は半年後に入籍をすることになっている。
彼氏が出来て、結婚する事になったから。約束通りこの家を出ていくね。
数日前に、やっぱり離れるのが嫌だ、と優斗に言われた時にあたしは悠登のことを話した。
話すつもりはなかったけれど、うやむやにするのは優斗にも、悠登にも失礼だから…
これからの人生、悠登のことしか考えられないから。悠登しか見えないから。悠登と二人で幸せになるって決めたから。だからあたしはもうここにはいられないし帰りもしない。
あたしが自分の気持ちを伝えている間、優斗は時折相槌を打ちながら静かに聞いていた。
「未央。今まで辛い思いばっかりさせて本当にごめん…」
「辛い思いばっかりじゃないじゃん…優斗と一緒にいて楽しかったよ。だから結婚したんだから」
「俺も楽しかった。ずっと一緒に笑って過ごして、毎日楽しくて幸せだった。…なのに俺が未央の笑顔を奪った」
「…」
「けど、最近の未央は前みたいに明るくなった。…彼氏のおかげだね」
そう、あたしは悠登と結婚が決まってから毎日とても穏やかな気持ちで過ごしている。
「そう、かな?明るくなったのかな」
「俺のせいでこの一年間ずっと悲しい顔ばっかりさせてきたね。未央のこと縛り付けて、ずっと息苦しい思いをさせてたのわかってたのに俺は未央に甘えっぱなしで」
「…もう終わったことだから。大丈夫だよ」
「…何回謝っても足りないよね。謝って済む話じゃないけど本当にごめ…」
「もう謝らないで、優斗。そんなに謝られたらこっちも申し訳なくなっちゃう」
こうやって二人で顔を突き合わせていても優斗が謝るばかりでなんだか悲しくて、あたしは優斗の言葉を遮って苦笑いをして明日は早いからもう寝よう、と話しあたし達はベッドに入った。
「未央、おやすみなさい」
「うん。おやすみなさい、優斗」
こうやって「おやすみ」と声を掛け合って眠ることも今日で最後。優斗にくっついて眠ることはずっと前から無くなっていて、当然今日もそんなことは無い。
胸が苦しい。もう優斗のことは好きじゃないのに…
眠りについたもののあたしは優斗の夢を見て途中で目が覚めた。
出会った日のこと、初めてキスをした日、結ばれた日。プロポーズをしてくれた時のこと。一緒に結婚指輪を買いに行った時のこと。婚姻届を出しに行った時のこと…
夢の中だから内容は飛び飛びだけれど、案外忘れていないものなんだな…と寝ぼけながらぼーっと考えていた。
***
翌朝。キャリーケースと、さほど大きくないダンボールをひとつ、小さなカートに乗せてあたしは家を出ようとしていた。悠登の家に荷物をほとんど送っているから今日持っていくものは本当に少なくて、家を出るんじゃなくてただ単に旅行に行くだけの様な気がしてしまう。…もう二度とここには来ないのに。
悠登から「マンションの下に着いたよ」と連絡が入り、あたしは家の玄関に向かった。
「荷物一緒に持ってくよ」
「ありがと。でも、下で待ってくれてるから大丈夫」
「そっか…」
キャリーケースのハンドルに手を掛けていた優斗が力なくそれを離した。
「優斗、これ…」
優斗のその手に、この家の鍵と、指輪を握らせた。
「指輪、捨ててくれてもよかったのに…」
「…捨てられなかったんだ。じゃあ、バイバイ。今までありがとう」
優斗に手を振ってから、ドアを開けようとするあたしの背中に優斗が抱きついた。それと共に小さくガチャン、と音がした。あたしの返した鍵が優斗の手から落ちた様だ。目の前に指輪が転がってきた少し後にそれが倒れ、動きを止めた。
「…優斗」
「ごめん、最後にこうしたかった」
「…」
「もう謝らないでって言ってたから、もう謝らないね。…未央、本当に今までありがとう。人生の三分の一近くも俺といてくれて、いつだって優しくしてくれて俺は幸せだった」
「こっちこそ…ありがとう」
「大きなお世話だけど…これから先はそれよりもずっと長い時間を彼氏と幸せに過ごしてね」
「うん…」
「幸せになってね。未央…バイバイ」
そう言って優斗はあたしを抱きしめていた腕を解いた。
振り返って顔を見ると、優斗は泣いていた。佳江さんが亡くなって以来何度も泣いている顔を見てきたからそれを思い出して胸を締め付けられ、つい抱きしめそうになったけれどそれをぐっと堪えてあたしは笑顔を作った。
「優斗も、幸せになってね。バイバイ」
「…バイバイ」
あたしは玄関の扉を開け、この家を出た。もう持っていないから当然鍵をかけることもなく…
エレベーターに乗り1階のボタンを押して、閉めるのボタンを何度も押した。
早くここを出なきゃ。優斗の泣き顔を忘れられなくなってしまう。…そんな強迫観念に駆られて。
マンションのエントランスを出ると悠登が待っていた。その近くにタクシーが停まっている。
「おはよ、未央」
「おはよう…」
悠登の顔を見た途端あたしの目は潤み始めすぐに涙が出てきて、その顔を隠す様に悠登に抱きついた。
「おいおい、タクシーの運転手さんびっくりするでしょ」
「…」
無言で抱きつくあたしの背中を悠登がさすった。どうしてこんなに涙が出るのだろう。さっきまでそんなこと無かったのに…
「…荷物乗せてきていい?」
「…うん」
「すいません運転手さん、開けてもらっていいすか?」
タクシーの運転手さんがトランクを開けた後降りてきて、あたしの顔をちらっと見て会釈をし悠登が持ってきたあたしの荷物を受け取り乗せ始めた。
「タクシー乗れる?」
「乗れる…」
荷物を受け渡した悠登がこちらの方に歩いてきて、中腰になってあたしの顔を覗き込んだ。
「じゃ、帰ろ。俺たちの家に」
悠登がにこっと笑って立ち上がり、あたしの手を取った。
その手をぎゅっと握り、あたし達がタクシーへ向かうとドアが開いた。
「お待たせしましたー」
じゃ、さっきのお家の方に戻りますね。あたし達が乗り込んだ後に運転手さんがそう言い、車が動き始めた。
悠登は何も聞かず、タクシーの中でもずっと手を繋いでくれていた。初めて二人で過ごしたあの夜を再び思い出す。けれど今は悠登の手の温もりを感じられること、それがとても幸せだ。
これからは悠登とずっと一緒にいられるんだ。きっと、優斗と過ごした時間よりもっともっと長く。
さよなら、あたしの愛した人。
「大丈夫だってば。ありがとうね心配してくれて。…この家に住むことは考えられないよ」
結婚してすぐ、優斗と一緒に買ったこのマンション。二人で初めてこんな大きい買い物したね!なんてはしゃいだ、引っ越したその日を思い出す。
楽しかったことも、離婚した時の辛かった思い出も、全てがこの家に詰まっている。もし、悠登と一緒に住むことにならなかったり家を探すのに困ったとしてもここに住み続けることはないだろう。あまりにも思い出が大きすぎて、出来ない。
そんな家にこれから優斗を一人残してしまう。
九月三十日。一年間の契約離婚を終えあたしは明日、この家を出ていく。
悠登にプロポーズされて以来早く悠登と一緒に暮らしたくて仕方なくて、この家にいることに違和感しかなかったけれどいざ明日出ていくことになると少し切なくなる。
契約離婚の期間の一年を含めあたし達は9年間近く一緒にいて、結婚してからは毎日顔を合わせていたのだ。
今後優斗と顔を合わせることは限りなくゼロに近いだろう、街中でばったり会うぐらいはあるかもしれないけれど。子供がいれば面会をしたり、会う機会はあるのだろうけれどあたし達にはそういうこともない。
ここを出て行ってからも会いたいなんて気持ちは一切ないけれど、毎日会っていた人ともう会えなくなるということは死別に近いものを感じてしまう。
「そうだよね…ごめん、未央。明日出ていってそのまま新しい家に引っ越すんだよね」
「そうだよ」
「…彼氏、が迎えに来るんだよね」
「うん」
「彼氏っていうか旦那か…結婚するんだもんね」
「結婚は半年以上先だし、まだ彼氏だけどそうだね」
本当は早く籍を入れてしまいたいけれど、周りはあたしと優斗が離婚して既に1年経過しているのを知らない。
再婚する時、女は離婚してから半年経たないと入籍が出来ないから今入籍すれば周りの人からすれば辻褄が合わなくなる。
だからといって内緒で籍を入れてしれっと過ごすことは優斗と離婚していたという事実を隠し、更なる嘘を周りにつくことになる。
友達や会社の人。何よりお母さん。また嘘をつくことになると思うと胸が痛み、もうこれ以上隠しきれない。だからあたし達は半年後に入籍をすることになっている。
彼氏が出来て、結婚する事になったから。約束通りこの家を出ていくね。
数日前に、やっぱり離れるのが嫌だ、と優斗に言われた時にあたしは悠登のことを話した。
話すつもりはなかったけれど、うやむやにするのは優斗にも、悠登にも失礼だから…
これからの人生、悠登のことしか考えられないから。悠登しか見えないから。悠登と二人で幸せになるって決めたから。だからあたしはもうここにはいられないし帰りもしない。
あたしが自分の気持ちを伝えている間、優斗は時折相槌を打ちながら静かに聞いていた。
「未央。今まで辛い思いばっかりさせて本当にごめん…」
「辛い思いばっかりじゃないじゃん…優斗と一緒にいて楽しかったよ。だから結婚したんだから」
「俺も楽しかった。ずっと一緒に笑って過ごして、毎日楽しくて幸せだった。…なのに俺が未央の笑顔を奪った」
「…」
「けど、最近の未央は前みたいに明るくなった。…彼氏のおかげだね」
そう、あたしは悠登と結婚が決まってから毎日とても穏やかな気持ちで過ごしている。
「そう、かな?明るくなったのかな」
「俺のせいでこの一年間ずっと悲しい顔ばっかりさせてきたね。未央のこと縛り付けて、ずっと息苦しい思いをさせてたのわかってたのに俺は未央に甘えっぱなしで」
「…もう終わったことだから。大丈夫だよ」
「…何回謝っても足りないよね。謝って済む話じゃないけど本当にごめ…」
「もう謝らないで、優斗。そんなに謝られたらこっちも申し訳なくなっちゃう」
こうやって二人で顔を突き合わせていても優斗が謝るばかりでなんだか悲しくて、あたしは優斗の言葉を遮って苦笑いをして明日は早いからもう寝よう、と話しあたし達はベッドに入った。
「未央、おやすみなさい」
「うん。おやすみなさい、優斗」
こうやって「おやすみ」と声を掛け合って眠ることも今日で最後。優斗にくっついて眠ることはずっと前から無くなっていて、当然今日もそんなことは無い。
胸が苦しい。もう優斗のことは好きじゃないのに…
眠りについたもののあたしは優斗の夢を見て途中で目が覚めた。
出会った日のこと、初めてキスをした日、結ばれた日。プロポーズをしてくれた時のこと。一緒に結婚指輪を買いに行った時のこと。婚姻届を出しに行った時のこと…
夢の中だから内容は飛び飛びだけれど、案外忘れていないものなんだな…と寝ぼけながらぼーっと考えていた。
***
翌朝。キャリーケースと、さほど大きくないダンボールをひとつ、小さなカートに乗せてあたしは家を出ようとしていた。悠登の家に荷物をほとんど送っているから今日持っていくものは本当に少なくて、家を出るんじゃなくてただ単に旅行に行くだけの様な気がしてしまう。…もう二度とここには来ないのに。
悠登から「マンションの下に着いたよ」と連絡が入り、あたしは家の玄関に向かった。
「荷物一緒に持ってくよ」
「ありがと。でも、下で待ってくれてるから大丈夫」
「そっか…」
キャリーケースのハンドルに手を掛けていた優斗が力なくそれを離した。
「優斗、これ…」
優斗のその手に、この家の鍵と、指輪を握らせた。
「指輪、捨ててくれてもよかったのに…」
「…捨てられなかったんだ。じゃあ、バイバイ。今までありがとう」
優斗に手を振ってから、ドアを開けようとするあたしの背中に優斗が抱きついた。それと共に小さくガチャン、と音がした。あたしの返した鍵が優斗の手から落ちた様だ。目の前に指輪が転がってきた少し後にそれが倒れ、動きを止めた。
「…優斗」
「ごめん、最後にこうしたかった」
「…」
「もう謝らないでって言ってたから、もう謝らないね。…未央、本当に今までありがとう。人生の三分の一近くも俺といてくれて、いつだって優しくしてくれて俺は幸せだった」
「こっちこそ…ありがとう」
「大きなお世話だけど…これから先はそれよりもずっと長い時間を彼氏と幸せに過ごしてね」
「うん…」
「幸せになってね。未央…バイバイ」
そう言って優斗はあたしを抱きしめていた腕を解いた。
振り返って顔を見ると、優斗は泣いていた。佳江さんが亡くなって以来何度も泣いている顔を見てきたからそれを思い出して胸を締め付けられ、つい抱きしめそうになったけれどそれをぐっと堪えてあたしは笑顔を作った。
「優斗も、幸せになってね。バイバイ」
「…バイバイ」
あたしは玄関の扉を開け、この家を出た。もう持っていないから当然鍵をかけることもなく…
エレベーターに乗り1階のボタンを押して、閉めるのボタンを何度も押した。
早くここを出なきゃ。優斗の泣き顔を忘れられなくなってしまう。…そんな強迫観念に駆られて。
マンションのエントランスを出ると悠登が待っていた。その近くにタクシーが停まっている。
「おはよ、未央」
「おはよう…」
悠登の顔を見た途端あたしの目は潤み始めすぐに涙が出てきて、その顔を隠す様に悠登に抱きついた。
「おいおい、タクシーの運転手さんびっくりするでしょ」
「…」
無言で抱きつくあたしの背中を悠登がさすった。どうしてこんなに涙が出るのだろう。さっきまでそんなこと無かったのに…
「…荷物乗せてきていい?」
「…うん」
「すいません運転手さん、開けてもらっていいすか?」
タクシーの運転手さんがトランクを開けた後降りてきて、あたしの顔をちらっと見て会釈をし悠登が持ってきたあたしの荷物を受け取り乗せ始めた。
「タクシー乗れる?」
「乗れる…」
荷物を受け渡した悠登がこちらの方に歩いてきて、中腰になってあたしの顔を覗き込んだ。
「じゃ、帰ろ。俺たちの家に」
悠登がにこっと笑って立ち上がり、あたしの手を取った。
その手をぎゅっと握り、あたし達がタクシーへ向かうとドアが開いた。
「お待たせしましたー」
じゃ、さっきのお家の方に戻りますね。あたし達が乗り込んだ後に運転手さんがそう言い、車が動き始めた。
悠登は何も聞かず、タクシーの中でもずっと手を繋いでくれていた。初めて二人で過ごしたあの夜を再び思い出す。けれど今は悠登の手の温もりを感じられること、それがとても幸せだ。
これからは悠登とずっと一緒にいられるんだ。きっと、優斗と過ごした時間よりもっともっと長く。
さよなら、あたしの愛した人。
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